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アートディレクターが『世界観づくり』で実践している事と、次に真似しようと思っている手法10選【フレームワーク付き】

ブランディング領域では、世界観をつくれとか、感情を設計しろ、情緒的価値を生み出せ、ブランドは世界観を体現したものだ…なんてよく本に書かれていたりしますが、結局それってどういう事?どうすれば良いの?を、アートディレクター視点で紐解きます。

※この記事は動画を事例として載せているので、動画を再生する時は音量に気をつけて下さいね!


そこから実際に、私が『この世界観づくり良いな!』と思った事例を元に、分析し、学び、自社のブランディングを強化していきましょう、という記事です。

■こんな方へ向けた記事になります
ブランディングはやらないといけないのかも…と感じている
・SNSの広報担当
・PRしたい、広めたいサービスや商品がある
採用活動の為に自社の雰囲気を知って欲しい
・世界観は自社だけのオリジナルでありたい
・自分の会社や商品の良さをより良く伝え、ファンを作りたい
・『世界観』を伝える手法を強化したい
・ブランディング活動としてのクリエイティブの発信を効率よく行いたい

今回の記事は、東京のweb制作会社・fūun(フウウン)のアートディレクターとして、サイトのコンセプトやコンテンツを考えている『ハッカ』がお届けいたします。

私がアートディレクターの『ハッカ』です

今回の記事のまとめ

結構長くなってしまうので、ここだけ読んでいただければ、大丈夫です。あなたの次の仕事に生きるでしょう。(多分)

■この記事の要点
『世界観作り』=『世界観の構築』+『世界観に引き込む仕掛けづくり』
・世界観の構築は『その世界観にはどんな人が住むか』を考え具体化する
・世界観に引き込む仕掛けとは『振り向かずにはいられない演出』
・TikTokの様な動画コンテンツには仕掛けとなるフックが盛り沢山
仕掛けづくりは、動画があると効率的に色んな見せ方が出来る

『世界観づくり』には『世界観の構築』と『世界観に引き込む仕掛けづくり』が必要

まず皆さんに共有したいのは、この考えです。
世界観は作って終わりでは無く、その先に『伝える人』がいますよね。

世界観づくりには、そのものを作り出す作業だけではなく、その世界観に『どうやって対象を引き込むか』の仕掛けについて考える事も同様に重要なのです。

『どんな世界観で、それはどんな人に伝えるのか』と、『その人にはどんな伝え方なら、世界観が伝わるのか』を行き来しながら捉える事で、結果的に世界観全体を強く、独自性のあるものにする事が出来ます。

構築と仕掛けの両軸が重要

『世界観づくり』のフレームワーク

ここからは、『世界観づくり』の作業を『世界観の構築』と『世界観に引き込む仕掛けづくり』に分解し、アートディレクターとして、それぞれをどの様に捉え、実践しているのかをサラッと紹介したいと思います。

■『世界観づくり』に必要な事
【1】:世界観の構築
【2】:世界観に引き込む仕掛けづくり

■ポイント
【1】と【2】の作業は、順番にこなそうとしなくても大丈夫
です!
『世界観の構築』から始めて、行き詰まったらもう片方の作業を進めてみる、位の認識でいてください。
あくまで、2つを行き来しながら、世界観のアウトラインを作り、鮮明にしていく事が大事です。

【1】世界観の構築:その世界にはどんな人が集まっていますか?

世界観をつくれ、と言われても、難しいですよね。なぜなら、世界観って、思想でもあり、言葉でもあり、色でもあり、音でもあり、体温でもあり、人格でもある、多角的なものだから。

世界観は、多角的なもの

そうなった時に使う手法として、『世界観』ではなく、『その世界観に住む人』をイメージする、というものがあります。

なんとなく頭の中にある、作り出したい世界に惹かれる人は、男性ですか?女性ですか?LGBTQIA+に当てはまる方ですか?どんな服を着て、どんなお店によく行く、何歳くらいの方ですか?

