見出し画像

<ラグビー>2024年シーズン(6月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

〇 1980年代に日本の美術評論家の一人が、雑誌「現代思想」の特集で「マルセル・デュシャンは、油彩が下手だったのでオブジェに走った」と評していたが、デュシャンの「チェスをする人々」は、同時代のキュービズム作品と比べて優ることはあっても劣ることはない。また、「階段を降りる裸体」シリーズへの評価は非常に高かったが、デュシャンはそれを意に介さなかった。また、デュシャンを「観念の芸術家」と称したが、むしろ「芸術とは観念である」ことを彼は認識していなかったのだから、彼こそ「芸術の才能がなかったので、低劣な評論しかできなかった」のだろう。せめて、メルロポンティのセザンヌ論やフーコーのベラスケス論を熟読して欲しい。

〇 麻生太郎さんが総理の時、「アニメの殿堂」という構想を明かしたとき、マスコミを筆頭に袋叩きにあって潰されてしまったが、今の日本のアニメの世界的求心力と外国人観光客の観光目的を熟視すれば、如何に先見の明であったかがよくわかる。今からでも遅くないから、「アニメの殿堂」を作るべきだ。そして、発展形として「アニメと特撮映画の殿堂」にして欲しい。英語表記は「A Hall of Fame of Japanese Animations and Special Effect Movies」とするのはどうだろうか。場所は、築地市場の跡地がベストだが、読売グループが野球場を作るそうなので、残る候補は、一時期ガンダム像で話題になったお台場だろう。ここから豊洲市場の千客万来施設をトラム(路面電車)でつなぎ、さらに若洲リンクス(水中散歩ができる遊歩道を設置する)、夢の島(誰もが参加できる簡易スポーツ⦅パターゴルフ、マレットゴルフ、グランドゴルフ、ディスクゴルフ、オリエンテーリング、ローンボーリングなど⦆施設を設置する)、葛西臨海公園(水族館の拡張とピクニック及びBBQ広場の整備)を経由して浦安のディズニーランドを終点にすれば、大繁盛間違いなしだと思うのだが。


1.テストマッチなどの結果

日本17-45イングランド

 イングランドは、SOの先発にマーカス・スミスを起用し、好調のフィン・スミスは22番のリザーブになった。SHはキックの上手いアレックス・ミッチェル。キャプテンはHOジェイミー・ジョージを指名した。3番PRダン・コールは、112キャップの豊富な経験値を誇る。

 日本は、2023年RWCのワラビーズ同様に、多くのベテラン・中堅選手を切り捨て、初キャップとなる選手を多く起用した。1番PR茂原隆由、HO原田衛、7番FLティエナン・コストリー、FB矢崎吉高と先発に4人、18番PR為房慶次朗、20番FL山本凱、21番SH藤原忍、23番(試合当日にディラン・ライリーが欠場したため、13番CTBに入った)BKサミソニ・トゥアとリザーブに4人の計8人が初キャップとなった。一方、キャップ数の多いのは、リーチの84、16番HO坂手淳史の41、22番SO松田力也の37しかいない。まったく経験値は皆無に等しいチーム構成になっている。SHは斎藤直人、SO李承信で、キャプテンは6番FLのマイケル・リーチ。FWのセットプレー、BKのディフェンス(特にポイント周辺のチャンネル2付近とFBのハイボール処理)が心配される。この人選について、海外のメディアは「叛逆行為」と評している。

 試合は、前半12分までは、日本がキャッチフレーズとしている「超速ラグビー」を見せていたが、それを上回るイングランドの「超速ディフェンス」でトライをまったく取れない時間が続いた。一方、イングランドはボールを保持すると、ゴール前のFWのピックアンドゴーで簡単にトライを取ってしまう。さらに、ラインアウトからのロングスローからつないだSOマーカス・スミスが、得意のランニングでトライを取るなどして、前半を3-26とリードして終える。後半もイングランドが次々に加点し、57分には3―45まで点差が開いたが、65分と68分に日本が連続トライをして、どうにか見せ場を作れた。しかし、後半にイングランドへレッドカードが出て数的有利になっても、日本は効果的に攻めることができずに時間が経過する一方、イングランドには易々とダメ押しのトライを簡単に取られて、最後に大敗となった。経験値の少ないメンバーによる日本が、イングランドから格下扱いを受けた試合内容及び結果となった。

 そうした中でも、LOワーナー・ディアンズは、68分のトライアシストを筆頭に、攻守にわたる優れたプレーを見せたが、これは世界トップレベルと評して良いと思う。他には、FL山本凱、SH藤原忍、WTBジョネ・ナイカブラ、FB山沢拓也らが良いプレーをしていたのが、この試合の数少ない収穫だった。

