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サンドイッチとウィンナー 3
日曜日、後ろ髪を引かれる思いで、私は図書館に行く。お弁当作りはずっと続いている。行って関口君と勉強して、お喋りして、それで一日が終わる。帰ってお母さんと昇だけだと家の空気が重かった。日曜日もお父さんは仕事に出ることがある。なるべく家にいてほしい。そう思っても言えなかった。お母さんも言えないようだった。
今日の日曜日はお父さんがいた。救われるような気持ちで私は家を出た。午前中関口君と勉強して、お
サンドイッチとウィンナー 2
惜しい試合を落としてもっとガッカリするかと思ったのに、頼子はいたって元気だった。みんなが慰めても「なんのなんの。高校行って国体出るから」なんて叫んでる。相変わらず素振りと腕立ては欠かさないようだ。受験のことはまだ頼子には黙っていた。自分の心は決まったが、夏休みが終わって胸を張って勉強したぞと言えるまで、秘密にしておくことにした。
「うちは中高一貫だが、高校入学はひとつのけじめとして考えてほしい。
サンドイッチとウィンナー 1
あらすじ
私立中高一貫の女子校に通う知子は、自分の居場所を見つけるために、都立高校の受験を決意する。図書館で同じ受験生の関口と出会い、二人は共に勉強する仲となる。国語の苦手な知子に、関口は「トロッコ」を勧める。同じ頃、弟の昇の虐めが発覚する。昇もまた自分の居場所を見つけられないでいた。親友頼子の助力で昇は徐々に立ち直る。一方、家族の内情を知られた関口は、知子の前から姿を消す。自分を鼓舞し勉強
捜査員青柳美香の黒歴史Ⅲ
翌朝は、早めに京都に立った。昼前には京都について、駅ビルで腹ごしらえした後、東寺を尋ねる。警察手帳の効果は絶大で、すぐに寺務所に通され、事務方の人と、年輩のお坊さまとで対応してくれた。
ひと通り話してみても、あまりよい反応はなかった。随分昔の話ではあるし、しかし、捨て子があったことが事実なら、覚えている者もいるはずだ。山田昇が見せた和歌も見てもらった。お坊さまは、すこし拝借してもよろしいか、と
捜査員青柳美香の黒歴史Ⅱ
家に帰ると、ドアの前に、昨日の婦人警官が立っていた。警察が何の用だ。僕は勝手に行動する。そう言ったはずだ。無視して玄関のドアノブに手をかけると、婦人警官が突然歌い出した。正直ギョッとした。
お月さまいくつ
十三ななつ
まだ年や若いな
あの子を産んで
この子を産んで
だアれに抱かしょ
お万に抱かしょ
お万はどこ往た
油買いに茶買いに
油屋の縁で
氷が張って
油一升こぼした
捜査員青柳美香の黒歴史Ⅰ
あらすじ
伊勢神宮に参詣に行ったはずの妻と娘と義母が失踪した。三人は密かに憑神教という新興宗教に入信していた。夫の大石司は単身その本拠地に乗り込む決意をする。同じ頃、自宅に差出人不明の手紙が届く。中には読解不能の和歌が一首。思案していると、警察官青柳美香が現れ、同行を申し出る。二人は憑神教の本拠地和歌山を目指す。憑神教の教義とは。三人が憑神教に入信した理由は。憑神教二代目代表を名乗る山田昇とはい