くるくる電車旅〈ほんに昔の昔の事よ〉
東海道刈谷駅付近に、宮城道雄の供養塔があるという。宮城道雄といえば邦楽家。「春の海」の作曲者であることは、日本人なら(おそらく)誰でも知っている。宮城道雄は、盲目だった。その人の死が列車からの転落死だったことは、内田百閒の「東海道刈谷駅」で知った。
梅雨の最中だというのに猛暑日予報の土曜日、わたしは、刈谷へ供養塔を探しにでかけた。
内田百閒『追懐の筆』(中公文庫)が旅のお供だ。この中に「東海道刈谷駅」が載っている。百閒先生にとっと宮城道雄がどれほど大切な人だったか、ひしひし