seiji_arita

Poetry does not die

seiji_arita

Poetry does not die

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

Seiji Arita HP

初期の頃からの過去作品を中心に 公開しております 見て頂けたら幸いです

    • ESP LTD TL-6 《写真》

      Photo : Seiji Arita

      • 君を捨てる 《朗読》

        • 君を捨てる 《詩》

          「君を捨てる」 君を捨てる  其の傷跡は誰にも見えない 深さや形を変えてなおも 消える事無く記憶の中に生きている 僕は独り君との足跡を辿る 悲しみ  動揺  葛藤を含む象徴的な暗号 誰にもわからない様に詩的に変換し 吐露する事 それが唯一の 逃げ場である事を僕は知っていた 斬殺 斬首された風の無い深淵 其処に残された血を 跡形も無く流し去る激しい雨 僕は捨てられ 僕は君を捨てる 雨上がりの空には 色彩を失くした虹が出る 誰にも見えない虹を見た

        • 固定された記事

        Seiji Arita HP

        マガジン

        • 写真
          40本
        • 朗読
          46本
        • エッセイ
          167本
        • 311本
        • WORDS
          105本
        • 写真詩
          103本

        記事

          破滅の淵 《詩》

          「破滅の淵」 僕等は先を急いではいない  時間がかかるなら  それでも構わない 空をゆっくりと流れる雲は 広い空の中に 自分の居場所を定めている 何処か遠くで 誰かが誰かを呼んでいる 僕等は世界でただひとつの 完結した場所に辿り着く 何処までも孤立し誰も入れない空間 其処には差し出すものも 求めるものも無い 沈黙のうちに過ぎる時  だけど孤独に染まる事は無い 彼女は僕の名前を呼んだ  確かに聞こえた 目を開けると昼間の白い月が見えた 必要なだ

          破滅の淵 《詩》

          小さな炎 《詩》

          「小さな炎」 僕の足元に 寡黙な陽だまりを作り出す太陽 時間は更に緩やかに流れる 君は猫の様に 暗い穴を覗き込んでいる 其の先にあるものは 君の瞳にしか映らない その暗い穴には 深い暗示が隠されていた 「今日死んでしまえば 明日は死なずにすむ」 君はそう言葉にして囁く 其処はいつまでも 君が居る場所じゃない 何度も君にそう呼び掛ける 僕等はきっと 何処かに行く事が出来る 君は僕の一部を持っていて 僕は君の一部を持って生きている 僕は心の中

          小さな炎 《詩》

          君の香りを残したままで 《朗読》

          君の香りを残したままで 《朗読》

          君の香りを残したままで 《朗読》

          静脈 《詩》

          「静脈」 時間が不規則に揺らぐ 僕が心の中の牢獄に 閉じ込められている事を 誰も知らない  其の牢獄を出る事は 簡単だ 自分自身の意志で出てゆけば良い 鍵をかけたのも 鍵を開けるのも全ては自分自身 周りの声達は もう僕に話しかける事を辞めていた 僕は誰にも 見る事の出来ない風景を睨みつける 其処には枯渇した水脈がある 僕が解き明かすべき暗号を 君は持って居る 現実と仮説の狭間にある 静脈が青く浮かび上がる 架空の世界で君と出逢う  そして牢獄

          静脈 《詩》

          LOVE & PEACE 《朗読》

          LOVE & PEACE 《朗読》

          LOVE & PEACE  《朗読》

          神の月 《詩》

          「神の月」 起き忘れられた野心と色褪せた希望 空白に似た諦めが目に見える空を 無感覚に覆い尽くす 其処に浮かび上がる 薄い刃物の様な三日月は 失うべきものは何も無い  命さえも そう静かに語る 何日も風の強い夜が続く 時々わけもなく涙が溢れた だけどそんなに孤独じゃないよ お前もそうだろう  そう三日月に囁いた 俺は意識の枠の外側で 自分自身の神に触れる お前達の神じゃない俺の神だ 俺の其の神は教義も教典も持たず  ただ其処に居てくれる 報償

