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心の力

 現代美術に於いて、メッセージ性というのは当たり前に備わったものかもしれない。

作品に何か思ったことを書いて、キャプションをつける。それは、作品を制作している時に生まれるなら良いが、後付けなら、本当の価値とは言いづらい。

写真を撮るときに「印象」を大事にする私は、後付けの解説を好まない。

では、文芸に於いてのメッセージ性はどうだろうか。

これは決して後付けはできない。文章を芸術だとすると、創作する上で込められる「意志」は、これこそが現代芸術だと言えるメッセージ性だと感じる。

こういった「メッセージ性」を芸術、ここでは特に文章に込めるのは、「心の力」が必要だと思う。

今の政治やニュース、人々の在り方に何か意見を提示する時は、世の中を斜めに見る力と、自分の意志を伝え切る意志の力が必要だ。

最近読んでいる、中村文則の「自由思考」というエッセイ集を読んで、強烈にこれを感じた。

この人は、「心の力」がすごい。

自分の意見を伝えることに臆さないし、生命を削って書いてるんじゃないかと思うほど、意志の力が強い。それに主張がストレートだ。

私なら、こんな文章を書いたら、暫くは心が渇れてしまいそうだ。

真似したいけれど真似できない、そんな魅力のある作家だ。

自分もこんなエッセイが書けたら、なんて思うが、まずは物事に自分なりの意見を持てるよう、見識を広めるところからのスタートになりそうだ。

意志はある。だからこそ、メッセージ性は込められそうだが、芸術としての技能がまだまだ磨かれていないので、私は大家の文章を読み、追いかけることになりそうだ。

たかほ

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