トイレに行ったら タケシが先に入っていた 自転車で駅まで送って行ってよ いつの間にかスーツに着替えていたタケシが言った タケシを乗せて自転車をこぐのは重たいなあ 嫌…
君のことを愛したいのに どうしても愛することができない せめて友だちでいたい でも君は 僕の言うことなど聞きもしない いきなり襲ってくる 刺せるところならどこでも刺し…
JR灘駅を 山側に歩けば王子公園に 海側に歩けば 私が毎日働いていた会社に 行き着く 灘駅から会社に向かう道の途中に 肉とマッコリがたまらなく旨い焼肉屋がある 毎朝八…
さわやかな九月一日の朝 小学校の窓ガラスをがたがた鳴らせて 風の又三郎が帰ってきた ゴーシュがもうセロを弾けなくなったぞ 年取って指が動かねえって シューマンのトロ…
雨の日も椋鳥は鳴く 欅の枝に群れに群れ 鳴くに鳴く 世界中の欅の葉を集めたよりも多く ただ 鳴くに鳴く まるで 打ちまちがえたメールが 空を飛び交うように 少女は心を…
桃をかじったあとは 執念深い繊維が歯にからみつく いつもこうだと思いながら 唾を吐く 道の真中を歩いたら雷にうたれるきに 注意しいや 祖母は しゃぶりつくした魚の骨を…
ありのまま ありのまま 人間の子供に捕まって コップの底に沈められそうになったことがある 子供が勉強部屋に戻った隙に キッチンから逃げだした 玄関の隅に隠れていた ト…
老いぼれてたどり着いた 鄙びた教会で 涙ながらに 牧師から職を与えられた かつての肉体派女優 快楽の極みを死にとりかえた アイドル歌手 彼女はインタビューに こう答え…
私の決意は1ミリたりとも動きません? 1ミリだって? そんなみみっちいこと言わずに 1000キロでも 500マイルでも 好きなだけ動けばいいじゃないか いったい何を…
砂場で 三人の子供たちが 自分たちよりも大きな穴を 掘っていた そんなことわかってるよ と言いあいながら 子供たちは 自分たちが掘った穴を 覗き込んでいた どうしても …
悲しいひとだけがいた ぼくの横に君はいない 悲しいひとがいるだけだ 悲しみを知ったひと 悲しい時に 悲しいと言ってはいけない? そんなことを言う詩人を 信じてはいけな…
茶色い目をしたヒマワリが 車から降りてきた マリーゴールドも 後ろからついてきた わたしちょっと休みたいの 日当たりのいい部屋にしてね マリーちゃんは 庭で休んでらっ…
笑い続けることはできる 泣き続けることができるなら 雨は降り続けることはできる 時間を忘れることができるなら ゆきたいところにゆくことはできる すべてを捨てること…
どうしても書いておきたいことがある 私はアリをコップの水で溺死させたり、小さなバッタを冷蔵庫の製氷室で凍死させたり、カエルを2B弾で爆死させたりして遊んでいた。…
何かを置き忘れたような朝 二人の少女が階段を駆け登っていた 既に過去となった未来が 今を目覚めさせる 将来は医者になるのが夢だった少年が 定年を三年後に控えたサラ…
- ビートルズの “Things We Said Today“ に捧げる - 言ってしまったことは仕方がない 言わなければよかったと 今さら後悔したって仕方がない 想い出は消えても 言っ…
西岡泉
2024年8月21日 10:39
トイレに行ったらタケシが先に入っていた自転車で駅まで送って行ってよいつの間にかスーツに着替えていたタケシが言ったタケシを乗せて自転車をこぐのは重たいなあ嫌やなあ大雨が降って来た玄関閉めてきてミチの声土砂降りの雨で大きな渡り廊下がびしょ濡れになっていた海を泳いでいた横で白いテリアが懸命に泳いでいた海の端まで泳いだ向こうにまた海が見えた「海だーっ」と犬が叫んだ犬は子供の
2024年8月14日 10:54
君のことを愛したいのにどうしても愛することができないせめて友だちでいたいでも君は僕の言うことなど聞きもしないいきなり襲ってくる刺せるところならどこでも刺してくる僕も仕方なく身を守る先制攻撃だってするお互いに相手を尊重し合おう自分とは違う生き方も認め合おう君のことを理解しようとしたこれまでのことを水に流そうともしたブーンという音がすべての努力を台なしにするキンチョー
2024年8月7日 10:43
JR灘駅を山側に歩けば王子公園に海側に歩けば私が毎日働いていた会社に行き着く灘駅から会社に向かう道の途中に肉とマッコリがたまらなく旨い焼肉屋がある毎朝八時から九時前まで何百人という社員がその店の前を通ったザッ ザッ ザッ ザッ兵隊さんが行進してるみたいやったであんたらの足音韓国人のおばちゃんが私に言ったオレは兵隊だったのか オモニひとは殺さずに自分を殺していたよ何
2024年7月31日 10:14
さわやかな九月一日の朝小学校の窓ガラスをがたがた鳴らせて風の又三郎が帰ってきたゴーシュがもうセロを弾けなくなったぞ年取って指が動かねえってシューマンのトロメライも弾けねぇってそういう又三郎もずい分年を取って風のマントがよれよれになっていた杖をついた三人の老人たちが教室に集まってきた嘉助と佐太郎と耕助だったこれからゴーシュのところに行くぞイギリス海岸に沿って町に向かい
2024年7月24日 10:15
雨の日も椋鳥は鳴く欅の枝に群れに群れ鳴くに鳴く世界中の欅の葉を集めたよりも多くただ 鳴くに鳴くまるで打ちまちがえたメールが空を飛び交うように少女は心を折り畳んで雲母のように光る小箱にしまう涙が渇いてもまだ残っているものがあるぼくが君だった頃ため息には価値があった昼間に空に飛んで行った魂が夜には欅めがけて帰ってくる君はまだ泣くことができるだろう?血管の中には
