潮田クロ
まるきり解ってません。単なる感想。
短編連作集です。連載小説ではありません。
150〜200枚くらいの小説です。
一つ一つ独立した短編として読めます。
完結した中編小説の1回目が置いてあります。
あしひきの山のしづくに妹(いも)待つとわが立ち濡れし山のしづくに 大津皇子 吾(あ)を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづくに成らましものを 石川郎女 大名児(おおなご)が彼方(をちかた)野辺に刈る草(かや)の束(つか)の間(あひだ)もわが忘れめや 草壁皇子 悲劇のイケメン皇子、文武両道人気抜群の大津皇子。 悲しいかな、持統の策略により、謀反の罪を着せられて、首をはねられます。 謀られたと悟った皇子はお姉さんに会いにゆき、一目会って誤解を解いたあと、自ら都に戻り捕縛
春過ぎて 夏きたるらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山(萬葉集) 〈大意〉春はもう行き夏が来ているらしい。真っ白な衣が干してある天の香具山に (鑑賞)夏が来た喜び などと百人一首を買うと、付録の解説に書いてある。まあ、間違いではないでしょう。夏の到来を喜ぶ歌ね。 ただ、貴族って、夏、嫌いなんですよね。暑いし。京都も暑いが奈良も暑い。海、ありませんものね。熱の逃げようがない。 古今和歌集の部立てでも、盛夏の歌少ないっす。春は桜をはじめ歌材沢山あります。秋も紅葉とか。冬だって雪
昨日、俊太郎さんが死んだ。もし小説が世に出たら、読んで欲しいな、と思ってた人は次々死んじゃった。大江さん。丸谷さん。吉行さん。遠藤さん。阿部さん。三浦さん。古井さん。井上さん。中上さん。高橋さん。どうせ生きてても読んじゃくれないと思うけど。でも寂しいな。みんな死んじゃう。嗚呼。
ことシリーズ連作の続き、六年後設定で今書いてます。過去エピソード含めて、勿論新しいテーマ織り込んで。完結編になりますが、時間かかりそう。半年後、一年後スパンでお待ちを。待ってない? ああそれでええです。完結はしますんで。いつものように、それだけ読んでも大丈夫なように書きます。
和歌が好きである。近代短歌も割と好きなのだが、多くは読んでない。晶子と啄木くらいなものである。現代短歌はもっと読まない。まあ、寺山修司や俵万智は読んだが、「サラダ記念日」がベストセラーになったのは、もう40年くらい前のことだ。穂村弘に至っては最近名前を知った。 和歌もおんなじで、知識としては百人一首に毛が生えたようなものである。当たり前だが古語があって、よく読めない。あと約束事もよく知らない。なのに、たまたま知った和歌を、いいなあ、て思う。で、調べたり、感想考えたりする。それ
短編小説、粗製濫造期間が終わりに近づいてます。無理しちゃいけませんよね。馬鹿みたいに毎日書いてたんで、そろそろ発想が底をつきました。なんか狭いとこ狭いとこに行ってんなって感じてます。赤信号が鳴ってます。また書けなくなると困るんで、こっから小説は、ボチボチ書きましょう。
後輩たちが門出の花道の準備をしている間、式を終えた卒業生は教室で待機する。普通はここで担任から餞別(はなむけ)の言葉があるのだろうけど、洋子先生は教卓の椅子に座りこんだまま、虚ろな目をしているだけだった。噂では四月に転勤するらしい。この学校で六年勤めたのだから定期異動は当たり前だが、これで中学校を辞めるという噂もあった。どちらにしても学校を去ることは確からしい。確か二十八歳。転職なら早い方がいい。向いてなかったよ、先生。というか、この世に中学校の担任ができる人間なんていない
「江田さん。ちゃんとお酒抜けちょる?」 「抜けちょる抜けちょる。ええか」 はあーと津矢子に吐きかける。 「いや、やめて。ニンニク食うた? 違う意味で臭いわ」 顔を背けて、手で払う。 「な。抜けちょろう」 と、おどけ顔。 津矢子はキーと今日の集配票を渡す。 「枕崎かい」 ちらと見て呟いてから、事務所の机で受け取りのサインをする。下を向いて書きながら、言う。 「辞めるんだって?」 「あ、うん」 「勝の野郎、まだウロウロしてんのかい」 「いんや。もうたぶん、この町にはおらんけえ」
