潮田クロ

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潮田クロ

ポンコツ小説、他に文芸書や昭和歌謡の感想文などを書いてます。投稿にはフォトギャラリーを使わせて頂いてます。クリエーターの皆さま、いつも有難うございます。 趣味で書いてますので、厳しいご批評はご容赦ください。オヤジをいじめないでください。仲良く、楽しくがモットーです。

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    「神木町」シリーズ。 一話完結方式。どこからでも読めます。

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小説精読 少年の日の思い出5

ぼくがコムラサキを見せると、エーミールは20ペニヒの値打ちがあると言う。エーミールは、自分の価値観を持っていない。金の価値とは社会的な価値だ。自分以外の、その他大勢の欲望の価値だ。誰も道端の石ころに価値を求めない。このコムラサキは20ペニヒ出しても欲しいという人間が社会にいるということをエーミールは言っている。同時に、コムラサキを20ペニヒ以上出して欲しい人間は、いないとエーミールは言っている。20ペニヒ以上だすのなら、その欲望は他に行くと言っているのだ。 果たして、そうか

    • 小説精読 少年の日の思い出4

      主人公のぼくは、貧相な装備しか与えてもらえない。だから、それを引け目に感じて、自分の蝶の収集を他人に見せなくなる。自分の世界に閉じこもり、自閉する。 ここで、2年後にエーミールと紹介される教師の息子が登場する。彼は非の打ち所がない子供として描かれる。その完璧さゆえ、ぼくは彼のことを賞賛しながら憎むようになる。無論のこと、彼も蝶の収集をしていた。 ある日、ぼくは珍しいコムラサキを捉える。得意になったぼくは、エーミールにだけには、その獲物を見せようと思う。何故か。何故、憎んで

      • 小説精読 少年の日の思い出3

         客は自分が十歳の頃の話を始めます。客の一人称は「ぼく」です。ぼくは蝶集めに夢中です。  子供の頃のある時期、何かに夢中になるのはよくあることです。仮面ライダーカード。ビッグリマンシール。筋肉マン消しゴム。遊戯王やらポケモンやら、なんだかんだ、今でもあります。その昔は昆虫採取なんですね。そうそう切手集めなんてのもありました。私が小学生の頃は、切手の一大ブームで、みんな集めてましたな。なんかそれ用の本とかあって、「見返り美人」が何千円とか、取引き時価が載ってたりしました。  

        • 小説精読 少年の日の思い出2

          さて、続きですが、このお作、日本でしか読めないって知ってました? なんでも本家ドイツには、原本がないそうなんですね。どういう事情かわかりませんが。まぁ、そんなこといいんで、続けます。冒頭問題。話かわりますが、皆さん、映画は好きですか。やっとコロナも収束に向かいつつあり、映画に行く人も増えつつありますね。映画、いいですよねぇ。2時間、映画のストーリーに酔いしれて、至福の時間を過ごす。テレビドラマとは、また違った味わいがありますな。テレビドラマ見てると、カァちゃんが、いい時に限っ

        小説精読 少年の日の思い出5

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          小説精読 少年の日の思い出1

          言わずと知れた、青春の巨匠ヘッセのお作でございます。まずは、冒頭の場面、これ必要のか問題から進めましょうか。 別にこの冒頭部分がなくても、物語としては成立します。冒頭が作中の現在で、この後客の少年時代の回想に入るが、回想に行きっぱなしで、現在には戻ってこない。で、この場面いるのか。いるんです。激しくいるんですな、これが。 このお話、客が夕方の散歩から帰って、私の書斎で雑談するところから始まります。もう夕暮れ近くで、窓の外には湖が見えている。 湖の側で書斎のある家。二人のベシャ

