あなたはパンなのお菓子なの

あなたはパンなのお菓子なの

「ねっ、今日のお菓子……」 「今日のお菓子は、シナモンロールだよ」 少女は食べたいお菓子をねだろうとし、もう一人の少女はそれを言わせないために、素早く今日のお菓子の名前を答える。 二人の少女が、朝食後にやるいつもの問答だ。 「シナモンロール……ってなに」 「さあね。知りたいと思うなら、本を探してきたらどうだい?」 「もしかして……また変なお菓子だったりして……」 「失礼だなあ。変なお菓子なんか、ひとつもないよ。今日は作るのに少し時間がかかるから、お昼ごはんは一人で食べてく

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第158回 カーテンコール

第158回 カーテンコール

あなたの家の窓には何が掛かっているだろうか。 何がというのはつまり、カーテンか否かということである。 うちは日本家屋なのでカーテンなるものはない、障子だという人もいるかもしれないが、いまや純然たる日本家屋に住んでいる人の方が少ないだろうから、大なり小なり普通の窓には何か掛かっているだろう。 カーテンの歴史は古代エジプトに遡る。と書いて思うのだが、西洋の文化のルーツはほぼ全部古代エジプトと言っておけばいいのでは。 閑話休題。古代エジプトでは動物の皮を入り口に吊るしていたそうだ

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お団子みたいにくっついて

お団子みたいにくっついて

もう一人の少女は、ベッドの中で眠れずにいた。 理由はただひとつ。今日のお茶会のときに、少女に「すき」と言われ、自分も「すき」と返してしまったことだ。 無意識だったため、自分が少女に「すき」と言ってしまっていたことに気づいたのは、夕食の後片付けをしているときだった。 (……僕はあのとき、なんてことを口走ってしまったんだろう……) 月明かりに照らされながら、もう一人の少女は反省していた。 最初は、何も知らない、何も分からない、何もかも失くした少女と、うまく生活できるか不安だ

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少 女 礼 讃 |#679|山と雪と旅の果て(十七)|5152-5158
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少 女 礼 讃 |#679|山と雪と旅の果て(十七)|5152-5158

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君が決めてパウンドの味

君が決めてパウンドの味

朝食後の片付けも終わり、二人の少女はゆったりとした時間を過ごしていた。少女は珍しく椅子に座ったまま、お菓子の本を眺めている。どれも美味しそうで、どんなものなのか確かめたくて仕方ない。 少女が本を読んで食べた気分になっていると、もう一人の少女はニコニコと何か企んでいるような笑みで、少女の目の前に座った。 「なによ。変な笑顔して」 「失礼だなぁ。君に、とても大切な仕事を頼みたいんだ」 「仕事ぉ……?」 もう一人の少女は、机の上に雑誌の切り抜きを並べ始める。そこには、色や中身こ

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K氏の夢

K氏の夢

K氏は夢を見た。 そこは砂丘だった。 おそらく寝る前に読んだ安部公房の『砂の女』が影響しているのだろう。 彼は少女を伴っていた。 あの白痴の少女だった。 屈託のない彼女は、終始、笑顔を絶やさないけれども、何もしゃべらない。 ただK氏に手を引かれて、さらさらとした白砂の上を当てどなく歩くのが楽しいらしい。 K氏は少女の声も聞いたことがないし、名前すら知らないのである。 空はどこまでも青く、一朶(いちだ)の雲もないのだった。 白金(プラチナ)のような陽光に包まれ、眼下の海岸は

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カラフル咲くサンド

カラフル咲くサンド

空気の冷えた朝の中、食べものたちの湯気がはっきりと見える。 栗ごはん、さつまいも入りの味噌汁、焼き鮭、おまけにホウレンソウのおひたし。 まさにこの季節のような朝ごはんに、少女は終わりの近い秋を感じながら食べていた。 「今日はずいぶん和風なのね」 「イヤだったかい?」 「ううん、いつもトーストが多いから、珍しいと思って」 「今日のお茶会で食パンを使いたいから、お米にしたんだよ」 少女はそれを聞いて、栗ごはんを食べる手を止めた。 食パンは米の仲間だ。それをお菓子として出そうと

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まんまるでとってもポップに

まんまるでとってもポップに

少女は、すやすや、と寝息を立てている。満月のライトに気づかないほど深い眠りについていた。 それなのに、少女の意識は夢の中へと引きずり込まれ、どんどん深くへと沈んでゆく。行き先は分からない。そんな中、少女は奥深くへと落ちていった。 「うー……ん」 いつものベッドとは違う感触に違和感を覚え、少女はゆっくりと目を覚ました。 体を少しづつ起こし辺りを見回す。周りは大きな木だらけで、いつものベッドどころか自分の部屋、もう一人の少女と一緒に住んでいる家すらなかった。 「な……なにこ

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小説 『カトリーヌとフローラ姫』

小説 『カトリーヌとフローラ姫』

来年のノベル大賞に出そうかと思ったのですが、間に合いそうもないので、来年のスターツ出版文庫大賞を見据えて、ノベマのサイトにアップすることにしました。まだ出だししか書いていませんが、お暇な時に読んで頂ければと思います。少しずつアップしていこうかと思っています。https://novema.jp/book/n1651542 ほんとはノベル大賞に応募して選評もらいたいとは思ったのですが、しかしノベル大賞は応募者数も多いので、どう見ても最初から賞を獲れる範疇には入れそうもありません

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