マガジン

  • 山尾悠子・中川多理のコラボレーション・ドキュメント

  • デザイナーの机の上で…見つけた!

    デザイナーの机の上には、デザインが終わって出版された本や、資料用の本や、興味を曳くものがいろいろ見つかる。断って借りてくる。 視点が固まってしまいがちな自分の視点が拡がるのが分かる。

  • 日々之徒然

    日々徒然に思うことを、流して書いて行く。もしかしたら自分のメモに限りなく近いかもしれない。

  • 中川多理 Favorite Journalから本を選び読む

    https://passage.allreviews.jp/store/CX7JTYBNZAS6H5YUEW65NVB2に登録された本は、毎月、あるテーマによって選ばれている。それを読み解き、もって歩きながらの感想を述べる。

  • 戦争を読む。

    何が戦争を起したのか?どうして止まらないのか?どうして止められないのか。 戦争が始まって以来、ずっとBSニュースにかじりついているが、戦況がほぼリアルに分かっても、世界がずるずると泥沼に嵌まっていくように引きずられていくのを止めることができない世界と、それを理解もできないでいる自分がいる。TVニュースで活躍している人、ロシアについての本、さらにはロシアの小説にまで手をのばしている。これら読書はどこかで何かを認知をすすめるかもしれないが、今のところ、ウクライナ戦争にも読書にも有効なカッティングラインを見いだせていない。ここに並べていくのは、自分の認知が進まない、踠きの記録である。

最近の記事

気がついたらもっと酷いことだった/Amazonとpassageの話。

一つはAmazonのプリント・オンデマンド版について。 で触れたが、このオンデマンド版、Amazonではペーパーバックと書かれて[ポッチ]を誘っている。 単行本と書くとハードカバーを何となくイメージする。ネットでも検索するとペーパーバックの方が軽くて持ち歩きやすいなどとサクラなのかAmazon自身なのかは分からないが、ペーパーバックを進めている。 僕のよく買っている笠間書院のコレクション日本歌人選は単行本の方もペーパーバックなのである。 高い値段を出して、表紙レイアウトめち

    • THIS IS NOT A BOOK/これは本ではない/相当納得のいかない話

       かからむの 懷ひ知りせば  大御船 泊てし泊りに  標結はましを  額田王女の天智天皇葬儀に対しての歌。  妄想屋の自分としては、沓片方残して消えた天智天皇という方を取りたくて、天智天皇の消失に詠んだ女性の歌を集め読んでいた。この歌も面白くて、現代語訳は、  このようなお考えを事前に知っていたならば、天皇のお乗りになる船が停泊している港に、しめ縄を張っておいたものを となる。『額田王女と初期万葉歌人』梶川信行/笠間書院 そうやって沓一足残して消えてしまうようなお考え/

      • 少し納得のいかない話。もやもや君勃発/Passage by All Reviewsについて

         また停電?かい。  狭いパッサージュでは、停電は致命的だ。僕がもらった棚は、天井に貼り付いた最上部にあり、下から見たら霞んで見えない。(笑) 電気が付いてなくてもね実は下から見えないんだ。困ったもんだ。ここのオーナーは書店というものがどんなものか分からないでいらっしゃる。ついでに出版についてもね…。自分は王様の椅子に坐って真ん中の棚を占拠してらっしゃるから。  3月24日からオンライン販売・システムがダウンして『人形歌集 羽あるいは骨』短歌・川野芽生/人形・中川多理の歌集

        • 日々徒然読書録2月~3月②

           2月は『鳥の起源を追って』という文章を書くのに『雨月物語』『撰集抄』あたりの本をだいぶ読んだけれど、それとはまったく関係なく、山科の『春秋山荘』で展覧会を行なうために通っていたときのことがまざまざと思い出され、もう少し「天智天皇陵」のあたりを散策すれば良かったと悔いが残っている。山に野生の茶を探しにばかり行っていて、山荘付近の磁場をもう少し身体に含んでおけばよかったと…。鏡山に登ったり…狩り場を探したり…すればよかった。  ということで、歴史に弱い自分は、もう一度、山科の

        気がついたらもっと酷いことだった/Amazonとpassageの話。

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        • 山尾悠子・中川多理のコラボレーション・ドキュメント
          9本
        • デザイナーの机の上で…見つけた!
          2本
        • 日々之徒然
          13本
        • 中川多理 Favorite Journalから本を選び読む
          13本
        • 戦争を読む。
          7本
        • 裏浅草通信
          15本