          小説精読 少年の日の思い出1

          マイブーム読書

          時折、嵐のように巻き起こる読書ブーム。成瀬が引き金になったな。只今、絶賛三冊同時進行中。読むとなったら、1日一冊じゃ、なんか勿体なくて。つっても、そんな難しいやつはもう勘弁。まあ、たまに純文も読みますけど。今回はこの三冊。 「同志少女よ、敵を撃て」 ソ連少女を主人公にしたの作者の卓見ですね。日本人主人公にすると、物語評価以前に"戦争反対イデオロギー"で評価されちまいますからね。 「わたし、定時で帰ります」意外と骨太。ドラマ見てたんで、ちょっと読んでみようかぐらいの気持ちだった

          マイブーム読書

          【昭和歌謡名曲集64】おいでよ 吉田拓郎

          名曲集と銘打ちながら、歌謡曲と違うやんけ! こんな歌、流行ってないやんけ? などなどお怒りの向きはございましょうが、今回はことにコアな曲です。吉田拓郎は、これはもう大看板。ですが、全部が全部皆様の心に残る曲とは言いづらい。しかし、ですね、アルバムの片隅にあって、皆様がスルーしてしまった曲の中にも、個人的に大好きな曲がございます。今回が、なんと64回。昭和も64年目。この節目の回に、私の極く極く個人的に好きな、まるで流行らなかった歌を紹介致します。 上京して、知り合いも誰もおら

          【昭和歌謡名曲集64】おいでよ 吉田拓郎

          成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈

          本屋大賞、おめでとーございます。いや、取るって思ってましたよ。抜群に面白うございましたもの。誰でも読めるし。嫌味がないし。読んで、気持ちいいし。そりゃね、人間の暗部を抉り出すのが文学かもしれませんけど。まず、読んで面白くないとね。別に人間の暗部なんて、知りたくもない人も多いだろうし。文学なんていらなくて、読んで元気と勇気と生きる希望がもらえたら、もうそれでいいし。ああ、それにしても、読めばみんな滋賀に行きたくなっちゃいませんか? 膳所駅、行きたい! ミシガン、乗りたい! 持論

          成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈

          【昭和歌謡名曲集63】風の谷のナウシカ 安田成美

          私たちがジブリを意識したのは「ナウシカ」からだった。そりゃ、前に「ハイジ」とか「ホルス」とかあったが、宮崎駿認識はなかった。この前に「カリオストロ」とかあったが、一般には駿認識というよりルパン認識だった。「ナウシカ」が全部変えた。あの絵柄だって、どっちか言うとダサい認識でさえあった。でも「ナウシカ」が全部変えた。この売らんかな、のテーマソングのお陰もある。 試写で、映画が全部終わった後、この曲が流れて駿は激怒したそうである。違う!と。これは俺の世界観じゃない!と。こんなもん流

          【昭和歌謡名曲集63】風の谷のナウシカ 安田成美

          【昭和歌謡名曲集62】まちぶせ 石川ひとみ

          新宿アルタがなくなるという。言うまでもなく「笑っていいとも」のスタジオがあったビルである。上京して、早速見に行った。ここがアルタかと見上げていると、当時はそこにバルコニーみたいなとこがあって、そこでマイク持った男の人が何やら喋っている。なんじゃろ、と見ていたら、どうぞ、の声と共に、なんとビキニ姿の石川ひとみが現れた。夢か。本物か。思うていたら、「まちぶせ」を歌い出した。東京は、なんちうステキな町なんやと、田舎の青年はボーっと見惚れたことだった。歌のあと、インタビューがあって、

          【昭和歌謡名曲集62】まちぶせ 石川ひとみ

          【昭和歌謡名曲集61】精霊流し グレープ(さだまさし)

          いよいよ書かねばなるまい。さだまさし、である。 まさしのことは正直書きたくない。恐ろしいのである。まさしではない。まさしを攻撃する人たちが恐ろしい。「関白宣言」と「防人の歌」は、ことに鬼門である。好きだと言ったら、どう攻撃されるかわからない。だから言っておく。好きでもきらいでもない。 ここでまず取り上げるのは「檸檬」である。聖橋から放るやつである。上京して私も放ろうとしたが、人通りが多く咎められそうなので、やめた。 「檸檬」と言えば梶井基次郎である。丸善に檸檬を置いてくる日本

