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夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』 公開されなかったプロローグ

 最近、ぽつぽつと、夜想『少女』の号が、バックナンバーで動いているので、なんでだろうと思いながら、久しぶりに自分が書いた『少女的?拡がる痛みの心性』を、読み返してみた。鮮やかにその時の痛みは甦る。そのときのことは、気持ちの中で何も整理されていないし、ある種、自分で理解もしていない。封印してあるようなことだ。記事を読んだらふつふつと戻りがあった。
 むかしの自分、境界性人格障害の人について、必死になって様子を取材しているのが痛々しい。何にも分かっていなかったから、あの時は…。もちろん今もだけれど…。

 夜想の記事は、ある事件が起こった後のことだ。その事件を起こした当該者の友人が僕にメールをしてきてくれた。「気をつけて下さいあの人は、境界性人格障害ですから。昔からそれで有名ですよ…。」と、知らせてくれた。それで『境界性人格障害』の本を読み漁った。
 知ることで、精神にきついダメージが襲ってきた。自分は共同作業者や作家にいろいろ注文を付けられると、できる限りそれに合わせるように生きてきた。それがある種無駄であるし、むしろ方向性を失わせることに繋がるのだという、ことに気づいて、慚愧の念とともに、この十年、この三年、意味のない立ち振る舞いをしていたのだと、実感することになった。
 自分は、今までの癖で、理解すればある程度、問題は解決すると思っていた。それで理解をするために、専門医に診断を受けることにした。そのドキュメントが『少女的?拡がる痛みの心性』だ。

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