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新作落語台本を書いております 第5回岩井コスモ証券presents上方落語台本大賞 佳作入賞 フォト小説「たどりついたら猫の島」でnote創作大賞2024に挑戦中です

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    口演していただける方お待ちしております。

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【フォト小説】たどりついたら猫の島

 私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。  夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した。夫の父は佐柳島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身らしい。横浜生まれで横浜育ちの夫も、その父と同じく本籍地はだけは佐柳島になっているらしかった。  一周忌が終わった後で、私はその佐柳島へ行くことにした。夫の父親も若い頃に島を出ているわけだし、本籍地の住所に行っても何も無いことはわかっている。当の夫も、小学生の頃に

    • 小説を朗読していただきました

      note創作大賞・オールカテゴリ部門に挑戦中の『たどりついたら猫の島』を、いつもお世話になっているミクロマコさんが朗読してくださいました。 【朗読ライブ】「たどりついたら猫の島」 素晴らしいです。嬉しいです。台本を朗読していただいた時とはまた違った感動がありますね。ありがとうございました。 ミクロマコさんもエッセイ部門でnote創作大賞に応募なさってます。御父様への思いが込められた素敵な文章を是非皆さんも読んでみてください。 ビートルズで見送って【エッセイ】 もとも

      • 【9分落語】残業神

        男「(あくびをして)…ああ、もう日付が変わっちゃうなあ。我ながらよく頑張ったよ。そろそろ帰る準備でもするかな…」 神「眠気に耐えて、良く頑張った!感動した!」 男「え!?誰ですか!?」 神「わしはこのオフィスに取り憑いておる、残業を司る神、残業神じゃ」 男「残業神!?たしかに杖持って、それっぽい格好してるけど…神様なんですか?迷子の老人じゃなくて?」 神「ならば証拠を見せよう。ウョギンザ!ホイ」 男「わ!何か出た!?」 神「リポビタンゴールドエースじゃ。飲んでもうひと頑張りす

        • 『ツダマンの世界』と松尾スズキさんの戯曲

          松尾スズキさんのお芝居にずいぶんとハマっていた時期がありました。90年代の中頃から2000年代の初頭くらいにかけてでしょうか。ギャグの面白さは勿論のこと、複数のエピソードが渾然一体となってラストに向かって収束していくカタルシスがとても衝撃的かつ魅力的で、地方在住にも関わらず東京・大阪までよく遠征して観劇していたものでした。 時代は流れて、演劇はあまりカタルシスを追わなくなった気がします。「衝撃的なことは登場人物の内面で起きており、舞台上では派手なことは起こらない」みたいな静

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          目黒のさんま新作落語コンテスト用の台本を書きました

          毎年、東京都目黒区が開催している「目黒のさんま新作落語コンテスト」。「オリジナルの目黒にまつわる新作落語を作成」し、「それを演じて、動画を撮って応募」するという、かなりハードルの高い大会です。 そこで今回、お題に沿った台本を私が書きましたので、希望するアマチュア落語家さんに提供したいと思います。応募要項に「作者と演者は同一で」とは書いてないので、提供という形にすればおそらくOKだと思います。 どなたか、私の作品で応募していただけませんか? 公開して広く募集したいのですが

          目黒のさんま新作落語コンテスト用の台本を書きました

          山形市「どもフェス」で自作落語披露

          3月20日、春分の日、山形市で吃音への理解を広めるためのイベント「どもフェス」が行われたそうです。 お笑い芸人のインタレスティングたけしさん、アマチュア落語家こいのすけさん、大道芸のりくとさんなどが出演された模様。こいのすけさんは私の『先駆け一代記』をまたかけてくださったようで、ありがたいことです。聴きに行きたかったな~。 こういうイベント、良いですよね。何でもそうですが、一人で悩んでいるのは辛いものです。しかし仲間がいる、前向きに捉えている人達がいる、ということが広まる

          山形市「どもフェス」で自作落語披露

          能登のイカキングに学ぶ

          能登のイカキングの記事を見つけました。 震災の直後は私も心配していて、海岸沿いにあったものだから当然、波にさらわれたり壊れたりしたものと覚悟をしておりましたが、なんと無傷だったのです。「大丈夫じゃなイカ」ってんで復興のシンボルに。素晴らしいことです。 交付金で巨大なイカのモニュメントを造るという話が出た時に、日本中から批判や嘲りが殺到していたように思います。そんなものを造って、無駄だろう、これだから田舎は…みたいな声が四方八方から浴びせられていました。 けど、私はこうい

          能登のイカキングに学ぶ

          R-1グランプリ決勝 プロもアマも最高

          ピン芸人の最高峰を決定する「R-1グランプリ」決勝戦にアマチュアの「どくさいスイッチ企画」さんが進出し、4位に入賞しました。プロを含む5000人以上の出場者で4位。とてつもないことです。おめでとうございます。 どくさいスイッチ企画さんは高座名「銀杏亭魚折」としてアマチュア落語大会を総なめにしており、また台本作家として数々の受賞歴があり、プロへの台本提供も行っています。その道で知らない人はいないというくらいの有名人で、しかも会社員です。フィクションではないかというくらい謎の才