…この作業をする内に、世界観が内側に持つ人格が生まれ、その人格を元に、『濃い緑と淡いグリーンだったら、濃い緑のほうがこの人が好きそうだな…』といった様に、自然と世界観を取捨選択できる様になるのです。

連想ゲームの様に思考してくださいね

この手法の良い所は、世界観を取捨選択しながら世界観の定義化を促すと共に、ターゲットユーザーも明確になる点。この点は、この後に続く、『仕掛けづくり』に関係します。

【2】世界観に引き込む仕掛けづくり:ターゲットにはどんな演出が刺さりますか?

ここは、webでいうと、感情設計とか、CX/UIUXといった言葉で表現される領域の事です。その辺りのワードで検索すれば分かりやすい記事が出てくるので、個人的に過去になるほど…!と思った例を載せさせていただきます。

過去に、私はAVメーカーで、アダルトグッズのプロデューサーとして勤務していたのですが、その時に伝説のAVプロデューサーがいたのです。

その人は、とにかくターゲットの想像力を掻き立てるのが上手かった。
彼女の、素人(というテイのAV女優さん)のナンパ物の作品があったのですが、その作品のパッケージには、『090-88XX-XXXX…でまた私に会いにきて』というコピーを載せていたのです。

もう、爆売れです。

その言葉選びだけでも、その作品の持つ世界観の入り口に立たされ、好奇心で思わず『!?』と思わせる仕掛けが作られていますよね。

この『!?』と思わせる、というのが大事です。それは、押し出したい世界観によって、『?』でも『…!』でも良いのです。そして、世界観へ背中を押す感情も好奇心だけではなく、『共感』や、『知りたい』といった他の感情でも良いのです。

とにかく、ターゲットユーザーに対し、どんな演出が心に刺さって、振り向かずにはいられないのか、そして、そこからどんな気持ちにさせたいのかを設計する事が大事なのです。

フレームワークとしては、『ターゲットに対し、どんなシーンで、どんな声掛けをするか』、そしてその際に『対象が、どんな気持ちになっている状態を目指すか』を設定してください。

分からなくなったら、『人格』を
もう一度考えましょう

■ポイント
フレームワークを実行する際に、都度、【1】で設定したターゲットと照らし合わせて、人格とハマる演出の辻褄を合わせましょう。

答えが鮮明に出せない部分があれば、【1】のターゲット像が細分化できていない可能性
があるため、【1】に立ち戻って再度考えましょう。

最終的には、『君は私だったのかもしれない』と思うくらいに、ブランドの人格を己にシャーマンさせる事が出来たら素晴らしいです!

その段階になると、シーンや目指す感情の状態からより踏み込んで、どんな手法だとターゲットが仕掛けを自分ごとに出来て、どんな感情だともっと先の世界を知りたくなるのか、まで『視え』てくるので、精度の高い施策が企画できる様になりますよ。

TikTokコンテンツから、『世界観に引き込む仕掛け』を知る

さて、ここからは『仕掛けづくり』について事例を元に分析と応用をしていくのですが、事例はTikTokから引用しています。

TikTokはあまり見ないし、仕事でも使わないかな〜、という方も、ちょっと待って!

TikTokの動画は、短いものでは10秒程度の短編であるという性質上、その分、対象の感情を動かし、世界観に引き込む為のキャッチーなフックがギュッと詰め込まれているのです。

動画自体、あまり…という方も、仕掛けを作り出す思考法としては動画以外のクリエイティブでも応用できる内容なので、なにかしら、自社のサービスや商品、事業の世界観を作りたい・伝えたい!という人はぜひ、続きも読んでくださったら嬉しいです。

SNS広報編

【例1】手描きの熱量で『ついつい見ちゃう』仕掛け

手描きのものって、AIやCanvaのテンプレートで生成した、どこかで見た事のあるようなクリエイティブより、絶対的に強いです。

以下の例は、いわゆる食べ物を咀嚼する音を楽しむASMRジャンルの動画なのですが、食べ物を手描きのクリエイティブに差し替える事で、フックにしています。

この動画が人気なのは、食事系ASMRを食事をしないで魅せるという斬新さや、クリエイティブを挟む事で、食事系ASMRにある生々しさが無くなり、より多くのターゲットに届きやすくなる…など色々あるのですが、それを差し引いても、『頑張ってつくった感じがするもの』や、『そこから人柄がなんとなく見えるもの』に、人はつい反応してしまうものなのです。

※動画を再生する時は、音量に気をつけて下さいね!

