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#考えたこと

お母さん (日記)

お母さん (日記)

遠い昔、母が語った言葉が、ふと蘇る。
当時、私は小学生だった。
その話しを聞いた時、何だか切なくて胸が苦しくなったのを覚えている。

当時、母はどこかで聞いてきた話しを語り始めた。
話しの内容は、こうだ。
ある所に、母親を亡くした少女がいた。
就寝時には、毎回母親の着物を胸に抱きながら、眠りに就いた、と。

私は話しを聞きながら想像した。
少女は、まだまだ母親が恋しい年頃だろう。
母親の残り香は、

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「大河の一滴」 五木寛之

「大河の一滴」 五木寛之

「人はみな大河の一滴」ふたたびそこからはじめるしかないと思うのだ。」

「大河の一滴」 五木寛之

五木寛之さんは、この本の中で

「人はみな大河の一滴」
であると語っています。

人は生まれながらにして、「生老病死」という重い枷をはめられて生まれてきます。

故に

五木さんが最近、本気で思うようになったと記している空想の物語があるといいます。

それが、人間は「大河の一滴」であるというストーリ

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決意 (詩)

決意 (詩)

ありきたりな言葉だけど
潮どき、かもね
この恋、そろそろ終わりにするわ
一時の幸せより、未来の幸せを望んでるの
だから、私を探さないでね

私より大事な人
大事なものがあること
分かってるわ
それでも構わない
そう思ってた

だけどこれ以上あがいても、もう前には進めない
あなたを独り占めにできない
ここから去っていくしかないみたい

大丈夫よ
寂しさには慣れてるから
私には1人が似合う

だから

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希望をもてなくてもいい

なりたい自分になれなくてもいい

どんなに頑張っても上手くいかず
自分を見失う事もある

悲しみに暮れて何も出来なくてもいい

今はタイミングが悪いだけ

いつまでも続く幸せはない

いつまでも続く不幸もないよ

いつかあなたの居場所がみつかりますように

深海 (掌編小説2000字のホラー)

深海 (掌編小説2000字のホラー)

もう、何も見たくない。
何も聞きたくない。
何も考えたくない。
何も感じたくない。
無、になりたい。

早朝、私は船の甲板から眼下を見下ろす。
そこにあるのは群青色の海面。
潮の流れが激しいのか、所々渦を巻いている。
凝視していると、吸い込まれていくような感覚に陥った。

(あそこに飛びこめば、楽になれるだろう。
寂しさと苦しみから開放される)

飛び込んだ後、しばらくは苦しいかもしれないが、

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あと1分だけ ❲掌編小説❳

あと1分だけ ❲掌編小説❳

助手席に乗り込んだ途端
私は怯える。
また、いつものように時間が瞬く間に過ぎ
別々の場所に帰る時が訪れる。
その辛さに耐えるのは
容易ではないことを知ってるから。

「久しぶりだね。今日は何時まで大丈夫なの?」
彼の問いに、いつも通りと私は答える。
私の胸中など知る由もなく、彼は車を発進させる。
やっと会えて嬉しいはずなのに、私は途端に寂しくなる。

ハンドルを握る彼は
時折、笑顔を向けてくる。

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宙ぶらりん [短編小説]

宙ぶらりん [短編小説]

激しく窓を叩く雨音。
部屋中がざわめく。
こんな嵐の夜は、自分は地球上に取り残された
唯一の人間のように思えてくる。
全人類が死に絶え、自分1人だけが生き残った
ような感覚。

孤独で不安な夜に、私は彼を想う。
心の中で問いかける。
生きてる?

それを、確かめる術はない。
ただ、問いかけることしかできない。

例えば、もし、呼吸もままならないほど
痛みに耐えきれないほどの病に伏してるとしたら

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カッコウ

カッコウ

今年もまた、カッコウが鳴いてるよ。
カッコウ、カッコウ、って一生懸命鳴いてるよ。
母さん、聞こえる?

「カッコウは、カッコウって鳴くから、カッコウっていう名前なの?」
小学生だった私は、母に尋ねた。
「そうかもしれないね」
母は微笑んだ。

カッコウの鳴き声は、初夏の便り。
毎年、5月の中旬を過ぎると、実家の裏山で
美声を響かせる。

【カッコウ、カッコウ、カッコウ、
カッ! カッ! カッ! カ

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拭えない 消えない

拭えない 消えない

油断すると、あいつはすぐさま

心の隙間に忍び込む。

「あっちに行ってよ!」

追い払っても

飼い犬のようにすり寄ってくる。

それは、未来への漠然とした不安。

芥川龍之介が自ら命を断った理由も

ぼんやりとした不安が原因だったとか。

私は溜め息をつく。

拭っても、拭っても消えない不安。

Tシャツに過ってつけてしまった口紅を

何度も擦って拭おうとしても、なかなか取れずに

擦っている

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堕 ち る ❲短編小説❳

堕 ち る ❲短編小説❳

「この講座を受講した、きっかけは何ですか?」

彼の声は、彼にそっくりだった。
想像していた通りの声だ。
これほど、顔と声が一致した人物は初めてだ。

「小説を読んだり書いたりするのが好きで、
いろいろ参考になれば、と思ったので受講しました」
「そうなんですか。創作もしてるんですね。
今も、何か書いてるの?」
重ねて聞いてきた彼の声に、鼓動が高鳴る。
声の質が、あまりにも心地良いのだ。
真希は、ど

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ウキウキ ドキドキ! 発表会

ウキウキ ドキドキ! 発表会

先日、22日はベリーダンスの発表会でした。
本当は、1月の予定でしたが、コロナ感染者
激増で結局今月まで伸びてしまいました😅

当日は、気温も高かったため、
リハーサルだけで汗かいちゃって、メイクも髪も崩れてしまいました~

前回のイベントは、1年4ヶ月前。
久しぶりだったせいか、やはり少し緊張しました。
が、ステージに上がると、ちゃんと踊らないと、って気合い入りました!

でも、途中振り付け間

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