          神の月 《詩》

          記憶の庭園 《詩》

          「記憶の庭園」 僕は其処に ひとつの季節の匂いを感じていた 現実と幻想の境目 僕が死んだのは もう一度再生する為だ そうやって全ての事柄は 死に再生する 生命の萌芽を湛えた空が 海に溶け落ちる 其処にはどの様な地点も無く 時間の感覚さえも無い 死の無いところに再生は無い  そう彼女は静かに囁いた 永遠とは 終わりなく何処までも続く道 僕は記憶の庭園で 彼女と会話を交わした 小さな声で別れを告げた  其れはあの日の僕等の姿だった 都心を少し離

          記憶の庭園 《詩》

          楽園へ続く道 《詩》

          「楽園へ続く道」 終末を生き延びる為に 極端な仮説を立ち上げ 至福の王国への導きを説く教団 神の洗練を受け入れた人々 悪魔の手に堕ちた人々 楽園に続く道は此処にあり 天国と地獄の境目は 薄いベニヤ板で仕切られていた 僕の足音が聞こえますか? 貴方は神様ですか   それとも悪魔ですか 其の場所には愛や ロマンチックな幻想はありますか 青い海と白い砂浜  穏やかな風に揺れる花 僕は其の小説の活字を目で追う ファンタジーの中で 夢を見て死にたい そ

          楽園へ続く道 《詩》

          風を待つ月 《詩》

          「風を待つ月」 いつか遠からず其の日はやって来る 長い沈黙の後にそう彼奴は言った 僕は記憶の寿命を延命する様に  其の断片を永遠に刻み込む様に 時折  彼奴の言葉を心の中に落とし込む ジムビームとメンソールと小説と あの夜  高速の高架下から見上げた月 僕は意識の中にある 彼奴の扉をノックした 彼奴の愛した最後の女  そして弟 桜の花びらが結晶化する 永遠を形造るもうひとつの世界 僕も其処に向かい歩いて行く途中だ 死の前触れに似た 薄暗い黄昏を見据

          風を待つ月 《詩》

          方舟と幸せの鐘 《詩》

          「方舟と幸せの鐘」 心を失くした 深い森の中を彷徨っていた 全ては無音のうちに始まり 邪悪な野獣と 純粋な精霊の吐息を聞いた 不確かな人生の灯りが揺れる 暗い終末の気配を含んだ 湿り気を帯びた風 彼女は方舟…そう一言だけ呟いた 特別な生命の匂いを彼女に感じた 僕等に歌う歌があるとしたなら 僕は漠然とそんな事を考えていた 僕の純粋な仮説が 保留の無い激しい愛を呼ぶ 彼女に深く受け入れられた僕は これまでに 見た事の無い色合いの光を見た 不均一な時

          方舟と幸せの鐘 《詩》

          小世界 《詩》

          「小世界」 この世界には  絶対的な善も無ければ 絶対的な悪も無い  善は悪に転換し  悪は善に転換する  あるのは其の均衡だけだ すなわち均衡そのものが善である 其の本にはそう書かれていた 死は解放でも復讐でも無く 空白を生むだけだ 僕はそう書き残した 世界が同義を失い崩れてゆくのは 僕達の苦悩や煩悶のせいでは無い 雷鳴とどろく夜に全ての意味を知る いつだってどんな時だって  君の名前は 僕の心から一歩も外へ出た事は無い 僕と君は入るべきして

          小世界 《詩》

          月明かり 《詩》

          「月明かり」 満月がくまなく街を照らす夜 僕は自分自身が 失われるべき場所のドアを開けた その場所に君が 閉じ込められている事を 知っていたから 君は残された短い命を慈しむ様に 詩を書いていた その事だけは僕には  はっきりとわかっていた その場所には僕達ふたりしか居ない そのドアは一方向にしか開かない 僕等は 正しく人を愛する事が出来なかった そしてまた 自分自身を正しく愛する事も 沈黙を破る様に風が急速に強くなる その音だけが聞こえる 僕

          月明かり 《詩》