■フックとなる要素
一生懸命、描いたんだろうな…という熱量の価値
・『真面目な人が作ったのかな?』、『楽しそうにやっているなあ』など、
 クリエイティブから透けて見える人柄への興味

■こんな場面で真似してみよう
・企業のX(旧Twitter)で、自社の社内活動や雰囲気を伝えたい時

■真似する時のポイント
透けて見える人柄に、発信したい世界観と親和性がある様に!

この、『透けて見える人柄』のフックは、企業のイメージをつくる、SNS広報と相性が非常にいいです。

例えば、この豊開発株式会社@あそ部さんの公式X。土木工事の施工管理を行う企業さんですが、SDGsの観点から『残土でガーデニング』という活動を行なっています。

『土木×2』でドキドキと読む、最高

発信側の、工夫して発信しているという『手間暇』も伝わりますし、『コスモスの絵上手くない?笑😂😂』は絶対ギャルを通っている人の気がします。

自分のタイムラインにこの投稿が流れてきたら、土木やガーデニングに興味がない人でも、ついつい見てしまいますし、企業にも『優しいギャルが頑張っている素敵な会社なのかも…!』といいイメージを持ちそうですよね。それ即ち、世界観を作り、引き込んでいる、という事なのです!秀逸。

皆さんも、自社の人柄や雰囲気を伝えたいな…という時は真似してみてください!また、その発信をする時は、『自社の世界観をわかっている/持っている』方に頼んでくださいね。

世界観の構築と、仕掛けづくりは行き来し合う事をお忘れなく…!

■豊開発株式会社@あそ部さんのnote


【例2】企業公式キャラで『愛さずにはいられない』仕掛け

これも、人格を透けて見せる演出と近いのですが、『キャラクターに人格を宿す』事で生まれるフックもあります。

こちらの例では、投稿者が愛用しているクッタクタのぬいぐるみを、その時々の流行りの音楽に載せて踊らせる…という動画なのですが、この投稿者、延々とその動画だけ発信し続けているのです。

■フックとなる要素
企業の愛が詰まった可愛い公式キャラ
『単純接触効果』で、親しみを生み出す

■こんな場面で真似してみよう
・企業のX(旧Twitter)で、自社の理解を深めたい時

■真似する時のポイント
・公式キャラのデザインには、事業のポイントとなるモチーフや
 概念を取り入れる

実は、それ自体で既にフックになっているのです。

皆さんは『単純接触効果』というワードを聞いた事がありますか?
単純接触効果とは、接触の機会が増えると、接触相手に対する親しみが高まる効果の事です。

そこで、こちらの企業さんの発信を見てみましょう。

 企業公式X広報界隈のサンリオだ…

奈良県葛城市に自社工場を持つ、靴下の三笠さん。広報の中で『めんかちゃん』という企業公式キャラクターを登場させています。(靴下の原料にもなる、綿花がモチーフになっているキャラの様です。)

ほぼ毎日、めんかちゃんは靴下の三笠さんのXに登場しているんじゃないかな?

癒し。

この愛らしさと、タイムラインを癒しで満たしに満たすアクティブさで、めんかちゃんは、なんとファンアートが作られる程の人気者なのです…!

fūunもファンアートを
思わず作ってしまいました

こんなに可愛くて、企業からの愛が伝わる様な素敵なキャラクターが、ちょくちょく目に入ってきたら、そのキャラクターを見ない日も、いつの間にか『あの子、元気かな…?』とソワソワしてしまうはず。

そうなったら、ターゲットは、あなたの世界観の虜です。あなたが、伝えたい事業やサービスの良さがあったら、そのキャラを通じて発信してみてください。そのキャラを手がかりに、より多くの方があなたの世界観を知ろうとしてくれますよ。

