見出し画像

夜想#少女

当時、その作家はメモ帳片手に若手のグループ展などに現れては、その時売れている作品の特徴や価格をメモしていて、御本人も「これはリサーチと勉強」と言っていて。その対象がネットや海外に変わっていったんですね。

作品は、子供の頃から見てきた様々なもの、読んだもの、学んだこと、体験したこと、それらが凝縮され作家の中で取捨選択し、濾過されて、その動かしている手の中からふっと生まれてくるもので、それが個性であるし、また先人の影響が全く無い作品も無いでしょう。

何かに影響を受けたとしても、それを自分の中で熟成し研鑽して形にする。結果として「こういう作品最近良く見るよね」「増えたよね」「流行ってるよね」というような現象が起きてくる。仕方のないことですが、それをパクりとは言わないでしょう。

見てすぐ良さげな要素をパッチワーク、出展時から壊れていたりもする荒さを味と言い、過去作を組み換えリメイクして、人形制作をしている側としてはあり得ない速度で、直近の展示に似たようなものを出してくる。パッチワークだから微妙に細部は似ていない(似せきれていない)ので、イラストなどのトレース問題と違って立体物の模倣判定は難しいです。

でもやられた側は「うわっ」と思う。タイミングと肌感覚で「やられた」と感じる。それが何度も続く。された側にしか解らない感覚かもしれませんが、きついしストレスです。

作品が荒目でも、パッチワークでもリメイクでも、別にそれは全く悪い事ではないです。作品が魅力的だったらOKで通る世界です。ただ、それは他者への、作家と作品へのリスペクトも配慮も倫理観も希薄な、普通ならやらない行為によって起きています。

夜想#少女 yaso # Filles
出版社:ステュディオ・パラボリカ
書名:夜想#少女
本体価格:1200円+税
ISBN:978-4-902916-28-7 C0090
A5判/160ページ(カラー)


いいなと思ったら応援しよう!