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記事一覧
<書評>『エトルリアの遺跡』
『エトルリアの遺跡 Sketches of Etruscan Places and Other Italian Essays』 D・H・ロレンス David Herbert Lawrence著 土方定一・杉浦勝郎訳 美術出版社 1973年 原著は1932年 New York, The Viking Press
原題を直訳すれば、『エトルリア地方の素描及びイタリアのエッセイ』となり、「遺跡」=r
<書評>『水と夢 物質の想像力についての試論』
『水と夢 物質の想像力についての試論 L’Eau et les Reves: essai sur l’imagination de la matiere』ガストン・バシュラール Gaston Bachelard著 小浜俊郎・桜木泰行訳 国文社 1969年 原著は1942年出版
哲学者というよりも、夢想家的なイメージのあるガストン・バシュラールの主著である。多くの詩人や文学者さらに文芸研究家が、
自由律俳句(その十一)
先般アマゾンで句集を出版したが、その後も句作を続けているので、最新作をご紹介したい。
〇 六月中旬、好天の土曜日。区民農園に自転車で行く。水やりをし、オクラ三個、大根三本を収穫する。大根の収穫は土を深く掘り下げるので、大変だった。
自転車こぎ 息切れして 背中に死神がいた
後ろにも目があるぞ 風を感じて車に抜かれる
土を掘る手が汚れて これが生きていることか
大根の根が 深いことを知る
<書評>『歴史の意味』
『歴史の意味―人間運命の哲学の試み― Der Sinn Der Geschichte, Versuch einer Philosophie des Menschengeschickes』ニコライ・アレクサンドロヴィッチ・ベルジャーエフ Nicolai Alexandrowitsch Berdjajew著 氷上英廣訳 白水社 1960年 『ベルジャーエフ著作集』の第一巻として発行された。原著は19
もっとみる<ラグビー>2024年シーズン(6月第四週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
〇 1980年代に日本の美術評論家の一人が、雑誌「現代思想」の特集で「マルセル・デュシャンは、油彩が下手だったのでオブジェに走った」と評していたが、デュシャンの「チェスをする人々」は、同時代のキュービズム作品と比べて優ることはあっても劣ることはない。また、「階段を降りる裸体」シリーズへの評価は非常に高かったが、デュシャンはそれ
<閑話休題>コーヒーのCMとフェリーニ
2024年6月頃、某メーカーの「ボス」というコーヒー飲料(カフェラテ)のペットボトルに入ったものの一つを「イタリアン」と称する、アニメーションのCMが流れていた。そのアニメは、いかにもイタリア風の長閑な雰囲気を出しているのだが、そこに流れるいかにもイタリアの空気を感じさせるのんびりした音楽は、ニーノ・ロータが名匠フェデリコ・フェリーニの傑作『アマルコルド』のために作ったテーマ曲だ。
この19
<書評>『眼と精神』
『眼と精神 Eloge de la Philosophe L’oeil et l’esprit (原題を忠実に訳せば、「哲学をたたえて、眼と精神」)』 モーリス・メルロポンティ著 Maurice Merleau-Ponty 滝浦静雄・木田元訳 みすず書房 1966年発行 原書は、Editions Gallimard, Paris, 1953 et 1964 パリのガリマール書店が1953年及び1
もっとみる<書評>『バレエ 形式と象徴』
『バレエ 形式と象徴(原題の直訳は「バレエ 形式と本質 現代ヨーロッパのダンスにおける象徴的な言語」) Ballett—Gestalt und Wesen Die Symbolsprache im europaeischen Schautanz der Neuzeit.』 ゲルハルト・ツァハリアス Gerhard Zachaias著 渡辺鴻訳 美術出版社1965年 原著は1962年 Koln(ケ
もっとみる<閑話休題>ホームズとポワロの生きた時代
シャーロック・ホームズは、この名前自体が既に固有名詞化しているくらいに、世界中に膾炙した私立探偵の活躍を描く短編小説の主人公だが、彼の活躍した19世紀末ロンドンという、虚栄と繁栄が過度に達した世界を舞台にしているところに一番の醍醐味がある。
また、アガサ・クリスティーが新たに創造した私立探偵エルキュール・ポワロは、ホームズに匹敵する探偵小説の主人公として、その名を世界中に知られている。ポワロ