…色々書きましたが、靴下の三笠さんご自身は、『単純接触効果』とか狙わずに、純粋にめんかちゃん愛で発信しているんだろうな、尊い。

■靴下の三笠さんの公式サイト


【例3】スキルの開示による『もっと知りたい』仕掛け

『教えてほしい』、『学びたい』という感情を引き起こすコンテンツもフックの一つ。

こちらのペーパークラフトを紹介する動画では、最初にモックアップで構造を理解させてから作品を見せる構図になっています。

仕掛けづくりは、ターゲットの、新しい知識やスキルを学びたいというモチベーションを盛り上げる、という切り口もあるのです。

■フックとなる要素
『どうやってるの?』、『知りたい!』と思わせる知識やスキルの開示

■こんな場面で真似してみよう
・企業のX(旧Twitter)で、自社の強みを見せたい時

■真似する時のポイント
素人にも知識やスキルの凄さが伝わる様な情報の噛み砕き

こちらの手法は、ものづくり企業さんに相性の良い発信だと思います。

一例として、株式会社マツバラ(松原紙器製作所)さんを紹介します。こちらの企業さんは、石川県金沢市で 貼箱・組箱の製造や、企画・デザインの提案を手掛けていらっしゃいます。

普段から、Xでとても素敵な自社製品や紙ネタを発信されているのですが…

シルク印刷…♡

ある日、投稿されたこちらの投稿、見た人からの『欲しい!』という声が上がったとの事で…

紙の曲面が綺麗!

なんとその数日後に、ペーパークラフトの型紙を公開されたのです!

良い紙で作りたい!

この一連を通じ、企業側とターゲット側のコミュニケーションの活性化にも繋がり、かつ、企業の誠実さや専門性も伝わり、結果的にブランド強化(=
世界観の強化)を促した交流だったと言えます。

真似してみたい!という企業さんの中には、専門性が高すぎて、知識やスキルが一般人に伝わりにくい場合もあると思います。そんな時は、使っている仕事道具や、工場の様子など、普段、領域外の人が見れない情報でフックをつくるのもオススメですよ!

■株式会社マツバラ(松原紙器製作所)さんのリンク集


【例4】クレショフ効果で『納得できる』仕掛け

ここまで、ターゲットを設定したり、単純接触効果を応用してみたり…と、テクニカルな事をしてきましたし、マーケティングやブランディングの基礎ってそこにあるのですが、現代はターゲットも目が肥えているので、そんな小手先の技は、見透かされ、フックにすらならない…という場合もあります。

今のマーケティングでは、『まず第一に、良いものをつくる』という姿勢が、バズる事よりも、SEOで上位表示される事よりも、評価されるようになってきたのです。

さて、こちらの動画ですが、クッキー屋さんがクッキーをつくる様子や、クッキーの断面を見せる、というシンプルな構成になっています。

この動画がなぜ7万回も再生されるか。それは、あえて映えようとしないクリエイティブからの『正直さ』や『誠実さ』が際立っているからだと思うんです。

■フックとなる要素
『正直』、『誠実』であるという価値
クレショフ効果による『納得』

■こんな場面で真似してみよう
・企業のX(旧Twitter)で、自社の好感度を上げたい時

■真似する時のポイント
・自社が常に発信できるコンテンツを考える

これを企業の広報コミュニケーションで応用するならどうなるか。事例として、東京都千代田区・岩本町にある出版社、青月社さんを挙げさせていただきます。

青月社さんは、日々、中の人のお弁当を投稿しているのですが、それがただただ美味しそう。先のクッキーもそうなのですが、『これ作った人、絶対いい人だよな…』というクリエイティブって、あるんです。

この家の子になりたい

また、『お弁当』という、一見、出版社と何の関係も無い様に思えるチョイスが絶妙。

出版社で働く人なら、きっと本も好きなんだろう、本が好きなら、美しいものが好きだったり、ちょっと繊細な部分もあったりするんだろうか、きっと本も大事にしているんだろうな、こんなお弁当作れるくらいだしな…と謎に納得してしまいます。