 一方、圧勝・完勝したイングランドは、弱小日本相手に、特別なことをせずに普段通りのプレーで日本から容易にトライを奪っていたので、これから対戦するオールブラックスとしては、あまり参考にならなかったと思われる。そのため、イングランドの現在の客観的実力は、オールブラックスとの二戦で判断したい。

南アフリカ41-13ウェールズ

 南アフリカは、SOの先発に初キャップとなるジョーダン・ヘンドリクスを抜擢し、ベテランSHファフ・デクラークと組む。。キャプテン代行は、7番FLピータースティフ・デュトイが務め、3番PRヴィンセント・コッホが50キャップを達成した。ウェールズは、SHの先発に初キャップのエリス・べヴァンを抜擢し、SOのサム・コステロウとコンビを組む。キャプテンは、HOのドウィ・レイク。FLジャック・モーガンが怪我で欠場した。

 試合は、ウェールズが前半を13-14で終えたが、終始南アフリカのペースで進んだ。ウェールズは、前後半で4回ほどトライチャンスがあったが、いずれもハンドリングエラーなどで取り切れなかったのが敗因となった。また、SOサム・コステロウの不調が結果に影響していた。そうした中で、ベテランの14番WTBリアム・ウィリアムスは、二回ほどトライに結びつく優れたプレーを発揮したが、味方のエラーのためトライできなかったのは、非常に残念だった。

 勝った南アフリカは、安定したセットプレーと強いフィジカルに加え、トニー・ブラウンに指導されたBKプレーが機能していた。前半こそ競ったが、後半は一方的にトライを重ねて大勝に結びつけた。新人SOジョーダン・ヘンドリクスが無難なプレーをした他、交代で入った22番SOサッシャ・フェインベルグムンゴメズルは、ロングPGを決めるなど、才能があることを見せていた。また、MOMに選ばれた14番WTBエドウィル・ファンデルメルヴァは、攻守に良いプレーをしており、チェスリン・コルビの後継者を思わせていた。

 この試合は、試行ルールなどを含めてレフェリーが試合をうまくコントロールしようとしていたが、三枚もシンビンが出るなど荒れ模様となった一方、TMOが多すぎた上に、毎回のチェック時間が長すぎたことで、ゲーム自体をスポイルしてしまったことは否めない。今後改良されていくと思うが、こうしたラグビーを見せている限りは、ラグビーは飽きられてしまうと思う。

バーバリアンズ45-32フィジー(キリック・カップ)

 日本から、HO堀江翔太、PRクレイグ・ミラー、LOリアム・ミッチェル、FLジャック・コーネルセン、FLラクラン・ボシアーがそれぞれ招待された。元オールブラックスLOサムエル・ホワイトロックの引退試合となり、キャプテンに指名された。なお、試合は、南アフリカ対ウェールズ戦の後に、同じトウィッケナムで行われ、またテストマッチのようにフィジー国歌と英国国歌が歌われるなど、格式の高い扱いとなり、まるでこちらの方がメインイベントのようだったが、実際、バーバリアンズ及びフィジー(黒赤のセカンドジャージ着用)ともに、「これぞラグビー」ともいうべき、見て楽しくまたプレーして楽しいラグビーを展開したくれた。関係者には大いに感謝したい。

 MOMは、前オールブラックスだが、現在ツーロンでプレーするWTBのレスター・ファインガアヌクが選ばれた。もしNZに残っていれば、今シーズンのクルセイダーズで大活躍しただろうし、またオールブラックスのトライゲッターとして活躍してくれることが想像できるほど、素晴らしいプレーを見せていた。また、クルセイダーズFBのチャイ・フハキも良いプレーを見せていたので、近い将来にオールブラックス候補になるだろう。

なお、バーバリアンズの最後の76分のトライ後のコンバージョンを、堀江翔太が蹴 って決めた。この堀江と同じく引退するサムエル・ホワイトロックが、終始ゲームの中心としてチーム及びファンに盛り上げられていたのが、古き良きラグビー精神を象徴する姿として、世界中に発信できたことはとても良かったと思う。(冒頭にリンクを貼っている、アマゾンで販売中の拙著『スワーブをきりながら』には、こうしたラグビーの素晴らしさを書き記しているので、参考にしていただきたい。)

