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#小説

マドンナ 第10話《正念場》【短編小説】

マドンナ 第10話《正念場》【短編小説】

 予約したピッツェリアは港に面した場所にあった。実際に行ったことはないが、調べる限りオーシャンビューが売りの店であるらしい。これまでに思ったほどの成果が出せていないユースケは、せめてここだけでも思い描くイメージに合うことを願った。
 津先駅から地上へ上がると、日はすっかり暮れて、街には明かりが灯っている。通りを吹き抜ける風が強くなり、陽が落ちたことも相まって寒さが増したように感じる。
 けやき通り

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【ショートショート】自首キャンペーン (2,873文字)

【ショートショート】自首キャンペーン (2,873文字)

 ベッドの上でYouTubeを見ていたら、スキップできないCMが流れて、総理大臣が神妙な面持ちで語りかけてきた。

「自首キャンペーンのお知らせです。本日、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が施行され、全国の警察署に自主専用窓口が開設されます。本日中に自分の罪を正直に告白した人は漏れなくすべてが許されますので、どしどし自首をしてください。あらゆる罪が対象です。なお、この機会に自首をせず、後日、

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新たなアカウントで始めました。近いうちにここで小説を連載してみようと思います。

国民監視システムについて特許から分析したものが興味深かったので紹介

国民監視システムについて特許から分析したものが興味深かったので紹介

 この画像は、ユヴァル・ノア・ハラリ教授が、既に人類の生体信号はAIによって解析できる時代なので、何らかの手段で監視システムにそれが組み込まれますよ。監視システムの本質は、政治家、支配者に逆らうものを社会的に抹殺するためのものなので、万人がターゲットになります。だから、みんなで法規制しましょうとダボス会議で訴えているものです。

  では、記事の紹介に入ります。

 資料

>全国の県レベルの警察

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突き当たりに現の栞

突き当たりに現の栞

 確かに昼間「大それた夢を見るのはやめなさい」と述べたが、今はそれを悔やんでいる。
 学校の授業で習った物語について「作者が伝えたいこととは」だとか、果ては「この登場人物のようにならないためには」などを各々が真剣に考え、話し合った。
 沼元(ヌモト、以下ヌモと呼ぶ)は『主人公と自分を重ねてしまい、予習の段階で涙が止まらなかった』に消しゴムをかける。教室に集まった同級生の誰もそうは思わないらしい、か

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【連続小説】『2025クライシスの向こう側』6話

【連続小説】『2025クライシスの向こう側』6話

連続小説 on note 『2025クライシスの向こう側』
第1部 愛尊と楓麗亜の七日間

第6話 覚醒する少女『Ironic』と『太陽がしずむ街』

ワタシの世界を広げたふたつのもの。
ひとつは音楽。
ある夜、怖い夢を見て目を覚ましたワタシが
リビングに行くと、パパがCDを聴いていた。
アラニス・モリセットの
『Jagged Little Pill』というアルバム。
すぐに、「あ、声が好き」そ

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【連続小説】『2025クライシスの向こう側』5話

【連続小説】『2025クライシスの向こう側』5話

連続小説 on note 『2025クライシスの向こう側』
第1部 愛尊と楓麗亜の七日間

第5話 予感する少女樹 楓麗亜 イントロダクション

二重の防音ドアをパパが閉めてくれる。
ガスボッ。間。ガスボッ。
この気圧が変わる瞬間が好き。
宇宙的な真空感。
今日もいいことが起きる予感。

パパが弾く歪んだギターの音が
アンプから大音量で聴こえる。
ワタシは膝を抱えて
パパの傍に座って音の中を

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【連続小説】『2025クライシスの向こう側』4話

【連続小説】『2025クライシスの向こう側』4話

連続小説 on note 『2025クライシスの向こう側』
第1部 愛尊と楓麗亜の七日間

第4話 最後の晩餐と夢のつづきさよならリチャード

リチャードは何も食べないし飲まない。
だから最後の晩餐とはいうものの普段の自炊と変わらない。
近所のスーパーで魚を買った。
赤ワイン2本と第3のビールを買った。
そしてパン。それから野菜。
一応ダヴィンチの
『最後の晩餐』によせたメニューにしてみる。
魚は