実はこれ、『クレショフ効果』といわれる効果。

画像や映像を見た際、頭の中で勝手に意味付けや関連付けをしてしまう心理現象を指します。

また、これによる『納得』するという感情変化により、ターゲットは自分の意見や考えを裏付け、自身の信じる事や立場に安心を得るのです。

人は、納得したものに対して好感を持ちます。一見、日常の延長の様なポストですが、それでも人気のアカウントを見つめると、ちゃんと意味があるんですよ。

真似する際は、【例2】で紹介した様に、ターゲットとの接触回数を常に保ちながら、自社や自社に属する人の『正直さ』や『誠実さ』を常に発信できる様なコンテンツを探ってみましょう。

■株式会社青月社さんのリンク集


LP(ランディングページ)編

【例5】手書きの手紙で『体温を感じる』仕掛け

『夢女子』ってご存知ですか?主にアニメや漫画などに登場する、二次元キャラクターとの恋愛や、それに準ずる行為を好む女性の事

こちらは夢女子さんの作成した、『僕のヒーローアカデミア』という人気漫画のキャラから置き手紙を貰った…という設定の動画で、キャラそれぞれに合った内容やフォントで手紙が書かれています。

発想力が凄い。クリエイティブすぎます。もうほぼ夢ではなく現実です。

■フックとなる要素
・手書きの手紙という生々しさから発生する『体温』

■こんな場面で真似してみよう
・LPの『お客さまの声』で信頼感を伝えたい時

■真似する時のポイント
・手書きフォントは『お客さま』と合致するテイストにする
  

このフックを、実際のLPで応用するとしたらこんな感じ。
手書きのフォントを使うだけでも、ちょっと体温を感じるというか、画面越しでも口コミの信頼感が増しますよね。

『nelture.com』より引用

ここから更に、世界観を作り込むとしたら、やはり手書きフォントじゃなくて『手書き』で起こす事だと思います。

その際は、きちんと、『50代女性』だったら、綺麗な細いペン字などイメージに合うものにして下さいね。こういう、絶対若者だ…という文字にすると、一気に世界観が崩壊します。

『いいフォント』より引用

【例6】情報の比較で『選びたくなる』仕掛け

こちらは、同じ画材でもプロと素人じゃこんなに変わるんだよ…という動画。こちらも、世界観に引き込むために心理学を応用している秀逸な動画コンテンツです。

■フックとなる要素
・比べる事で決断を促す『コントラスト効果』

■こんな場面で真似してみよう
・LP内で、複数商品のラインナップがある時

■真似する時のポイント
・選ばれたいサービスや商品がスペック・価格的に選ばれやすい比較にする

皆さんは、購入を決断する時にどのように判断するでしょうか?大抵は、類似の商品や、シリーズの中で、価格や、内容を比較しながら選択していくのではないでしょうか?

今回の、AとBを比較して見せる、という演出は、青月社さんの事例で紹介した様に、人の『納得したい』という欲求をうまく煽る仕掛けとなっているのです。

デザイン的な観点から補足すると、2つのものの比較をする構成は、画面にコントラストや動きも出しやすいので、以下の様にLPのMVとしてて扱っても、訴求力を高く演出する事が出来るので、便利なテクニックだなと思っています。

『LPアーカイブ』より引用

また、真似する際のポイントとしては、『発信側が選んで欲しいものをターゲットが選べる導線になっているか』というものがあります。

例えば、『松竹梅』で選択肢があった場合、安全牌な中間のプランが選ばれやすくなります。

そういった細かな部分の感情も拾う事で、CV向上に繋がるので、ただ単に、綺麗なデザインの見せ方を真似るのではなく、ターゲットの心をトレースする様な『仕掛け』としてデザインを検討してみて下さいね。


【例7】自分ごとで『確認してしまう』仕掛け

個人の性格を16タイプに分類する、『MBTI診断』。ビジネスの適性診断にも使われたりもするそうで、若年層を中心に、自分のタイプを知っているという方もいるのではないでしょうか?