2.スーパーラグビー決勝結果

ブルーズ41-10チーフス

 ブルーズのキャプテンであるLOパトリック・ツイプロツは、膝の怪我で7週間の欠場と見られていたが、驚くべきことに決勝で復帰し、しかも先発した。一方のチーフスは、HOサミソニ・タウケイアホが怪我で欠場したため、先発はタイロン・トンプソン、16番のリザーブはブラッドレイ・スレイターとなった。また、LOナイトア・クオイも怪我で欠場したため、マナアキ・セルビーリキティが19番のリザーブに入った。準決勝のハリケーンズ戦で活躍した新鋭NO.8ワレス・シティティは、決勝でも引き続き先発した。なお、ブルーズ監督ヴァン・コッターが、2003年にベイオブプレンティー州代表監督だったとき、チーフス監督クレイトン・マクミランをキャプテンに指名している。

 試合は、豪雨の中、ブルーズがFWで圧倒し、前半を20-3で終えると、後半も64分までに34-3と大きく引き離した。その後チーフスの反撃を受けたが、さらにダメ押しのトライを返して、見事な勝利を獲得した。最後までブルーズの強さが目立ったゲームとなった。11番WTBケイリブ・クラークが、ハットトリッの活躍で勝利に貢献した。ブルーズのスーパーラグビー優勝は、21年ぶりとなり、地元のオークランドには、祝福の嵐が豪雨に負けぬくらいに吹き荒れた。

3.ユナイテッドラグビーチャンピオンシップ決勝結果

グラスゴー21-16ブルズ

 前半を0-13とリードしたグラスゴーは、後半に逆転して見事な初優勝を達成した。スコットランド代表を含むチームの中で、FBジョシュ・マッケイ、キャプテンの11番WTBカイル・スタイン、SHジョージ・ホーン、NO.8ジャック・デンプシー、7番FLロリー・ダージ、6番FLマット・ファガーソン、3番PRザンダー・ファガーソンらの活躍が目立ったが、特にFW3列の働きが素晴らしかった。この結果を、スコットランドは代表に生かしたい。

4.その他のニュースなど

(1)オールブラックスのスコッド発表及びキャプテン指名予定等

 スーパーラグビー決勝が終わって、これからはテストマッチのシーズンが始まる。オールブラックスのスコッド発表予定等は以下のとおりとなっている。

(A)スコッド発表日時:6月24日(NZ時間のおそらく18時?)

(B)キャプテン:サム・ケーンは、自らキャプテンを辞退したい旨述べているので、スコット・バレット、アーディ・サヴェアの二人が有力候補となっている。

(C)オールブラックス選出基準:現行のサブバティカルを除いて、NZ国内でプレーしているというルールは現時点では変更されていない。そのため、サム・ケーン、アーディ・サヴェア、ボーデン・バレットの三人は、オールブラックスでプレー可能。

(D)イングランドのスコッドで注目される選手は?:ノーザンプトンセインツCTBのオリー・スレイトホルム。元イングランド代表WTBジョンの息子で、プレミアーシップのトライ王である。また、オリーを含む初選出のプレヤーが六人いるので、RWC時からかなり世代交代が進んでいる。キャプテンは、HOのジェイミー・ジョージ。また、SOジョージ・フォードは、自らスコッド入りを辞退しているので、SOはマーカス・スミスとフィン・スミスの二人の争いになっている。

(E)オールブラックスの2024年の試合予定

7月 6日 対イングランド フォーサイスバースタジアム(ダニーデン)

   13日 対イングランド イーデンパーク(オークランド)

   20日 対フィジー サンディエゴ

8月10日 対アルゼンチン スカイスタジアム(ウェリントン)

   17日 対アルゼンチン イーデンパーク

   31日 対スプリングボクス ヨハネスブルグ

9月 7日 対スプリングボクス ケープタウン

   21日 対ワラビーズ シドニー

   28日 対ワラビーズ ウェリントン

10月26日 対日本 横浜

11月 3日 対イングランド トウィッケナム(ロンドン)

    9日 対アイルランド ダブリン

   17日 対フランス パリ

   24日 対イタリア 未定(おそらくミラノ?)

(参考1.)NZの「ザ・ポスト」がオールブラックスのスコッドを予想。

 アシスタントコーチのレオン・マクドナルドによれば、オールブラックスの首脳陣はポジション毎に分かれてセレクションをしており、マクドナルドはバックスリー、ジェイソン・ホランドはCTB、スコット・ハンセンはHB、ジェイソン・ライアンはFWとなっている。監督のスコット・ロバートソンは、32人(FW18人+BK14人)のスコッドを最終的に決定する。ロバートソンとしては、ディフェンス、規律の維持(反則をしない)、キッキングゲーム、ハイボール処理、セットピースをチーム作りの基本に据えていると見られる。また、怪我人の多いHOとLOの他、三番目のSO、CTB、6番FLが注目される。