特集は「編集者、かく戦へり」。作家と編集者の手紙のやり取りが展示してありました。 吉本隆明が定年退職する懇意の編集者に宛てたあたたかい手紙。 原稿があがらなくて、「助けてください」「助けてください」「助けてください」と三度書く水上勉。 編集者とゲラのやり取りを9回もやって(どれも真っ黒!)芥川賞を取った中上健次の受賞の言葉。泣いたそうです。 原稿できなくて待ってもらう側なのに、やたら偉そうな丹羽文雄。 文庫の裏の内容紹介文を「ちょっと直しました」と書く丸谷才一。(この人"ちょ
えー、絶賛(いうても30人くらいしか読者いてませんが)小説粗製濫造中の、クロです。今日は、小説を書いてる上で、私が気をつけてることなど書きたいと思います。 私個人のモットーみたいなもんですから、興味ない方は、ここでスルーしちゃってくださいませ。 さて、それは何か、と言いますとですね。え? 視点の固定かって? 畳語がないように? 主述のねじれ? 舞台設定をきちんとする? 登場人物の年齢? 性格設定? 配置? 季節? 起承転結のバランス? つかみの冒頭? 事件の起こし方? 家
団子屋も、もちろん飲食業である。そして団子屋は、人気商売である。 団子屋が団子屋として成り立つ為には、まず団子が旨くなくてはならない。次にお手頃価格でなくてはならない。最後に店の対応が気持ち良いものでなくてはならない。 以上三点は、団子屋に限らず、飲食業の基本である。 が、団子平田屋の売り上げ不振の原因はそこには、ない。 平田屋の団子は旨いのだ。団子屋の団子が旨いのは当たり前で、団子屋で団子が旨くなければ、いったい何が旨いと言うのか。どうしろと言うのか。だから団子屋の
津矢子が就職したのは、運送会社の事務だった。長距離トラックのシフトを組むのが、その主な仕事だった。集荷場から小売りの配送所へ。部品工場から組み立て工場へ。地方から大量消費地へ。配送センターから配送センターへ。荷を積んで送り届け、そこでまた荷を積んで送り届ける。長い距離の方が儲かるのでドライバーはその方を喜んだ。殆ど休みなし、車中泊でトラックを走らせるのが当たり前の時代だった。荷下ろし荷積みは、本来ドライバーの仕事ではないが、当たり前のようにやらされた。やらなければ、仕事は回
異常な可愛がり方だと思った。 金曜日の放課後、学校で親を呼んでの、アタシと和馬の和解の会が開かれた。教室で揉めて、アタシが怪我をしたのだ。 その席で、アタシの両親やアタシ自身に、和馬のお母さんは度が過ぎるくらいに頭を下げて、涙を流して、でも和馬に頭は下げさせなかった。一度も和馬に反省を促す言葉もかけなかったし、まるでこっちが怪我の話題を出す前に、謝って全て終わりにしようという作戦のようにさえ見えた。 元より私の両親は和馬に謝ってもらおうなんて、露ほども思ってない。父は
11月になって三者面談が始まった。高校3年になって、文系クラスに行きたいのか、理系クラスにしたいのか、卒業後の進路選択も踏まえて、決める時期が迫っていた。 「なまじ理系とか選んじゃって研究職とか目指されたら、嫁に行かんとか言い出すかもしれん。文系文系。花乃は頭がええから、英文科やらええじゃろ」 金を出してもらう手前、平吉にも相談する。すると、私の話半分で、勝手に私の将来を決めようとする。 「でも、お爺ちゃんは理系じゃろ」 そう反発してみると、 「当たり前じゃ。日本が今発
ども。小説粗製濫造してるクロです。最近やたら書いてます。お目汚しで申し訳ない。なんでよく考えて書かないんだ!て良心に叱られてる今日この頃です。まあ、なんていうか、ちょっと自分を試してるっていうか、そんな感じでやってます。 その昔、サザンがデビューした時、6ヶ月連続新曲発表するとかやってました。覚えてますか。昔過ぎますか。すいません。あの時、とにかく新しい曲を出し続けることに意味がある、みたいなこと桑田さんが言うてたと思います。違うかも知れませんけど。 で、まあ、才能の質
「変シィーン! とぉー!」 気が狂ったのか広之進。驚いて、みんなが注目する中、仮面ライダーのテーマソングを歌いながら、広之進は教室を駆け巡る。 「あぶない!」 「走らんで!」 「何じゃい」 「頭、おかしいんか」 クラス中から、非難轟轟の声が上がる。その中を、 「ぶる、ぶる、ぶるーん! スピード全開、ザ・サイクロン!」 と叫び回る。案の定、賢治の前で捕まえられて、すっ転ばされる。 「いてーの。賢治!」 「アホが。走りたいんなら、校庭で走れい。迷惑じゃ」 尻をさすりさすり広