          R-1グランプリ決勝 プロもアマも最高

          鳥山明先生の天才性について

          鳥山明先生が亡くなられたと聞いてびっくりです。68歳、まだまだお若い。子供の頃からずっと親しんできたものの作者がこの世を去られるのはとても寂しいです。作品はずっと残りますが、作品と共に長生きして、好きなプラモデルでも作っていて欲しかったですね。残念でなりません。 その漫画やイラストの魅力は国民全員がご存知でしょうから語りませんが、今にして思うと、鳥山先生はジャンプ作家としては異端だったのではないでしょうか。デザイン畑出身の精緻で、かつ可愛らしくオシャレな絵柄。そして呑気で馬

          鳥山明先生の天才性について

          今回は軽い日常の話題です。 「罠」といえば何を思い浮かべるでしょうか?東京サンシャインボーイズの解散公演でしょうか?今年遂に30年の充電期間が完了ですよね。そちらも気になるのですが、最近の私にとってはなんといっても…。 スーパーがレシートと一緒にくれるクーポン券。 これが実に巧妙な罠なのです。明らかに個人の購買傾向をリサーチしていて、欲しがる商品のクーポン券を大量にガシガシ発行してくれるのです。 で、私の場合、酒クーポンの山になる。嬉しいんですよ。けど、結局いつもの量

          【応援小咄】マンモスと壁画

           原始時代、人々はマンモスを狩って生活をしていた。しかしある村に壁画を描くことがやたらに上手い男がいた。男の描く壁画は素晴らしいもので、村では評判となり、マンモス狩りの合間に男は洞窟の壁や天井を絵で埋めていった。そんなある日、村長が男にこう言った。 「オマエ、モウ、マンモス、狩ランデエエゾ」 「はい?どういうことですか?」 「オマエノ描ク絵、スバラシイ。メッチャ上手イ」 「ありがとうございます」 「マンモス狩リ、行カンデエエカラ、ズット描ケ。一年デ100ノ絵ヲ描ケ。ソシタラ

          【応援小咄】マンモスと壁画

          【新作落語】居抜き物件

          中年「ああ、話し込んでたらこんな時間になってもうたわ。腹減ったなあ。けどこの辺は何も食いもん屋ないからなあ。…あれ?ここのガソリンスタンドの跡地…事務所に明かりがついて、ラーメンの提灯出とるがな。ああ、これはあれやな、元の店舗を利用して、居抜きで店を出しとるんやな。こりゃ、ええわ。ラーメン食うて帰ろ(扉を開ける)こんばんわあ」 店主「(泣いている)」 中年「うっわ…めっちゃ面倒臭そうな店に入ってもうた…。なんでいきなり店主が泣いとんねん…」 店主「あ、い、いらっしゃいませ」

          【新作落語】居抜き物件

          【新作落語】新堂くんの進路相談

          新堂「先生、僕、進路について悩んでます」 先生「おお、新堂か。進路指導室へようこそ。お前は進学するんやろ?」 新堂「そのつもりだったんですけど、別の道に進むべきじゃないかと最近思い始めて…」 先生「お前は成績が良いから、大学へ行けるなら行っといた方がええと思うけどなあ」 新堂「大学へ行く道、そうじゃない道、どっちも大事なことに思えて、とてつもなく悩んでいます。To be, or not to be, that is the question.…そんな気分です」 先生「ハムレッ

          【新作落語】新堂くんの進路相談

          凪ぐ、『ゴールデンカムイ』

          『ゴールデンカムイ』を観てきました。ややネタバレありで感想を書きますのでご注意下さい。というか、アレなんですよね。原作を読んでいたらこれはもう、ネタバレも何もないです。 ほぼ完全に原作通りです。 物語の冒頭の日露戦争のシーンから、杉本救出作戦のあたりまでが、登場人物の紹介と共にほぼ完全再現されています。こんなに原作に忠実な映像化って他にあるんだろうかというくらい。びっくりです。 原作の漫画はかなり熱狂的な女性ファンが多くて、出来次第では相当にネットが荒れるのではと危惧し

          凪ぐ、『ゴールデンカムイ』

          第8回 新春イケメン寄席

          「別嬪寄席」があれば「イケメン寄席」もある! ということで、行ってきました高松市生涯学習センター。こちらの会場は初めてでございます。高松市中心部、片原町の一角にあります。以前の勤務地に近かったので懐かしい気分になりました。 お客様、220席がほぼ完全に埋まる超満員。別嬪寄席は満員御礼でしたが、イケメン寄席も負けていません。別嬪・イケメンは集客力が凄い。たとえ実際の別嬪・イケメンで無くても凄い。人気の高さが窺えます。 学美亭佳以さん『時そば』 なんと9歳のアマチュア落語家

          第8回 新春イケメン寄席

          『笑いのカイブツ』愛され方を選べない男の話

          『笑いのカイブツ』を観てきました。落語作家としても活躍する伝説のハガキ職人、ツチヤタカユキさんの自伝小説を映画化したものです。 これは「根多(ネタ)」というものに対して真剣に取り組んだことのある全ての人に刺さる映画ですね。私も雑誌やラジオへの投稿が好きでしたし、今もアマチュアで落語台本を書いてるわけですから、俺用?みたいなストーリーだったんですよ。観て良かったです。 NHKのケータイ大喜利と、オードリーのオールナイトニッポンを模した番組が投稿先として出てくるんですけど、採

          『笑いのカイブツ』愛され方を選べない男の話