こちらは、その診断をチェック形式で行う動画。思わず自分のタイプがどちらに当てはまるか、確認してしまいますよね

■フックとなる要素
診断コンテンツで『自分ごと』にしている

■こんな場面で真似してみよう
・LP内で、商品やサービスの認知向上やエンゲージメント向上を促す

■真似する時のポイント
診断ツールはターゲットにマッチする媒体を選ぶ

LPアーカイブより引用
ohmyglasses.jpより引用

これらは、ターゲットをより広く、自分の体質や特徴を元に診断していく見せ方をしています。見た目にも楽しげで、ついつい先を見たくなってスクロールしてしまいますよね。

この、思わず『見たくなる』→『見る』へと感情を行動に変化させる事が重要!

世界観を知るとは、つまり、より商品やサービスを理解する、愛着を持つ、という事。ターゲットに対し、しっかりとフックを設計し、その機会を逃さない様にしていきましょう!

また、このフックの肝となるのは、『自分ごと』にさせる事。その診断コンテンツは、世界観に集まるターゲットに適した内容で、『私の事だ!』と思って貰える様な構成にしましょう。

例えば、MBTI診断は若年層に浸透している傾向が高いので、50代以上の方に診断コンテンツを作りたいときは、MBTI診断より、四柱推命など…また別の角度からの設計の方が刺さると思います。


webサイト編

いよいよ残り3つ!

ここまで読んでくださってありがとうございます!でも、もう少し頑張って最後まで読んでみてください〜!

【例8】インフォグラフィックで『視覚的に分かる』仕掛け

こちらは、『バネ人間』として自身の跳躍力を様々な角度で切り取るTikTokerの動画。

ポケモンの実寸に合わせた高さのハードルを飛び越えていく…という内容なのですが、この動画の良さは、跳躍の難易度や、高さの具体的な情報を視覚的に伝えているという点にあります。

■フックとなる要素
インフォグラフィックで情報を素早く簡単に表現

■こんな場面で真似してみよう
・採用サイト内で、事業概要の理解促進やカルチャーの伝達

■真似する時のポイント
・情報をまとめた図ではなく、視覚的に分かるグラフィックを目指す

インフォグラフィックとは、言葉や数字だけでは伝わりづらい情報を編集し、グラフやイラスト、チャート等で表現する手法。

今まで紹介した、感情や心理から設計するフックとは異なり、視覚から行動を促し、世界観へ導入していきます。文章がただ並ぶよりも、情報ボリュームが適切に抑えられる事で、その先を読もうとするモチベーションを保ったまま理解促進に繋げる効果が期待できます。

aisei.co.jpより引用

こういった手法なら、採用サイト内で複雑性のある事業の概要や社風など、イメージのしにくい情報も、ひとつの重要なコンテンツの一部として読み込んでもらえそうですね。

応募者の入社までの会社理解の深さが、採用後のミスマッチによる離職防止
に繋がるので、とても重要なポイントですよ。

真似する時は、まずは、伝えたい情報と共に、応募者が欲している情報をリストアップしてみましょう。伝えたい情報だけでなく、求められている情報も提供する事で、応募率の増加に繋がります。


【例9】よく見ると変!『人に教えたくなる』仕掛け

TikTokコンテンツの中でも根強い人気を誇る、ホラーコンテンツ。
ホラーは世界観が命!フックもしっかりと設計されています。

ちょっと不気味なバイトの求人…という設定のこちらの動画ですが、音楽とイメージと求人要項だけで構成されているシンプルさですが、その分、書いてあるバイト内容の異様さが目立ち、ついつい見てしまいますね。

■フックとなる要素
シェアで広まるコミュニケーション

■こんな場面で真似してみよう
・コーポレートサイト内で、ターゲットの滞在時間の増加
・SNS広告以外で、SNSでの自社の認知を向上させたい

■真似する時のポイント
ゴールは『教えたくなる』感情。ターゲットがどんなものに発見や意外性を持ち、シェアに至るのかを検討する

今回は、『人に教えたくなる』仕掛けなのですが、実は、こちらの動画は動画の最後に、その求人に実際に応募できるQRがついているのです。

求人動画の最後に実際に読み取れるQRが。

TikTokのコメント欄でも、『QRコードを読み取ると詐欺サイトのブラックリストに入れられる』とか、『実際に応募した人のレポートが無いという事は…?』、『金欠の友達にシェアした』などのコメントで大盛り上がり!

