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#旅のフォトアルバム
かくして路頭に迷うことなく、非華麗なる海外転職
火曜日から水曜日へと日付が変更した瞬間。
真夜中ではあったが、私はシャンパンを冷蔵庫に入れて冷やした。五年前に戴いたロゼ・シャンパンだ。可愛らしいピンクのバッグに入っている。あまりに可愛らしいから勿体なくて開けることが出来なかった。
このシャンパンの栓を抜く時は、何か特別なお祝いをする時だ、大切に保管をして来たが、ついにこれを開ける時が来た。
ついに転職先企業にて正社員になっ
この小さな国が世界第三位の輸出量を誇るものと、あの時代
皆様はスポティファイ(Spotify)というものを御存じであろうか?
もし、既にお使いであると仰るのなら、これがどの国で開発されたシステムかを御存じであろうか?
私も最近知ったが、スウェーデンである。
それでは『The Final Count down』で有名な、ヨーロッパ(Europe)という大胆な名前のバンドはどこの国の出身がご存知であろうか。
ヨーロッパには違いないが、ヨー
ウーマンリブとプロセッコと友情と
仕事の帰り道、ふと、正面から歩いてくる女性が視界に入る。
その女性は、長くサラサラの茶髪を野球帽の下に纏め、グレーのジャージ姿でポメラニアン犬の散歩をしていた。バービー人形のように非現実的に完璧な容姿と体型を擁する方であった。年の頃は20歳代後半、30歳代初頭であろうか、少なくともそのように見える。
彼女は私の視線に気が付くと、立ち止まり、私に親しい声を掛けた。
「ねえ、私のこと憶えて
隣の芝生は青い、とは限らない
「例えばだよ、東京に二十年住んでいて、一度も外に出たことがない人がこの景観を眺めたらどう感じるんだろうね」
橋を渡っていた時、スウェーデン人男性の声が明瞭に響いて来た。中高年の二人組の一人の声であった。
私は一瞬歩きを止めた。通常、赤の他人の会話には注意を払わないが、やはり自国に関する名称は聴覚を過敏にする。
日本人である私の姿が彼らの視界に入り込んだのか、おそらく違う。
この場所
市庁舎の鐘の鳴る島 私の街角
市庁舎の鐘塔は、あたかも錯乱したかのように、キンコンカーンコーンと鐘を鳴らし始める。この瞬間のみ、時代は中世に遡る。
鐘の音は、私にとっては一様に、哀調を帯びているように響く。鳴っている最中も、その後も。
そのような感を抱きながら市庁舎の足元に佇んでいると、自身が、除夜の鐘の国を去って欧州に根を下ろして来たことを改めて認識する。
先週の金曜日は、近くにて用事があったため、数年ぶり
心の中で描いていた童話の里を訪れてみると
その里のことは以前から時おり耳に挟んでいた。
「長くつ下のピッピ」の著者、アストリッド・リンドグレン女史の「やかまし村の子供たち」などを読んだあと、この里のイメージが自分の中で勝手に先行してしまったのかもしれない。
この里には、小さな平坦な村に小さな古い木造の家が点在しており、その中の数軒が飴屋さんになっている。そのようなイメージであった。
こちらでは先週末が「キリストの昇天日」に因
拝啓 ストックホルムより
日本在住の知人からちらほらと、こちらの日常を案ずる連絡を戴き始めた。朝方の四時に携帯メッセージで起こされたこともある。時刻はともかく心配して下さる思慮は有難い。
「食料に関しては現在のところそれほど心配することはない」、とある政治家が発表されていた。
「買置きは推奨しますが、買占めは止めましょう」、などの呼びかけがあちらこちらのメディアで見掛けられるようになった。買置きと買占めの違い
巨万の富を得たご令嬢 壺に嵌まる
思いがけなく勤務先から休暇を戴いたので、あるご夫婦のお屋敷を訪ねてみることにした。
彼らのお屋敷はストックホルムの中心に位置している。彼らがその屋敷を購入した当時は日本円にして3千万円程度(当時としては巨額)であったらしいが、現在この物件(建物)を購入をすることが可能であるとすれば、おそらく30億円は下らないのであろうか。人気物件は、大抵の場合は、競売になるのであろうから価格はさらに吊り上げ
ある商人の選択 森の奥の晩餐館
「是非、案内したいところがあるの。きっと趣向に合うと思う」、と陽子さんは言う。
彼女は運動靴で深緑の森の中をグングンと歩いて行き、私はハイヒールで彼女の後ろを追った。
季節は夏の真っ盛り、足元は砂利真っ盛り。
途中、美しい庭園カフェを通り過ぎた。咲き乱れる花の中でシャンパン・グラスを傾けている人々のシルエットが眩しかった。
陽子さんは赤い煉瓦の建物の前で立ち止まった。
ストッ