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音楽のお勉強

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#音楽

音の美しさ

音の美しさ

目で見て、手で触れて感じることのできる石。

角が丸くなり、表面の光沢が失われ、ところどころに溝や小さな穴があり、いままで、生きてきた証を、見せてくれる、風化した石。

まったく同じように、長い時間をかけて、いままで生きてきたのに、風化という言葉が当てはまらない、音。

わたしはキリスト教徒ではないけど、たまたま訪れた教会で、ミサが開かれていると、そのまま滞在することがあります。

ミサのときどき

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世界は音に包まれている Part.1

世界は音に包まれている Part.1

『音の美しさ』の続編です。

音楽。音を奏で、その音色を楽しむこと。
耳で聴き、時には感情をゆさぶり、時には気持ちを穏やかにしてくれる、心の処方箋のような存在。

自然、黙想。そして、音楽。昔から「音楽とは?」と、宇宙の真理を考えるごとく、深遠に思慮し、歴史に名を残した哲学者達。

紀元前6世紀頃のギリシャ。手を伸ばせば届くかのように、星の光が地上に降り注いでいた時代。

エーゲ海から聞こえてくる

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世界は音に包まれている Part.2

世界は音に包まれている Part.2

『音の美しさ』の続編です。
世界は音色に包まれている Part.1

美しさとは、調和である。音楽だけど、音楽じゃない。中世時代は音楽をどう解釈して、宇宙、神、人、との調和を図ろうとしたのでしょう。

ロマネスク様式の教会と音楽。天使が奏でる、天上の音

欧州で、キリスト教が世界の中心となると、神学が生まれます。神学では、天体の調和の観念は、天使の音楽として解釈し直されます。

昇天したマリア様が

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世界は音に包まれている Part.3

世界は音に包まれている Part.3

『音の美しさ』の続編です。
世界は音に包まれている Part.1
世界は音に包まれている Part.2

建築と音楽の、数合わせ。ルネッサンス時代に入ると、以前に登場したブルネレスキと、彼と同時代に生きたレオン・バッティスタ・アルベルティが、フィレンツェ国の空間に手を加えます。

まずは、ブルネレスキに登場してもらいましょう。1420年に着工し、1436年にクーポラが完成。聖堂の献堂式が行われます

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ブリットポップとは? 〜 90年代の音楽シーンを辿る旅 Vol.3

ブリットポップとは? 〜 90年代の音楽シーンを辿る旅 Vol.3

1990年代の英国に登場した音楽ジャンルどこか後期のビートルズを思わせるような曲調。適度にロックで、適度にポップで、適度の哀愁のあった曲の雰囲気。

こういった雰囲気を持つグループが90年代英国に登場しました。これらを称して、ブリットポップと呼ばれるようになります。

実は、この音楽が流行った背景にあるのは、リバイバルとも言える音楽の流れでした。

リバイバルとは1970年代中頃、パンクムーブメン

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世界~日本の音楽史まとめのページです(2023/10/3更新)

世界~日本の音楽史まとめのページです(2023/10/3更新)

音楽史まとめのページです。ライフワークのようになっている音楽史、音楽シーンの記事一覧をこちらにまとめておきます。過去記事で、いったん下書きに戻しているものは随時公開しますし、これから新たに描く記事もこちらに集約いたします。

また、しばらくすると有料化していますので、それは↓のマガジンに集約していきます。単体で1記事ずつご覧いただくよりも、楽しんでいただけると思っています!

◆有料マガジン(有料

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リズムの音楽理論を、非線形科学的にアップデート!【カオスリズミック・セオリー】

リズムの音楽理論を、非線形科学的にアップデート!【カオスリズミック・セオリー】

なぜリズム理論は軽視されてきたのでしょうか?
音楽理論では残念なことに、リズムの重要度が低いです。

しかし民族音楽学の発展とともに、リズムの再評価が目覚ましいものとなっていることはご存知でしょうか?

