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新作落語台本を書いております 第5回岩井コスモ証券presents上方落語台本大賞 佳…

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新作落語台本を書いております 第5回岩井コスモ証券presents上方落語台本大賞 佳作入賞 フォト小説「たどりついたら猫の島」でnote創作大賞2024に挑戦中です

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【フォト小説】たどりついたら猫の島

 私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。  夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した…

青乃家
4か月前
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『成瀬は信じた道をいく』あえて“書かない”人物造形

『成瀬は天下をとりにいく』の続編、『成瀬は信じた道をいく』を読みました。前回に引き続き感想を書こうと思うのですが、今回はいかにして成瀬あかりという新時代のヒロイ…

青乃家
2日前
33

『飾る』山口一郎展に行ってきました

皆さん美術館はお好きでしょうか?noteの世界では「好き!」と答える方が多いかと思います。私も好きですが、芸術方面の感覚が鈍いので、わからないものはわからないんです…

青乃家
10日前
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【3分落語】Adoと握手

ここは両国広小路、賑やかな盛り場に付きものなのは、茶屋に飲み屋に髪結い出床、そして怪しい見世物小屋でございます。 呼込「さあ大人気のAdo、Adoと握手が出来るよ。こ…

青乃家
13日前
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『電磁車輌コトディーンの世界』展に行ってきました

『電磁車輌コトディーン』をご存知でしょうか。ご存じないですよね。知ってる方が珍しいと思います。これは香川県の鉄道会社「ことでん」が2019年からやっている「謎の企画…

青乃家
2週間前
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【5分落語】一人遠出

しばらく遠出する男が、ちょっと変わった息子相手に話しております。 父親「それでは遠出をしてくるので、しっかりと留守番を頼むぞ」 息子「わかりました。父上もどうか…

青乃家
4週間前
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『バンオウ』完結直前・実写想像キャスティング

本日は私の「推し」で行かせていただきます。 ジャンプ+で連載されている将棋漫画『バンオウ』が遂に完結目前です。最終回を待たずして文句なしの名作だと言い切れます。…

青乃家
1か月前
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台本利用について

ありがたいことに台本の利用について問い合わせをいただくことが多くなってきたのでこの記事で基本方針をまとめておきます。 当noteに掲載されている台本は全て無料で利用…

青乃家
1か月前
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『光る君へ』最近の感想とヘタ絵まとめ

大河ドラマ『光る君へ』をなんだかんだで毎週観ております。中学生の娘も一緒に観ております。娘にとって大河初完走になるかも。これだけ古い時代のお話を現代的なドラマに…

青乃家
1か月前
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『成瀬は天下を取りにいく』全てをねじ伏せるキャラクターの力

前にも書きましたが私はインプットが苦手な人間です。普通に本を読み音楽を聴きテレビや映画を観て楽しめる人はもうその時点で才能がある人だと思います。私も若い頃はそれ…

青乃家
1か月前
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【9分落語】死なずの旦那

ある日のこと、商家の旦那が番頭を呼んでこう言います。 番頭「旦那様、お呼びでございますか」 旦那「うむ。お前は実に仕事が出来る」 番頭「ありがとうございます」 旦…

青乃家
1か月前
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小説を朗読していただきました

note創作大賞・オールカテゴリ部門に挑戦中の『たどりついたら猫の島』を、いつもお世話になっているミクロマコさんが朗読してくださいました。 【朗読ライブ】「たどりつ…

青乃家
2か月前
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【9分落語】残業神

男「(あくびをして)…ああ、もう日付が変わっちゃうなあ。我ながらよく頑張ったよ。そろそろ帰る準備でもするかな…」 神「眠気に耐えて、良く頑張った!感動した!」 男…

青乃家
2か月前
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『ツダマンの世界』と松尾スズキさんの戯曲

松尾スズキさんのお芝居にずいぶんとハマっていた時期がありました。90年代の中頃から2000年代の初頭くらいにかけてでしょうか。ギャグの面白さは勿論のこと、複数のエピソ…

青乃家
2か月前
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目黒のさんま新作落語コンテスト用の台本を書きました

※5/1 こちらの募集は締め切らせていただきました。 ありがとうございました! 毎年、東京都目黒区が開催している「目黒のさんま新作落語コンテスト」。「オリジナルの目…

青乃家
2か月前
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山形市「どもフェス」で自作落語披露

3月20日、春分の日、山形市で吃音への理解を広めるためのイベント「どもフェス」が行われたそうです。 お笑い芸人のインタレスティングたけしさん、アマチュア落語家こい…

青乃家
3か月前
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固定された記事

【フォト小説】たどりついたら猫の島

 私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。  夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した。夫の父は佐柳島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身らしい。横浜生まれで横浜育ちの夫も、その父と同じく本籍地はだけは佐柳島になっているらしかった。  一周忌が終わった後で、私はその佐柳島へ行くことにした。夫の父親も若い頃に島を出ているわけだし、本籍地の住所に行っても何も無いことはわかっている。当の夫も、小学生の頃に

