もいちゅん

フォトグラファー・イラスト作家、もいちゅんです。 手芸全般、神社仏閣、小説書く・読む、…

もいちゅん

フォトグラファー・イラスト作家、もいちゅんです。 手芸全般、神社仏閣、小説書く・読む、料理、買い物、ゲーム等々、多趣味が自慢です。 日々思ったことを書いていきます。

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記事一覧

心の中で王者は呟く

バカバカしいプランニングを立てて、へろへろになりながらタスクをこなした。 趣味は金にならず、ただただストレスで圧死しそうな状態だった。 努力を重ねたいという自分…

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罰当たりな想像

包帯を巻いた指をすりすりとさすって「罰が当たったんだろうか」と言う老女がいた。 彼女は整骨院に、怪我してから十日も経ったその指を見せに来ていた。 整骨院の先生は、…

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荒唐無稽な君は

鷲田清一の「素手のふるまい」を読み始めた。 内容が詰まっているので、開始10ページから意見を持ってしまう。 アウトサイダーがいる 独学がいる 芸術・文学・手工芸の…

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方向転換

一年ほどノートを書いていなかった。 多分、理由は小説公募に落ちた悲しさから、意欲を失くしていたからだと思う。 そもそも自慢できるような人生を歩んでるわけでもない…

2

スノードーム・テラリウム(公募落ち作品)

 僕はその時、まだ大学の修士の研究生でした。僕は、教授に連れられ、二人で、最近連絡が取れないという教授のご友人の研究者の元に、ご健在であるか確認するために伺いま…

3

いのちをつなげる

生きる理由は、高校までは少年誌だった。 毎週のジャンプとサンデーが楽しみで、つらい中生きることを頑張っていた。 今は、昔よりずっと立場は弱くなったが、何にも追わ…

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小説家と鳴家(やなり)

 此れにて文机に向かい、原稿用紙に付けペンで文章を認めているのは、とある小説家である。此処は、その小説家の従弟の経営する旅館で、初夏の今、客が少ないからと、割安…

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反省

昨日書いたスマホと電車の記事、 あの後自分の思慮が浅いと猛反省したのであった。 母に意見を求めた時、 「みんな疲れててスマホぐらいしかすることないんじゃない?」…

2

スマホに釘付けになる人々

電車に乗ると、みんな一様にスマホの画面を見つめて、何やら突っついている。若者から中年、時には老人まで。 正直、スマホでゲームをやらない、ライトユーザーの私からす…

2

心の力

 現代美術に於いて、メッセージ性というのは当たり前に備わったものかもしれない。 作品に何か思ったことを書いて、キャプションをつける。それは、作品を制作している…

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日傘

日傘といえば、大抵の人は雨傘より小ぶりの、小さな女性用の愛らしい日傘をイメージするのではないだろうか。 私は、大女である。身長は男性並みにあるし、肩幅も大きめだ…

1

きらいなこと

人間関係初心者みたい 同じ人のことで延々悩んで たどり着いた答えは自己都合 体の良い言い訳みたいだね 私はきっと嫌われている そう考えながら三回シャワーを浴びる…

4

私はずっとストイックだった。

小中高校と、異性と付き合ったことはなかった。 私はずっとストイックだった。勉強最優先の進学校で、悪くない点数を取り続け、そしていつしか心を病んだ。 心を病んでも…

5

王国/中村文則 読了

本作は私の大好きな中村文則の作品・掏摸の続きとなる物語だ。 主人公・ゆりかは子供時代を施設で過ごした。大人になってから出会った友人の死後、その息子が同じ施設に通…

4

ポストカード上がった!どこで売ろう…

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短編作品を公開しました。
登録なしでも読めるみたいです。

エブリスタ「小説家と鳴家(やなり)」甲原貴穗
https://estar.jp/novels/25669126

5
心の中で王者は呟く

心の中で王者は呟く

バカバカしいプランニングを立てて、へろへろになりながらタスクをこなした。

趣味は金にならず、ただただストレスで圧死しそうな状態だった。

努力を重ねたいという自分でかけた暗示に負け、とうとうはじけて入院生活。

あほらしいが、半ば習慣になりつつある。

やめてしまえ。

なにもしなくていい。

そう呟かれても、手は作業を欲する。

ここは心の中の王者に倣って、なにもかもを手放すべきかもしれない。

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罰当たりな想像

包帯を巻いた指をすりすりとさすって「罰が当たったんだろうか」と言う老女がいた。
彼女は整骨院に、怪我してから十日も経ったその指を見せに来ていた。
整骨院の先生は、笑って「そうかもしれませんね」と一言。日常の会話の一幕かもしれないが、違和感を覚えた。

彼女はきっと、幼少期の躾で唱えられた「罰」という概念を、大人になった今も持っている。
それを、彼女は大人になって自分の子どもに繰り返したかもしれない

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荒唐無稽な君は

荒唐無稽な君は

鷲田清一の「素手のふるまい」を読み始めた。

内容が詰まっているので、開始10ページから意見を持ってしまう。

アウトサイダーがいる
独学がいる

芸術・文学・手工芸の世界にはよくあることだ。

だが、アウトサイダーは本物に近づけるか?