 一方、マオリオールブラックスのスコッドも、25日に発表されるが、準代表としてテストマッチレベルの試合を行うことから、オールブラックスとの兼ね合いが考慮される。

HO:コーディ・テイラー、アサフォ・アウムア、ジョージ・ベル

PR:イーサン・デグルート、オファ・トゥンガファシ、ジョージ・ボウワー、タイレル・ローマックス、フレッチャー・ニュウウェル、タマイティ・ウィリアムス

LO:スコット・バレット、ツポウ・ヴァアイ、クインティン・ストレンジ、サム・ダリー

FL/NO.8:アーディ・サヴェア、ホスキンス・ソツツ、ダルトン・パパリイ、ルーク・ジェイコブソン、サミペニ・フィナウ

SH:コルティス・ラティマー、フィンレイ・クリスティー、TJ・ペレナラ

SO:ダミアン・マッケンジー、ボーデン・バレット

CTB:ジョルディ・バレット、アントン・リエナートブラウン、リエコ・イオアネ、ビリー・プロクター

WTB/FB:ルーベン・ラヴ、エモニ・ナラワ、セヴ・リース、ケイレブ・クラーク、マーク・テレア

(参考2.)私の試合メンバー23人の予想(1~23の順)

デグルード、テイラー、ローマックス、スコット・バレット、ヴァアイ、フィナウ、サヴェア(キャプテン)、ソツツ、ペレナラ、マッケンジー、テレア、ジョルディ・バレット、イオアネ、リース、ラヴ。(リザーブ)アウムア、バウワー、ウィリアムス、ストレンジ、パパリイ、クリスティー、ボーデン・バレット、ナラワ

(2)コナー・ガーデンバショップが逝去

  ハイランダーズ、マオリオールブラックス、ウェリントン代表のWTB/FBとして活躍したコナー・ガーデンバショップ、25歳が、17日死亡していることが確認された。元オールブラックス及びサモア代表SOスティーヴン・バショップ及び元ブラックファーンズであり、タッチラグビー・バスケット・ホッケーでも活躍したスー・ガーデンバショップとの間に生まれ、両親の後を追うようにラグビー選手としてプレーしていた。コナーはまた双子の女の子の父親でもあった。コナーは、三日前にインスタグラムで退団するハイランダーズのファンに対して感謝の言葉を投稿していることから、死因は突然死で、警察によれば事件性はない由。

 コナーは、ウェリントンのスコットカレッジを卒業後、2018年にカンタベリー州代表入りし、翌年はウェリントン州代表になった。2021年からハイランダーズでプレーした。2022年には、マオリオールブラックスに選ばれた他、ウェリントン州代表として、兄ジャクソンとともにランフェリーシールドをかけた試合で、ホークスベイに勝利したメンバーとなっている。元オールブラックス及び日本代表でもプレーしたSHグレアム・バショップは伯父、元オールブラックスCTBアーロン・メイジャーはいとこにあたる。

(3)オーストラリア・ワラビーズのスコッド発表

 NZ人監督ジョー・シュミットが、7月のウェールズ戦及びジョージア戦に備えた38人(FW21人、BK17人)のスコッドを発表した。12人の初キャップとなる選手を含み、その中には元ワラビーズSOマイケル・ライナーの次男トム・ライナーが入っている。また、元オールブラックスPRアレックス・ホッジマンも選ばれている。その他では、ベテランのユーティリティーBKカートリー・ビールが代表に復帰した。

 スコッド選出に際しては、海外あるいはリーグでプレーする選手(SOカーター・ゴードン、WTBマーク・ナラカイタワゼ、HOジョーダン・ウエレーゼ、LOアイザック・ロッダ)は対象外とした一方、オーストラリア(のユニオン)でプレーする選手のみから選出した。また、アメリカンフットボール入りが噂されているCTBジョーダン・ペタイアも対象外となった。怪我による選考対象外となったのは、PRアンガス・ベル、LOロブ・レオタ、SHラクラン・ロナーガン。

 今シーズンのレッズで、CTB/WTBとして9トライを記録する活躍をした20歳のティム・ライアンは、テストマッチには準備不足との理由で選考外となった。一方、初選出のWTBダービー・ランカスターのスピードを、シュミット監督は高く評価している。キャプテンは今後発表する。