世界中の民族音楽を聞くと、リズムが重要でないなどとは口が裂けても言えません。リズムの情報は、楽器の音に、声に、そして舞踊へ変換されて私達と共有されます。

西洋音楽を評価軸とした音楽理論のままでは

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劇伴音楽の作り方

劇伴音楽の作り方

こんにちは。
劇伴作曲家の天休です。

今回は劇伴音楽の作り方について、自分の全知識を公開したいと思います。

1.はじめに僕は昔、ひょんなことから劇伴作曲家志望者のデモテープを大量に聴く仕事をやったことがあります。

数十曲聴きましたが、ハッキリ言って全部(日本の劇伴としては)NGでした。

ジョンウィリアムズ風のもの、ハンスジマー風のもの、転調したり、展開が分かりづらいもの……。

僕もがむし

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クラシック音楽史とポピュラー音楽史を1つに繋げた図解年表 (PDF配布)

クラシック音楽史とポピュラー音楽史を1つに繋げた図解年表 (PDF配布)

従来の学問的な「クラシック音楽史(西洋音楽史)」と、各ジャンルを個別に追うことでしか情報が分かりづらかった各「ポピュラー音楽史」を、一つの時系列に並べてみた図解年表です。

クラシック、ジャズ、ロック、ヒップホップ、クラブミュージック、映画音楽、ミュージカルなどを網羅した、今までにない視点の表が完成できたと自負しています。

この記事をPDF置き場にして最新改訂版を随時更新することにします。

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日本的霊性の証明 / 「November Steps」 武満徹 クラシック音楽

日本的霊性の証明 / 「November Steps」 武満徹 クラシック音楽

日本的霊性ある日のこと。近所の神社を通りかかると、子供達が遊んでいる。

しばらくその様子を微笑ましくみていた。と、その中のある子が、こう言うのが聞こえてきた。

「あー、そんなことしたら、いけないんだよ。バチが当たるって言ってたよー」

仲間内の誰かが本殿か、手水場から何かにいたずらをしようとしたのだろうか。

ふと思った。 

小さい子にも、神社や神社の中にある場所は、聖なるものと認識されてい

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【特別企画】これからクラシックを聴こうと思っている方へ / 5つのおすすめステップをご紹介します。

クラシックってどんなイメージ?クラシックというと、どんなイメージが沸くでしょうか。

同じ曲でも指揮者やオーケストラの違いでそれこそ無数にあって初心者には何が違うのかわからないし、そもそも交響曲にせよ1曲当たりの時間が長いし。。。

何となく高尚なイメージがあるでしょうか?

良く聞くメロディを数分聞くなら楽しめるけれど、コンサートで小一時間向き合うのはしんどそう。。。などなど

僕もそんな感じで

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ヒップホップ史を彩ったナードたち

ヒップホップ史を彩ったナードたち

ナーディなセンスでヒップホップ史を彩ったアーティストについて書きました。記事に登場する曲を中心にしたプレイリストも制作したので、あわせて是非。

新たなアワードでTyler, The Creatorが受賞
LL Cool Jが創設したライフスタイルブランドのRock The BellsとBETが提携し、新たなアワード「Rock The Bells Cultural Influence Award」

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ロシアのヤンキー御用達のコミカルな音楽ハードベースがバズってる?

ロシアのヤンキー御用達のコミカルな音楽ハードベースがバズってる?

中毒性がヤバい!ロシアンハードベースを知っていますか?
ウォッカを片手にアディダスのジャージを着て、コサックダンスを踊る、スラブ人のヤンキー、「ゴプニク(гопник)」の音楽が近年大流行しています。

2015年以降ロシアンハードベースは海外のミームとしても使われだし、そのコミカルさから人気が高いです。

空前のヤンキーブーム到来?フリースタイルダンジョン(2015~2020年)の影響で、HIP

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アイドルに疎い自分が欅坂・櫻坂オタクになった理由【シン・カルチャー論】

アイドルに疎い自分が欅坂・櫻坂オタクになった理由【シン・カルチャー論】

日本の豊かな文化の中で、ひとつにだけ集中してしまう危機感を近年感じます。

ネット時代は多様性を助長すると思われました。しかし濃い文化にも新規参入が容易になることで強制的に大衆化し、中間層の育成・生存戦略がうまく進まず、結果として社会的価値の低下が起こりつつあります。

今回は「シン・カルチャー論」と題して、日本の濃い4つのカルチャー群を比較検討し、自分だけのリストを組んでいくことで、ご自身の文化

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