高柳カヨ子

精神科医/元法医学教室助手/少女批評家/Bunkamuraギャラリー「新世紀少女宣言」/『夜想ーゴス特集』インタビュー/『夜想ー少女特集』評論/『S-Fマガジンー伊藤計劃特集』アーバンギャルド論/gallery hydrangea「少女観音」/霧とリボン「少女の聖域」

高柳カヨ子

精神科医/元法医学教室助手/少女批評家/Bunkamuraギャラリー「新世紀少女宣言」/『夜想ーゴス特集』インタビュー/『夜想ー少女特集』評論/『S-Fマガジンー伊藤計劃特集』アーバンギャルド論/gallery hydrangea「少女観音」/霧とリボン「少女の聖域」

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    • 少女主義宣言

      少女とはなにか。少女であるとはどういうことか。 あらゆる時代と時間を超えた少女たちに捧げる少女論。 「不在の少女」を探して言葉の森に分け入る試みを始めよう。 ヘッダー:「運び屋」chigusa 作

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    205回 上医医国、中医医人、下医医病

    病院に行くのが好きという人はそう多くないだろう。 なんともないのに行くところではない。そもそもなんらかの体調不良があるから行くのであり、行けば治るかもという期待をもっているにしても、気は重い。元気な時に行く人間ドックでさえ、いろいろな検査をされると思うとそれだけで具合が悪くなるという人もいると思う。実際毎年の上部消化管内視鏡検査(所謂胃カメラ)が辛すぎて、という愚痴は周りでもよく聞かれる。 かくして病院は、行きたくはないが行かざるを得ないという微妙な立ち位置を保つことになる。

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      • 204回 Tooth and nail

        歯の磨き方ほど時代の変遷を経てきたものはないのではないか。 やれ縦に磨けだの、ローリングするように磨けだの、歯磨きはつけるなだの、半世紀以上生きてきた中で「歯科医推奨」の磨き方はいくたびも紆余曲折を辿ってきた。その都度それ以前の磨き方は駄目だったのだと反省し、新しい磨き方をマスターすべく邁進するのだが、しばらく経つとまた違うやり方がさも最初からこうでなければいけなかったというように自慢げに現れる。 いまだに何が正解なのかよくわからない。 我々はもう自動的に歯を磨くという行為

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        • 203回 魔法大全

          「魔法」と言う言葉に惹かれる。 呪文を唱えるだけで望みが叶う、杖を振れば思い通りに事が進む。なにか大きな困難にぶつかった時、もしも魔法が使えればこんな苦労をしなくてもいいのに、と頭に浮かんだことがある人は多いだろう。 でもそこではたと気づくのだ。 魔法ってそんなに簡単に手に入るものだっけ? 以前、魔法少女についてこの連載で書いたことがある。 アニメに登場する魔法少女たちは、いとも簡単に魔法を使う。それは魔法の国からやってきたので魔法を使う能力は天賦の才能として持っているとか

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          • 202回 サマータイムブルース

            夏が終わる。 朝晩の空気が透明感を増し、空の色が変わる。 こころなしかトンボの姿を見ることが多くなった。 夏生まれなのに、夏が苦手である。 昔は寒いのが苦手だったような気がするが、いつの頃からか冬の方が過ごしやすいと感じている。信州に越してきてからの数年は、マイナス10℃以下にまで下がり、1年のうち4分の3は炬燵が必要な寒冷地に慣れず、年に6回風邪をひいているというていたらくだった。 それがいつの間にか、気温が下がり始めるに従って元気になるようになったのだから不思議だ。

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            201回 ドーナツの穴

            昨今の健康志向からすると、ドーナツというのはかなり背徳的な食べ物と言わざるを得ない。 なんといっても油で揚げて砂糖をまぶしてある。カロリーのことなど考えていたら食べられやしない。ドーナツ1個で軽く300kcalを超えるのは普通だ。このところの傾向で「品の良い甘さ」などというものになっているが、ドーナツにおいてそれは邪道と考える。 ドーナツはしっかり甘くなくてはならない。 日本では戦前からドーナツは家庭でも作られていたという。沖縄のサーターアンダーギーもドーナツの仲間と言える

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            200回 書くということ

            毎週欠かさず更新してきたこの連載も、今回で200回目になる。 「少女」をテーマに掲げてきたため、当初は一般的に少女性を感じやすいモチーフを選んだり、かなり無理やり少女にこじつけたりといったこともあったが、最近はあまりこだわらず好きに書くことにしている。 なぜか。それは何を書いても自分の中の少女性というものは、自ずから滲み出るものであり、それに共感してくれる人もきっとどこかにいるだろうという自信がついたからに他ならない。 それにしてもよくもまあ書いてきたものだ。1回の分量は原

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            199回 そうめんにゅうめんひやそうめん

            夏場のこの時期は、ただでさえ食欲が低下しがちである。 特に近年酷暑と呼ばれる程の高温であるため、熱中症予防にひたすら水分を摂っていたら、あまりお腹が空かず、つい簡単なもので済ませてしまうことも多いだろう。 昔から日本では、高温多湿の夏に合わせて簡単で美味しく食べられる麺類を愛してきた。 そう、そうめんとひやむぎである。 今はどうかわからないが、私が子供の頃東京下町の蕎麦屋では、夏場になるとメニューにひやむぎが加わった。 白い麺の中に一筋二筋、ピンクやグリーンの麺が混じってい

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            198回 モーション・ドランカー