スコッドは以下のとおり。名前の次の(初)は、初キャップとなる選手。

FW:アラン・アラアラトア、アンガス・ブリス(初)、チャーリー・ケイル(初)、マット・ファエスラー、ニック・フォレスト、ランギ・グレーソン、アレックス・ホッジマン(初)、トム・フーパー、アイザック・カイレア(初)、フレイザー・マクライト、ジョシュ・ナッザー(初)、ザーン・ノンゴアー、ビリー・ポラード、ラッカン・サラカイアロト、ライアン・スミス(初)、ジェイムズ・スリッパー、タニエラ・ツポウ、ロブ・ヴァレティニ、ジェレミー・ウィリアムス(初)、ハリー・ウィルソン、リアム・ライト

BK:カートリー・ビール、フィリポ・ダウグヌ、ベン・ドナルドソン、デイヴィット・フェリウアイ(初)、ジョシュ・フロック(初)、ジェイク・ゴードン、レン・イキタウ、アンドリュウ・ケラウェイ、ダービー・ランカスター、ノア・ノレシオ、トム・ライナー(初)、テイト・マクダーモット、ハンター・パイサミ、ディラン・ピーチ(初)、ハミッシュ・スチュワート(初)、ニック・ホワイト、トム・ライト

<個人的見解>
 エディー・ジョーンズ前監督によって不当に除外された、SOノア・ノレシオが復帰した。また、若手を多数起用して世代交代を計っている一方、SHニック・ホワイト、PRジェイムズ・スリッパー、PRアラン・アラアラトア、PRタニエラ・ツポウ、FLリアム・ライト、LOラッカン・サラカイアロト、FLロブ・ヴァレティニ、FLフレイザー・マクライトらの経験値の高い選手を入れて、バランスを取っているのは、オーストラリアメディアから批判された前任者とは好対象となった。キャプテン候補としては、スリッパー、アラアラトア、ホワイト、マクライトなどが挙げられる。

(4)エディー・ジョーンズが選ぶ、世界最高選手三人

 ラグビーパスのインタビューで、エディー・ジョーンズが現在の世界最高の選手三人を挙げている。北半球では絶大な評価を得ている、フランス代表SHアントワーヌ・デュポンを除外しているのが面白い。ジョーンズが挙げたベストの三人は、オールブラックスFLアーディ・サヴェア、同じくオールブラックスSOリッチー・モウンガ、そしてスプリングボクスWTBチェスリン・コルベとなっている。

(参考)
 私も同様に世界最高の選手を選ぶとしたら、デュポンは外す。なぜなら、北半球のラグビーより南半球のラグビーが上位にあると見ているからだ。そして、やはりNO.1はアーディ・サヴェアだと思う。次がオールブラックスSHキャメロン・ロイガード、三番目は二人いて、ハリケーンズFBルーベン・ラヴとオールブラックスWTBウィル・ジョーダンだと思っている。

(5)エディー・ジョーンズのオーストラリアメディアとのバトルは、ラグビーのための話題作りだった

 エディー・ジョーンズは、2023年RWCのワラビーズ監督として、屈辱的な歴史を作った張本人だが、当時オーストラリアのメディアと激しいバトルを繰り返したのは、一種の取引であり、またラグビーのための話題作りをしたかったからだと説明している。

 また、オーストラリアのためにやるべき自分の仕事であった上に、63歳だった当時は、そうしたことができると思い込んでいたが、結局メディアの大きな波に飲み込まれてしまったのが失敗だったと述べている。なお、当時のワラビーズは、リーダーシップを含めた多方面で変革せねばならない状況だったが、それを行うには時間が短すぎたことが、RWCで結果を残せなかった原因だとして、今後、再びワラビーズ監督に就任すれば、同じことをやりたいと述べている。

 一方、同じくメディアとのバトルが激しかったイングランド監督時代は、毎日大勢のメディア関係者に情報提供しながら、それらがどのようなニュースの見出しになるのかを、まるでゲームのように楽しんでいたと振り返り、自分がメディアに翻弄されたのではなく、自分がメディアを操作していたと主張している。

(6)スチュアート・ホッグが引退を撤回し、モンペリエーへ

 元スコットランド代表FBスチュアート・ホッグ、31歳は、昨年のRWC直前に、個人的な理由でラグビーから引退したが、その後状況が変わったようで、急遽フランスのモンペリエーと契約した。モンペリエーのオーナーであるモヘッド・アルトラッドが公表した。2年契約で、3年目以降はオプションとなっている。

 ホッグは、モンペリエーに先立ち、ニューカッスルとの契約が報道されていたが、残念ながら合意まで至らなかった。スコットランド歴代の最多トライ記録を持っているホッグが引退を決断したのは、自分の家族に対する中傷が酷かったからだと明かしている。また、ラグビーのプレーをアマチュアとして継続するが、同時にプロ選手に戻ることはないと否定していた。しかし、今回は前言を翻すこととなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?