『成瀬は信じた道をいく』あえて“書かない”人物造形

『成瀬は天下をとりにいく』の続編、『成瀬は信じた道をいく』を読みました。前回に引き続き感想を書こうと思うのですが、今回はいかにして成瀬あかりという新時代のヒロインが創造されたのかについて突っ込んで考えてみたいと思います。 とにかくこの物語は成瀬というキャラクターの魅力に尽きるのですが、どうして我々はこんなに惹きつけられるのでしょうか。結論から先に言うと、成瀬には「コンプレックスが無い」からだと思います。 コンプレックス・劣等感というものは、小説の大きなテーマになるわけです

『飾る』山口一郎展に行ってきました

皆さん美術館はお好きでしょうか?noteの世界では「好き!」と答える方が多いかと思います。私も好きですが、芸術方面の感覚が鈍いので、わからないものはわからないんですよね。先日のコトディーンみたいなのはド直球でわかるんですが。 じゃあなんで展覧会の記事なんだって? スタンプラリーみたいなやつが好きなんですよ。ポケモンのヤドンとコラボした企画とか、道の駅を巡るやつとか、ずいぶん達成しました。で、今やってるのがこれです。 ミュージアム88カードラリーin四国。博物館・美術館を

【3分落語】Adoと握手

ここは両国広小路、賑やかな盛り場に付きものなのは、茶屋に飲み屋に髪結い出床、そして怪しい見世物小屋でございます。 呼込「さあ大人気のAdo、Adoと握手が出来るよ。こんな機会は二度と訪れない。さあAdoと握手をしよう。これっきり、これっきりの機会だよお」 男「おい、本当にAdoと握手が出来るのかい」 呼込「嘘偽りは申しません。さあAdoと握手がしたい人は50文の木戸銭を払った払った」 男「おう、じゃあ50文払うよ。Adoと握手をさせてくれ」 呼込「おありがとうございます。で

『電磁車輌コトディーンの世界』展に行ってきました

『電磁車輌コトディーン』をご存知でしょうか。ご存じないですよね。知ってる方が珍しいと思います。これは香川県の鉄道会社「ことでん」が2019年からやっている「謎の企画」です。 ストーリーに沿って地域を巡る…まあ要するにスタンプラリーなのですが、なぜか世界観が昭和レトロのロボットヒーローものでして、非常に懐かしく、そして無闇に暑苦しい物語がことでん沿線を中心に繰り広げられているのです。 え?お前は好きなのかって? 2019年スタートと同時にスタンプ帳買って速攻で全部回りまし

【5分落語】一人遠出

しばらく遠出する男が、ちょっと変わった息子相手に話しております。 父親「それでは遠出をしてくるので、しっかりと留守番を頼むぞ」 息子「わかりました。父上もどうか極楽浄土でお幸せに」 父親「何を言っておる。別に死出の旅路ではないぞ」 息子「あれ?でもお寺の和尚様がいつかそう申しておりました」 父親「それは葬式の時に仏様にかける言葉であろう」 息子「じゃあそうなった時のためにということで」 父親「縁起でもないことを申すな。やれやれ心配だのう。留守の間にやるべきことは忘れておらぬ

『バンオウ』完結直前・実写想像キャスティング

本日は私の「推し」で行かせていただきます。 ジャンプ+で連載されている将棋漫画『バンオウ』が遂に完結目前です。最終回を待たずして文句なしの名作だと言い切れます。特に「10巻以内で完結する漫画」のランキングをつけるならば、自分の中で確実にベスト3に入るでしょう。お勧めです。 紹介は以前に書いたので、今回は「もし、実写ドラマ or 映画化されるなら、どんなキャスティングが良いか」を勝手に考えてみました。こういう想像は自分の希望が全て通るのでやりたい放題です。では、いってみまし

台本利用について

ありがたいことに台本の利用について問い合わせをいただくことが多くなってきたのでこの記事で基本方針をまとめておきます。 当noteに掲載されている台本は全て無料で利用できます。口演・朗読・配信等にどんどんお使い下さい。申請も基本的に不要ですが、私自身が聴きたいので教えていただけると喜びます。 有料の口演・配信については、料金が発生することへの責任が伴うので、一度ご連絡をいただければと思います。禁止ということではないです。 台本の改変はOKです。ご自身に合った内容に変えて面

