57「詩」あなたはいつか
薄茶色のちゃぶ台が
日に焼けた畳の上にひとつだけ置いてある
ちゃぶ台を囲んで祖母と母が手仕事をしている
一食の米粒を手に入れるために
背を曲げて黙々と手仕事をしている
懐かしいけれど心のどこかが痛む景色が
ちゃぶ台の周りによみがえる
背を向けて
鮮やかな足取りで今に向かって歩いてくる
一人の少女がいる
後を振り向かないで
まっすぐに今に向かって歩いておいで
灰色の雲が悲しい記憶を弔うように
世界中を包み込んでしまっても
ちゃんと青空は雲の上にある
一人の少女の頭上高く
ちゃんとある
怖がらないで
あなたはいつかここに辿り着く
そして
景色の定まらない時間に向かって
歩いていく
大丈夫
その一歩を
ためらわないで
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?