          【昭和歌謡名曲集61】精霊流し グレープ(さだまさし)

          【昭和歌謡名曲集60】ハロー・グッバイ 柏原芳恵

          異質なアイドルだった。例えば、「ハロー・グッバイ」のイントロの振り付けは、手を後ろで組んで、肩をかわるがわるぴょこぴょこ上げるというものだが、ここで既に違和感があった。そう、芳恵はアイドルにしては大柄なのだ。実際に大きいかどうかは知らないが、印象としては。そのでっかい芳恵がちっちゃい女の子の仕草を真似てるような。それ、ちっちゃい女の子がやってこそカワイイのだぞ。君には君に似合う振り付けがあるはずだ。そんなことを思いながら見ていた。小顔のアイドルたちの中で、顔も少々大きめだった

          【昭和歌謡名曲集60】ハロー・グッバイ 柏原芳恵

          【昭和歌謡名曲集59】帰れない二人 牧瀬里穂

          井上陽水「心もよう」のB面なのだが、こちらをA面にした方が、みたいに言われた名曲。陽水もいろんな人と歌っているが、違う人がソロでいっぱい歌ってるのが聴けるのが、映画「東京上空いらっしゃいませ」。この曲を、陽水、清志郎、加藤登紀子、憂歌団、牧瀬里穂が歌っている。それぞれの持ち味ある歌い方で、歌だけで痺れた。相米慎二監督作品。 ただ、観た当時は感激もんだったが、後で見返すと、牧瀬里穂が下手過ぎた。せっかくいい映画なのに、まだ牧瀬には無理だった。責めてはいない。アイドル映画とは、そ

          【昭和歌謡名曲集59】帰れない二人 牧瀬里穂

          【昭和歌謡名曲集番外2】るるるの歌

          小学校に行く朝、「おはよう、こどもショー」いうのがあって、食い入るように見ていると、たいがい学校の支度が遅れて、母ちゃんにどやされた。内容は殆ど覚えてないが、「ロバくんの歌」だけは、今も歌える。1代目ロバくんがくたびれて、明日から2代目ロバくんでーす、とちよっとビジュアル的にオシャレな2代目ロバくんが出てきて、ああ、1代目ロバくんはこれからどうするんだろうと涙したことを忘れない。 その後、「ひらけポンキッキ」とかあって、「泳げ、たい焼きくん」が大ヒットするが、番組自体は見てい

          【昭和歌謡名曲集番外2】るるるの歌

          【昭和歌謡名曲集58】春夏秋冬 泉谷しげる

          みんなに嫌われるようでいて、みんなに好かれている存在に泉谷がいる。デビューの時、ギターコードを4つしか知らなかったなど伝説は多い。コンサートはいつも喧嘩腰で、それも含めて和気藹々だったと言う。うちの先輩などは、コンサートの時、ステージに駆け上がって頭を撫でたらぶん殴られた、と嬉しそうに語っていた。本当か嘘か知らない。 俳優としては「吉展ちゃん事件」の犯人をやって、ホントに犯人だろって思わせた。ビートたけしの大久保清と双璧の演技だった。 あと、「ガロ」によく漫画が載ってて、まさ

          【昭和歌謡名曲集58】春夏秋冬 泉谷しげる

          【昭和歌謡名曲集57】通り雨 アルフィー

          大学当時、胸を張ってファンだと言えないグループが三つあった。アリス。アルフィー。チャゲ&飛鳥である。私はいずれも好きな歌があるのだが、なぜか世間では言ってはいけない雰囲気があった。売れ過ぎたからだろうか。昔、拓郎が売れ過ぎて、帰れコールを受けたことがあった。売れるのは悪か? わからん。でも、変な摩擦は生みたくないので、私も知らんぷりしていた。さだが嫌いとかオフコースは気持ち悪いとか、言うことでマウント取ったみたいな奴、ようけいた。そう言う奴らは、また洋楽のロック馬鹿に軽蔑され

          【昭和歌謡名曲集57】通り雨 アルフィー