最近出したグループ展で、写真を酷評された。

相手は色んな講座で写真を習ったおばさんだった。

独学者は、履修者の初歩に近づくまでに、大きな道のりがある

型に

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方向転換

方向転換

一年ほどノートを書いていなかった。

多分、理由は小説公募に落ちた悲しさから、意欲を失くしていたからだと思う。

そもそも自慢できるような人生を歩んでるわけでもないし。

私はずーっと、一発逆転の勝負を狙っていた。

技術を磨いた写真は独創性が無く諦めた。

文章なら……と思っていたが、これもなかなか壁が高そうだ。

しかしまだ続けている。

少し話は変わるが、私は高校生の頃、受験勉強が嫌になった

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スノードーム・テラリウム(公募落ち作品)

スノードーム・テラリウム(公募落ち作品)

 僕はその時、まだ大学の修士の研究生でした。僕は、教授に連れられ、二人で、最近連絡が取れないという教授のご友人の研究者の元に、ご健在であるか確認するために伺いました。辿り着いた場所は、海辺の、断崖の上の研究所でした。ご友人は、教授より大分若い、学派の後輩に当たる方で、僕の教授が准教授になる頃までは、同じ研究室で互いに切磋琢磨しておられたそうです。

「さて」

 教授は立ち止まり、目の前に聳える建

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いのちをつなげる

生きる理由は、高校までは少年誌だった。

毎週のジャンプとサンデーが楽しみで、つらい中生きることを頑張っていた。

今は、昔よりずっと立場は弱くなったが、何にも追われていない、健康的な生活を送っている。

それでも生きるために継続するものが要る。

私の場合、これは何かを書くことではない。

生きる楽しみ。

完成を楽しみに、目標まで続けること。

それは、編み物だ。

夏から五本もスヌード(輪っ

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小説家と鳴家(やなり)

小説家と鳴家(やなり)

 此れにて文机に向かい、原稿用紙に付けペンで文章を認めているのは、とある小説家である。此処は、その小説家の従弟の経営する旅館で、初夏の今、客が少ないからと、割安で勧められた部屋を、小説家は勧められるがまま借りたのであった。この部屋、少々曰く付きである。昨晩小説家が風呂に渡ろうとすると、ガタピシと天上が鳴ったのであった。この部屋に入った時から、建て付けが悪いのか、天井や柱がよくピシリと鳴る気はしてい

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反省

昨日書いたスマホと電車の記事、

あの後自分の思慮が浅いと猛反省したのであった。

母に意見を求めた時、

「みんな疲れててスマホぐらいしかすることないんじゃない?」

と言われた。スマホは受動的に見れるから、と。

確かに。

自分の思考の幅は狭い。

困った困った。

たかほ

スマホに釘付けになる人々

スマホに釘付けになる人々

電車に乗ると、みんな一様にスマホの画面を見つめて、何やら突っついている。若者から中年、時には老人まで。

正直、スマホでゲームをやらない、ライトユーザーの私からすれば、「何をしているの?」という感じだ。

SNSかもしれないし、ゲーム、ニュース、誰かと連絡を取っているかもしれない。

かく言う私は、たまにスマホを触りはするが、基本的に電車内では編み物をしたり、読書をしたりする。

この、編み物とい

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心の力

心の力

 現代美術に於いて、メッセージ性というのは当たり前に備わったものかもしれない。

作品に何か思ったことを書いて、キャプションをつける。それは、作品を制作している時に生まれるなら良いが、後付けなら、本当の価値とは言いづらい。

写真を撮るときに「印象」を大事にする私は、後付けの解説を好まない。

では、文芸に於いてのメッセージ性はどうだろうか。

これは決して後付けはできない。文章を芸術だとすると

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日傘

日傘

日傘といえば、大抵の人は雨傘より小ぶりの、小さな女性用の愛らしい日傘をイメージするのではないだろうか。

私は、大女である。身長は男性並みにあるし、肩幅も大きめだ。

その私には、女性用の小ぶりの傘はあまりにも小さい。見た目の問題だけでなく、日除けとしての役割もあまり為してはくれないのだ。

その私が、とても気に入っている傘がある。

晴雨兼用傘、というのはよく耳にする。日傘が主な用途だけれど、雨

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きらいなこと

人間関係初心者みたい

同じ人のことで延々悩んで

たどり着いた答えは自己都合

体の良い言い訳みたいだね

私はきっと嫌われている

そう考えながら三回シャワーを浴びる

やめよう もうやめようよ

その人放ったらかしにしてみなよ

きっと無理だけどサ

ちょっと気が楽になるだろうよ

バカみたいな恋愛脳してないで

もう別の人生生きれば良いのに

たかほ

(思春期かよ…)

私はずっとストイックだった。

私はずっとストイックだった。

小中高校と、異性と付き合ったことはなかった。
私はずっとストイックだった。勉強最優先の進学校で、悪くない点数を取り続け、そしていつしか心を病んだ。

心を病んでも真面目な性質はなくならなかった。今誰かと付き合うと、相手の精神を引きずり下げてしまうから、誰とも付き合わないでおこうと考えた。当時は中3。少年漫画ばかり読んでいたが、恋には憧れていた。

それが、倍の年齢になった今。
やっと心の病をほぼ治

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王国/中村文則 読了

本作は私の大好きな中村文則の作品・掏摸の続きとなる物語だ。

主人公・ゆりかは子供時代を施設で過ごした。大人になってから出会った友人の死後、その息子が同じ施設に通いだし、その子供を愛し、病から助けるために、闇へと沈んで金を稼ぎはじめる。

この闇に潜む男が格好良い。

掏摸の時は、自分もスリに手を染めたい衝動を抑えるのが大変だった。とにかく格好良い。この本を薦めた友人は、目の前で男性(友人)の文庫

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