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【フォト小説】たどりついたら猫の島

【フォト小説】たどりついたら猫の島

※この作品はフィクションです

 私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。

 夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した。夫の父は佐柳島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身らしい。横浜生まれで横浜育ちの夫も、その父と同じく本籍地はだけは佐柳島になっているらしかった。

 一周忌が終わった後で、私はその佐柳島へ行くことにした。

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【サブカル】🛰サイバーパンクの歴史を深堀り。NHK-Eテレ『世界サブカルチャー史』。6月28日放送開始

【サブカル】🛰サイバーパンクの歴史を深堀り。NHK-Eテレ『世界サブカルチャー史』。6月28日放送開始

NHK『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』はシーズン4ではジャンル別に深堀り。第5弾「サイバーパンク編」が6月28日(金)から地上波放送スタート。3週連続でEテレで放送されます。

アメリカで生まれたSFのサブジャンル、サイバーパンク。テクノロジーが生む光と影。その力学とは?想像力の戦いの行方は? 

初回はサイバーパンクはいかにして生まれたのか?その前史をつぶさに見ることで、現代へとつながる問題

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『君は、ほんとうは、いい子なんだよ。』

『君は、ほんとうは、いい子なんだよ。』

【窓ぎわのトットちゃん】

タレントの黒柳徹子さんが、自身の幼少時代を書かれた本である「窓ぎわのトットちゃん」をアニメ映画化したものです。世界的な大ベストセラーとなった本ですよね。私も子供の頃に読んだのですが、内容をフワッとしかで覚えていなかったので、新鮮な気持ちで鑑賞できました!

黒柳さんは、バイオリニストの父親から、「トット助」と呼ばれていたことから、自身も周りも「トットちゃん」と彼女のこと

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【連続小説】『2025クライシスの向こう側』3話

【連続小説】『2025クライシスの向こう側』3話

連続小説 on note 『2025クライシスの向こう側』
第1部 愛尊と楓麗亜の七日間』

第3話 さあ、旅立ちだ。とリチャードは言って微笑んだ -その2-
1 「今を生きろ。信じるな、疑え」とリチャードは言った

「なぜ僕を選んだんですか? 他にも自ら命を絶とうしている人や殺人を犯している人はいるのでは?」
よりによってリチャードが僕なんかを
選んだ理由がさっぱり分からない。
「その通りです。

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小説『ワンダリングノート・ファンタジー』(1)いつもの公園で

小説『ワンダリングノート・ファンタジー』(1)いつもの公園で

〜『note #創作大賞2024 CREATIVE AWARD』応募作品〜

Chapter 1

「ふう⋯⋯今日のテストは散々だったな」

 学校の帰り道、トムはひどく落ち込んだ様子で、いつになく足取りも重かった。疲れ切った彼の肩は垂れ、頬は痩けていた。

「大丈夫よ、たかがテストじゃない? また次に頑張ればいいのよ!」

 隣を歩くレナが励ます。彼女の声は明るく、彼の沈んだ気持ちを少しでも晴ら

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自己紹介的な、あまりに自己紹介的な

自己紹介的な、あまりに自己紹介的な

 こんにちは。Guttiと申します。自己紹介的な記事をあげていなかったので、改めて自己紹介をさせて頂きます。

 1978年生まれ、読書と書くことがライフワークのサラリーマンです。じつは小学生の頃から、noteをやっていました。

 というのは冗談ですが(笑)、書くことは昔から好きでした。同時に本を読むことが好きです。読書は、だいたい、月で8冊くらい。年間100冊読むことを毎年のライフ計画にしてい

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