        記事

          『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ『雪の宿り』神西清 @中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地/(3月) 

           中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地に、そろそろ川野芽生の『人形歌集・羽あるいは骨』の第二刷が入ってくるらしいので、覗きにでかけた。中川多理の生写真がついているらしい、歌集に使われた人形の…。ちょっと楽しみだったがまだ入っていなかった。 代わりに、『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ◎浦雅春訳と『雪の宿り』神西清を手に入れた。 此のパッサージュで教わった『二十六人の男』ゴーリキー、そして『サハリン島』チェーホフの延長にある二冊のような

          『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ『雪の宿り』神西清 @中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地/(3月) 

          鳥の起源を追って/中川多理人形ドキュメント◉第一章『化鳥拾遺』

          薄墨の夜に。  うたた寝をして夢を見て、其の夢から覚め、また夢に囚われる。それを幾度となく繰り返しながら朝を待つ。  稽古茶室に息を顰めるようにして四日目。  「てっぽうだよ!」  早替わりのチャリ裡の声にも似た掛け声がした。遠雷のような鉄砲音がして、撃たれ倒れ込んだ。我が身、猪であったか、鳥であったか…黝い男に撃たれたことしか覚えていない。  そっと目をあけて、いま何処か、いまいつかを確かめる。大丈夫まだ九条山にいる。円窓を細めにあけ、外の気配を伺うと、果たして垣根の隙間

          有料
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          鳥の起源を追って/中川多理人形ドキュメント◉第一章『化…

          鳥の起源を追って/中川多理『化鳥』

           知り合いの歌人の姉に、囁くように聞かれた。 「いつから鳥を作っているのですか?小鳥たちが契機ではないですよね。」 「そうですね。以前に、『化鳥』という展覧会をしていますから… 「『化鳥』は… 「『化鳥』は、ですね…」 と、そこまで云ったときに、歌人がすーっと後ろを通っていって机に坐ってスケッチブックを拡げた。頬に手を当てて歌を詠んで書き留めている。万年筆かボールペンで書いている。修正をしないという前提だ。今、浮かんで言葉が進行して行く。頭の中なのか…スケッチブックの上なのか

          鳥の起源を追って/中川多理『化鳥』

          中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より/『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』

           中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地はいま、芥川賞候補になった川野芽生の『人形歌集・羽あるいは骨』で賑わっている。中川多理の『』その中からこっそり、『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』ジャネット・ウィンターソンをとり出して、購入した。  最近、吉田隼人から教わった読書線(著作からだけど…)〈ポルトレ〉で、読む。以前、少女漫画に入っていかれなくて大変だったときのことを思い出した。あの時は、萩尾望都さんに会ったり、その作品を劇団の

          中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より/『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』

          デザイナーの机の上で/『作家と楽しむ古典』/仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)

           デザイナーの机の上で『作家と楽しむ古典』(河出書房新社)を見つけた。このシリーズは、池澤夏樹個人編集の日本文学全集のピックアップ・レクチャー本だ。  基本的に池澤夏樹の読む力の深度に疑問をもっているので、そして池澤が選ぶ、訳者とか選者に目にも納得しがたいものを感じているので、大きなところではアンチ。全集自体は読んでもいなし買っていない。  『作家と楽しむ古典』には、好色一代男・島田雅彦/曾根崎心中・いとうせいこう/菅原伝授手習鏡・三浦しをん/仮名手本忠臣蔵・松井今朝子/春

          デザイナーの机の上で/『作家と楽しむ古典』/仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)

          日々是徒然一月①予言喫茶

           気づくと、ふらりと赤坂辺りにでていた。銀座線に乗って適当な処で降りて、町を一周して戻ってくる。そしたら少し気分も晴れるかも…そんなことを思っていた…のかもしれない。良く覚えていない。  赤坂なら『砂場』で蕎麦をたぐって、帰ってくればいい。で、蕎麦はいつの間にか雑煮に代わっていた『虎や』の。 で、ふらふらと裏道をいくつか適当に、抜けていくと『面倒くさい本屋』という名だっけな、面白い本屋さんを見つけて入って、何冊か文庫、新書を買った。どういう基準で品揃えしているかが分からないが