実際に私も、シェア&QRの読み込みをしてしまいました。(書類選考で落ちた様で面談には至りませんでした。)

このコミュニケーションを実際の事例に当てはめるとしたら、ドン・キホーテさんのコーポレートサイトの例でしょうか。

内容としては、コーポレートサイトの言語切り替えをすると、一部ページがあのドンキ店内のPOPの文字になる…というもの。

ドンキ文字

ドン・キホーテさんは自社の魅力や特徴、ファンの求めているものを深く理解されているんだなと感じる、遊び心あるフックでした。

真似する時は、ターゲットが自社のどんなものに発見や意外性を持ち、シェアに至るのかを設計してくださいね。


【例10】ドローンで『視点を変える』仕掛け

ホラー繋がりでこちらの動画も紹介させてください。
ドローンで廃墟の外観や内観を撮影したコンテンツです。ドローンによる、俯瞰と主観の視点により、とても臨場感のある演出が人気となっています。

■フックとなる要素
ドローンによる『俯瞰視点』と『主観視点』によるドラマ性

■こんな場面で真似してみよう
企業のコーポレートサイトのMVで、企業のスケール感や技術力を伝える

■真似する時のポイント
ドローン撮影を『出来る』のではなく、『ちゃんと出来る』企業に頼む

ドローンは、空から建物や地域を撮影する、『俯瞰視線』と一人称で空間を走り抜ける様な『主観視点』の演出が得意。

写真や地上撮影の映像では表現が出来ない動きを可能にする為、こんな風に工場の紹介動画も、ただ社内の様子を映すのではなく、企業の持つドラマ性をストーリーを持って伝える事で、世界観の構築としても効果的なアプローチに仕上げています。

ドローンはドラマティックさの演出が得意なので、ホテルの様な非日常空間の演出

製造業の事業紹介や、アピールなど、概要や強みを伝えづらい領域にもマッチしていますよ。

真似する時は、ドローン撮影を『出来る』のではなく、『ちゃんと出来る』企業に頼む事!

ドローンは撮影の申請管理や確認取りといった専門知識も必要ですし、何より、ドラマティックさを出すためには、全体の構成から流れを逆算してディレクションを行わないと、空撮はしているけど、空撮をしてみただけの動画になってしまう危険性が大です。

動画があれば、SNSにもサイトにも活用が出来るから便利なんです

ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
恐らく、『世界観づくり』について考え、悩んでいらっしゃる方なのだと思います。

そこで、その一助になるかもしれないシェアをもう少しさせてください。

世界観を作り、その世界にターゲットを導き、感情変化をもたらし、世界観を好きになってもらう、という事は、発信したい商品やサービスとターゲットが接点を持つすべての工程で情緒的価値を生み出せって事。=CXを向上するという事です。

■CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?
顧客が商品の認知から購入、その後に至るまで得られる体験
の事。

現代は、機能・性能・価格といった合理的な価値はコモディティ化しやすく、それだけでは他社との差別化が難しい状況になっています。

CXでは、合理的な価値に、感情が伴う情緒的価値を上乗せする事で、差別化を図ります。

しかし、今は、コーポレートサイトの他にも、XにInstagramに、Youtubeにnoteに…。インターネッツの色んな場面でユーザーと接触するシーンがあるからこそ、CX向上の為の効率的な対策をしたいですよね。

実は今回、事例にTikTokを選んだのも、そんな理由から。

動画を作ってしまえば、そのままコーポレートサイトのMVにも使えるし、動画を元に、SNS用にコンテンツを作ったり、動画のスクリーンショットを元にメディア記事や広告にも使えるんですよ!