2024年7月17日 09:51
桃をかじったあとは執念深い繊維が歯にからみつくいつもこうだと思いながら唾を吐く道の真中を歩いたら雷にうたれるきに注意しいや祖母はしゃぶりつくした魚の骨を冷や飯の上にのせて茶漬けにして食べていた高知県香美郡土佐山田町八井田病院のみえる川辺でぼくはアオハダトンボをまちうけていた青い半ズボンに木綿のランニングシャツ肩には三角罐をかけている(木綿ではなくナイロンのシャツだ
2024年7月10日 11:10
ありのままありのまま人間の子供に捕まってコップの底に沈められそうになったことがある子供が勉強部屋に戻った隙にキッチンから逃げだした玄関の隅に隠れていたトノサマバッタの背中に乗って命からがら庭の草むらへ飛び込んだ逃げ遅れた友達はキュキュット除菌洗剤の泡を全身に浴びてステンレスの流し台の上で息絶えていたありのままでいることはキケンだいつ人間にひどい目にあわされるか分か
2024年7月3日 11:00
老いぼれてたどり着いた鄙びた教会で涙ながらに牧師から職を与えられたかつての肉体派女優快楽の極みを死にとりかえたアイドル歌手彼女はインタビューにこう答えた <今年は賞をいただいて最高に幸せでした 来年もがんばります>海と戯れるときのあなたの肌は原始の輝きを蘇らせるぼくらは海に由来する生き物なのだそれにしてもぼくらに肉体があるとは!波は塩辛い想い出を砂浜に
2024年6月26日 10:50
私の決意は1ミリたりとも動きません?1ミリだって?そんなみみっちいこと言わずに1000キロでも500マイルでも好きなだけ動けばいいじゃないかいったい何を言いたいの?1ミリだって?動いたかどうかどうやって測るんだい?こころを定規で測れないだろずるしちゃだめだよこころはラバー・ソウルラバーは伸びたり縮んだりソウルは魂靴底でもいいけどこころが空っぽでああ はち切れそ
2024年6月19日 10:57
砂場で三人の子供たちが自分たちよりも大きな穴を掘っていたそんなことわかってるよと言いあいながら子供たちは自分たちが掘った穴を覗き込んでいたどうしてもこころが通い合わないそんなことがある書いた手紙を出すかどうか迷うそんなことが君にもあっただろうやりたくないそんなこと人生はそんなことで満ちているその気になれば変えることができるそんなこと砂場の子供たちよ掘
2024年6月12日 10:36
悲しいひとだけがいたぼくの横に君はいない悲しいひとがいるだけだ悲しみを知ったひと悲しい時に悲しいと言ってはいけない?そんなことを言う詩人を信じてはいけない通りやすいところばかり通っていると行きたいところに行けなくなる夢のひと夢のなかに君はいない悲しい人がいるだけだ君の顔をたしかに見た場所がある心を合わせれば行けたかも知れないオレンジ色に光る夕空の果て君を呼び続
2024年6月5日 10:10
茶色い目をしたヒマワリが車から降りてきたマリーゴールドも後ろからついてきたわたしちょっと休みたいの日当たりのいい部屋にしてねマリーちゃんは庭で休んでらっしゃいヒマワリをサンルームに案内してあげた細い首の上で頭がゆらゆら揺れていた大谷翔平のボブルヘッド人形みたいだったオレンジジュースを出してあげたらストローで器用に飲んだ私の種はまだ食べないでそう言ってまばたきしたら
2024年5月29日 10:18
笑い続けることはできる泣き続けることができるなら雨は降り続けることはできる時間を忘れることができるならゆきたいところにゆくことはできるすべてを捨てることができるなら企はこのようにいつもタイトルも与えられないまま取り換えられた物語にはおわりがあるうそにはおわりがないように夢にはおわりがある鉄格子にはおわりがないように愛の唄にはおわりがあるわかれにはおわりがないよ
2024年5月22日 10:41
どうしても書いておきたいことがある私はアリをコップの水で溺死させたり、小さなバッタを冷蔵庫の製氷室で凍死させたり、カエルを2B弾で爆死させたりして遊んでいた。いったいどれだけの命を奪ったことか。そんな遊びに耽っていた子供の頃からずっと考えていることがある。それは、自衛隊を軍隊ではなくて、あの「サンダーバード」のような国際救助隊に変えることはできないかということである。「サンダーバード」とは世界
2024年5月15日 10:11
何かを置き忘れたような朝二人の少女が階段を駆け登っていた既に過去となった未来が今を目覚めさせる将来は医者になるのが夢だった少年が定年を三年後に控えたサラリーマンになってしまっていたそんな現在の自分にがく然とするというようなことなのかそんなしょぼくれたことじゃないだろう夕べ寝る前は明日だったはずなのに夜が明けたら今日になっていた今からどうやって生きていけばいいんだと布
2024年5月8日 10:23
- ビートルズの “Things We Said Today“ に捧げる -言ってしまったことは仕方がない言わなければよかったと今さら後悔したって仕方がない想い出は消えても言ってしまったことは消せない取り返しがつかなくなっても仕方がないもう言ってしまったんだからそう言おうと思って言ったんだろう?だからいいじゃないか言わなかったことにして欲しいなんてこと言いだしたら歴