          日々是徒然一月①予言喫茶

          日々徒然読書録1月②『ミて』165号

           二階に挨拶にいきましょう。 新高さんは、実家の父親に僕を紹介するような感じで、二階に誘った。 「はじめまして…」 僕は挨拶をした。新高さんが『夜想』の元編集長と紹介をすると、 「知ってるよ。会ったことあるよね。」 えっ。僕は吃驚した。確かにここ『炉端』には二回ほど来たことがあると記憶しているけど、お会いしていると思うけど、超若造だった自分…。  最近、何度か新高さんたちに『炉端』に連れてきてもらって、昔の記憶を新たにしていた。どんな記憶かというと新橋あたりの飲み屋で、二階に

          日々徒然読書録1月②『ミて』165号

          日々徒然読書録1月①

          ▼短歌タイムカプセル▼東直子・佐藤弓生・千葉聡△書肆侃侃房     選歌というのは、読者に大きな影響を与えるとのだということをつくづく思った。もしこの本が、短歌を読む最初だったら、寺山修司も、葛原妙子も、吉田隼人も自分にとって、違う歌人になっていただろう。寺山修司の歌は、たぶん誰かにどのようなことを言われ書かれても、感覚の修正がきくような気がして寺山修司と葛原妙子だけを読んだ。  だから自選集が好き。『山口誓子 自選自解句集』と『雁之食』が僕にとっての詩歌の教科書だ。自選集に

          日々徒然読書録1月①

          日々是徒然2024年頭-①

          日記風に。  戦争は未だ終わる様相をみせない。アメリカの支援がほぼ停止しウクライナは弾切れになって、戦線を引いた。プーチンはすかさず現状での停戦を提案した。ウクライナはそれを聞くわけにはいかない。ルールなしの戦争を行なうプーチン/ロシア軍は、体制を充実させてまた攻め込むに決まっている。20世紀の初頭から半世紀、世界で戦争が続いていた。21世紀初頭再び、世界で戦争が勃発している。どこかで収まるのだろうか。そして収まったのちの戦後体制は非常に難しい。  さらに世界中で災禍が常態

          日々是徒然2024年頭-①

           『死にたいのに死ねないので本を読む』吉田隼人/中川多理 Favorite Journal

          もう死んでしまうかもしれないのに、まだ本が読めない、僕は…。読書論の本を秘かにたくさん読んで、読書して、相変わらず、読めていないと踠くうちに…それでも量が自信めいたものになったりもして、ほんの少しだけ、目が肥えたような気もするが、一種の錯覚であることに気がつく。  気づくようになっただけまだましというものか…。  もう少し読書の範囲が広がらないものかと、思っているうちに、「時評書評○豊崎由美」にであって目の前が開けていくような気にもなって…来年の読書計画は、『事情書評』の未

           『死にたいのに死ねないので本を読む』吉田隼人/中川多理 Favorite Journal

          歌舞伎は大丈夫か?大丈夫~。『天守物語』歌舞伎座/坂東玉三郎演出

           今月、歌舞伎座の切符をおよばれした『天守物語』。チラシを見ると玉三郎の出演がある。歌舞伎座の舞台から遠ざかると宣言後の、あっという間の復帰だけに、おやおやまたと思いながら、一方でしめしめとお出かけすることに。  『天守物語』は玉三郎が係わっていれば、裏噺的にも面白い。玉三郎が、たった今、誰をどのように贔屓応援しているがもっともわかりやすいのが『天守物語』なのだ。  座組の中で、まっすぐに応援しているのが、上村吉弥、そして近々のお気に入り七之助。玉三郎は、ダブルマインド的な不

          歌舞伎は大丈夫か?大丈夫~。『天守物語』歌舞伎座/坂東玉三郎演出

          デザイナーの机の上で本を見つけた/時評書評/忖度なしのブックガイド/豊崎由美

           デザイナーの机の上でまた本を見つけた! この机の上の本は外れがない。まったくないわけじゃないけれど、究極ないといっていい。逆に、自分の人生を変えるような凄い本もある。この歳の(ぼくのことだけどね…)人生を変える…厳密に云うと本の読み方、本を通した現実と作家の人間に対しての向かい方を変えてしまう本に出会うとは思わなかった…デザイナーの机の上で——。変わるって良く云うけどね、人の性とか癖とか…特に本の読み方とかそんなに変わんない。長いこと生きているとそれが良く分かる。 今年を

          デザイナーの机の上で本を見つけた/時評書評/忖度なしのブックガイド/豊崎由美