実はfūun、動画作成も出来るんです

動画って、依頼するハードルが高いんだよ…という方もご安心ください。
動画制作も、実は私たちも対応しておりました。

【事例1】 企業の雰囲気を伝えるシネマ映像の制作

【事例2】空間を魅力的に伝えるドローン撮影

私たちの様なweb制作会社に動画を依頼するメリットとしては、やはり『webの集客施策の戦略を元に、クリエイティブも一気通貫で支援』出来るという点。

例えば、web集客施策のマーケティングはA社、webサイトの作成はB社に、SNSの企画運用はC社に、動画制作はD社…とすると、それぞれの会社同士の連携ができない為、最初のマーケティング施策の意図とはズレたものが出来てしまうというケースが結構あります。

といっても、勿論、私たちの様なweb制作会社はそうならない様に、他社の施策やクリエイティブであっても、その奥の組み込まれた文脈や意図を読み込むのですが…それでもやはり最初から最後まで任せていただいた方が、スムーズに対応できるなと、つくり手としては感じます。

なので…

動画制作とサイト制作をセットでご依頼いただくと、お見積もりから10万円引きになります

という事にしました。

その10万円分の内訳としては、他の会社さんの作った施策やクリエイティブの意図を、クライアントの皆さんから、お伺いするコミュニケーションのコストだったり、頂いたクリエイティブも、サイトに反映する時に結局、微調節が必要だったりする事がほとんどのケースに見受けられるので、その調節コストだったりします。

それがまた、この値引きは『私たちに全部任せてくれてありがとう!』という制作会社としてのお礼も兼ねているので、トータルで見た時に、いずれにせよ、普通に依頼いただくよりも、絶対にお得な仕様にしておりますよ。

web施策やサイトのデザインとともに、どんな動画を撮ろうだとか、動画をどうPRに使おうか…、丸っと任せたい、相談したいという方におすすめのお値引きキャンペーンです。

価格表やキャンペーンのお問い合わせは、以下よりお問い合わせください

9月までのお申し込みなら年内制作も間に合う!

最後に、今のタイミングでお申し込みいただいたら、動画もサイト制作も年内にリリースが間に合います。

コーポレートサイトやブランドサイトの構築の他にも…来春に向け、採用サイトの準備としても、今の時期に動くのはちょうど良いタイミングなんじないかな、と思います。

最後に、きっと『伝えたい好き』がある方へ

『世界観作り』=『世界観の構築』+『世界観に引き込む仕掛けづくり』。

世界観を構築するだけではなく、引き込む仕掛けも重要で、その演出は色んな手法があるから、学んで、真似していこう!…という記事でしたが、参考になった人、少しでもいらっしゃったら嬉しいです。

制作会社が、仕事として企業さんの『世界観』をつくる場合、短くて1ヶ月、長くて3〜6ヶ月程度で明確にしないといけない訳ですが、その企業さんとは初めましてで現場の雰囲気も分からないから、世界観の断片となる、言葉の様な、色の様な…雰囲気を捕まえる事がとっても難しい。

世界観作りを仕事にする、プロですらそんな感じなのだから、マーケティングやブランディングに関係ない企業さんが自分たちで手探りで世界観づくりをする、というのはとても難しいプロジェクトだと思います。

そして、fūunは、そんな『なんとか世界観を伝えたい』、その世界観に自分たちの『好き』が詰まっている、という企業さんを応援したいと思っています。

fūunの強みは、ものづくり応援企業として、商品やサービスに詰まったこだわりや思いを汲み取り、企画やクリエイティブとして切り出す編集力と、新しく事業を始める企業や事業のスタートを低価格、広範囲でサポートする対応力にあります。

この記事を読んで、ちょっと話してみたいな、とか、自分たちの想いを汲み取ってくれるのかも?と思った方は、ぜひ、以下からお声かけしてください。仕事の事、それ以外の事、色々話しましょう!

引き続き、営業に強い協業パートナーも募集中です

以上、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
今回は、アートディレクターとして動く『ハッカ』がお送りしました。

■ハッカのお当番回のnote

明日も明後日も、思想と美学は強火の気持ちでやってくぞ!

ハッカより、愛を込めて、らびゅ!(Love you)

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