『光る君へ』最近の感想とヘタ絵まとめ

大河ドラマ『光る君へ』をなんだかんだで毎週観ております。中学生の娘も一緒に観ております。娘にとって大河初完走になるかも。これだけ古い時代のお話を現代的なドラマに仕立てる手腕が素晴らしいと思います。 おそらく『平清盛』あたりからだと思うのですが、SNSでは各回の放送終了後にイラストがUPされる傾向がありまして、これが結構な人気行事になっておるのですね。プロの漫画家さんも大勢やっておられて、超絶上手くて美麗でかつ面白い。 そんな中、ペイントツールを使って5分で描いたヘタクソ絵

『成瀬は天下を取りにいく』全てをねじ伏せるキャラクターの力

前にも書きましたが私はインプットが苦手な人間です。普通に本を読み音楽を聴きテレビや映画を観て楽しめる人はもうその時点で才能がある人だと思います。私も若い頃はそれなりにインプットを試みていましたが、今はもう集中力が続かないので一念発起しないと出来ません。 (# ゚Д゚) けどお前アウトプットしたいと思ってる奴がそれでは駄目だろう! と、いつも自分で自分に激しくツッコむ日々なんです。だから、せめてせめて、「おや、これは気になるな」と思ったものだけは、頑張って手を出すべきである

【9分落語】死なずの旦那

ある日のこと、商家の旦那が番頭を呼んでこう言います。 番頭「旦那様、お呼びでございますか」 旦那「うむ。お前は実に仕事が出来る」 番頭「ありがとうございます」 旦那「うちの店の繁盛はお前あってこそじゃ」 番頭「滅相もございません。旦那様のお手並みでございます」 旦那「そこでじゃ、わしの最後の頼みを聞いてくれ」 番頭「えっ!まさか私にこの店を継げと…!ありがたい話でございますが、手前にはまだまだ荷が重うございます。えっ!それでも是非にと?…それならば私、身命を賭して…」 旦那

小説を朗読していただきました

note創作大賞・オールカテゴリ部門に挑戦中の『たどりついたら猫の島』を、いつもお世話になっているミクロマコさんが朗読してくださいました。 【朗読ライブ】「たどりついたら猫の島」 素晴らしいです。嬉しいです。台本を朗読していただいた時とはまた違った感動がありますね。ありがとうございました。 ミクロマコさんもエッセイ部門でnote創作大賞に応募なさってます。御父様への思いが込められた素敵な文章を是非皆さんも読んでみてください。 ビートルズで見送って【エッセイ】 もとも

【9分落語】残業神

男「(あくびをして)…ああ、もう日付が変わっちゃうなあ。我ながらよく頑張ったよ。そろそろ帰る準備でもするかな…」 神「眠気に耐えて、良く頑張った!感動した!」 男「え!?誰ですか!?」 神「わしはこのオフィスに取り憑いておる、残業を司る神、残業神じゃ」 男「残業神!?たしかに杖持って、それっぽい格好してるけど…神様なんですか?迷子の老人じゃなくて?」 神「ならば証拠を見せよう。ウョギンザ!ホイ」 男「わ!何か出た!?」 神「リポビタンゴールドエースじゃ。飲んでもうひと頑張りす

『ツダマンの世界』と松尾スズキさんの戯曲

松尾スズキさんのお芝居にずいぶんとハマっていた時期がありました。90年代の中頃から2000年代の初頭くらいにかけてでしょうか。ギャグの面白さは勿論のこと、複数のエピソードが渾然一体となってラストに向かって収束していくカタルシスがとても衝撃的かつ魅力的で、地方在住にも関わらず東京・大阪までよく遠征して観劇していたものでした。 時代は流れて、演劇はあまりカタルシスを追わなくなった気がします。「衝撃的なことは登場人物の内面で起きており、舞台上では派手なことは起こらない」みたいな静

目黒のさんま新作落語コンテスト用の台本を書きました

※5/1 こちらの募集は締め切らせていただきました。 ありがとうございました! 毎年、東京都目黒区が開催している「目黒のさんま新作落語コンテスト」。「オリジナルの目黒にまつわる新作落語を作成」し、「それを演じて、動画を撮って応募」するという、かなりハードルの高い大会です。 そこで今回、お題に沿った台本を私が書きましたので、希望するアマチュア落語家さんに提供したいと思います。応募要項に「作者と演者は同一で」とは書いてないので、提供という形にすればおそらくOKだと思います。

山形市「どもフェス」で自作落語披露

3月20日、春分の日、山形市で吃音への理解を広めるためのイベント「どもフェス」が行われたそうです。 お笑い芸人のインタレスティングたけしさん、アマチュア落語家こいのすけさん、大道芸のりくとさんなどが出演された模様。こいのすけさんは私の『先駆け一代記』をまたかけてくださったようで、ありがたいことです。聴きに行きたかったな~。 こういうイベント、良いですよね。何でもそうですが、一人で悩んでいるのは辛いものです。しかし仲間がいる、前向きに捉えている人達がいる、ということが広まる