            物心ついた時から、乗り物に酔いやすかった。 車は言うに及ばず、電車ももちろん、公園の遊具で遊んでいて酔ったことだってある。テーマパークのアトラクションなど、もってのほかだ。 小学校の遠足でバスに乗るときなど恐怖である。 酔い止めを飲みビニール袋を持参し、できるだけ前の方の窓際の席にしてもらっても、次第に気持ち悪くなってくる。級友たちがはしゃぐ車内で、誰も話しかけないでくれと眉間に皺を寄せて、目的地に着くまでひとりでうなっていたことが思い出される。 なまじっか視力が良いので、車

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            197回 サマータイム・ブルース

            アッパッパ、と言われてすぐわかる人は、年々少なくなっていると思われる。なにせ自分が子供の頃でも、親がそういうのを聞いて、なんかダサいなと感じていたくらいなのだから。 アッパッパというのはつまり、今で言うところのサマードレスである。 日本の夏は暑い。 単に気温が高いだけでなく、湿度の高さが半端ではない。 今から半世紀程前の東京の夏は、まだ暑いと言っても30℃がせいぜいだった。その頃は当然エアコンなどはなく、団扇と扇風機で暑さをしのぐ。そうは言っても暑い。きっちりした服など着て

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            196回 太鼓叩いて笛吹いて

            リコーダーと聞いてまず思い浮かべるのは、小学校の音楽室だろう。 ピーピーと甲高い笛の音は、音程が微妙に合っているんだか合っていないんだか、合奏となると音を外す生徒も出てくるから、尚のこと揃わない。 誰もが一度は吹いたことがあるにもかかわらず、うるさいだけの子供用の楽器という印象で終わっている人も多いのではなかろうか。 リコーダーがなぜ日本の音楽教育に取り入れられのか。ことの始まりは、1939年に遡る。 ナチスが台頭して教育も支配するようになったその時代、ドイツの学校教育にお

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            195回 Kick the can

            缶切りを使って缶を開けたことがある人は、おそらく昭和生まれだろう。 缶切り自体見たことがないという若者は多いに違いない。現在流通している缶詰は殆どプルトップ式になっているので、何も専用の道具がなくても簡単に開けられるから便利だ。 道具というのは使うのにコツがいるため、缶切りも初めて持たされたら何をどうすればいいかわからない可能性がある。私なんぞ幼い頃、母親に缶切りを使った缶詰の開け方を特訓されたぞ。 そもそも缶詰自体、レトルトなど様々な保存食品が出ている今では、存在感が薄い

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            194回 黒猫のジレンマ

            ジンクスは信じない主義だ。 一般的によく言われているものだけでなく、自分の心の中だけで引っかかるようなことも、なるだけ、というか一切気にかけないように意識している。 例えばいつも靴を右足から履くのに、たまたま左足から履いた日に怪我をする。ああやっぱり右から履けばよかった、左は縁起が悪いのだ、とは思わない。そういうときはわざと続けて左から履いてみる。 ただでさえ不自由な世の中、とにかく自分を縛るようなことは、できるだけ避けたいのだ。 本来の意味でのジンクスは「縁起が悪いもの」

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            193回 爪に爪なし

            この30年以上、爪を長く伸ばしたことがない。 一番の理由は、職業柄見た目にも実際にも清潔を保つために、常に爪を短く切っておく必要があるということである。医学部の学生の頃、外科の病院実習の際に少しでも爪の白いところが残っていると、問答無用で爪切りを渡されて白いところが見えなくなるまで切らされた。 深爪は痛い。半泣きで切った挙句、今度は何かを剥がすなどの動作がうまくできず困る羽目になる。 この爪の先の白い部分はフリーエッジと呼ばれる。ここはわずかでも残しておかないと、手先の巧緻作

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            192回 醸して候

            「くず餅」をご存知だろうか。 葛餅、ではない。関西地方でよく食べられている葛餅は、その字の通り植物の葛の根から取ったでんぷんを精製した葛粉から作られる。葛粉に砂糖と水を加えて加熱してできた、ぷるぷるの透明な餅状のものが葛餅だ。 関東地方という大きな括りというより、東京下町というごく限られた地域で馴染みのあるくず餅は、小麦粉のでんぷんを発酵させてできた、わずかにくすんだ白色の弾力性のある餅である。江東区亀戸天神前に本店がある船橋屋が代表的な店だろう。江戸時代に小麦の生産が盛んだ

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            191回 フード・ファイター

            いまではパーカーはごく日常的な服として浸透しているが、半世紀前には殆ど着ている人はいなかった。 1960年代にビートルズの人気でモッズファッションが流行り、ミリタリーパーカーが着られるようになったといっても、こちらはフード付きのアウターとしての服であって、現在日本で一般的に言うところのスウェット素材のパーカーではない。アメリカでは1970年代にヒップホップが大流行したときに、ラッパーたちがスウェット素材のパーカーを着ていたのを若者が真似をしたことで、ファッションとして認知され

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            190回 ノックの音が

            小学校の真ん前に小さな文房具屋があった。 必要なものがすぐ揃えられてありがたかったが、そうでなくとも文房具というものはいつまで眺めていても見飽きることがないものだ。なので学校帰りに立ち寄ってはノートや便箋、鉛筆や消しゴムを選ぶのが楽しみだった。 小学生のお小遣いなど微々たるものなので、そうなんでも買えるわけがない。ためつすがめつしながら予算と照らし合わせて買った文房具は、勿体なくて使えずに大切にしまったままだったものも多い。半世紀近く経った今でも手元に残っているものもあり、い

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