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【意義ある仕事】アダルトグッズプロデューサーになって、業界に新しいピンクをもたらせてよかったな【使命感しかない】

最近は、AV広報やAV女優、AVプロデューサーやエロ漫画家から、新しいキャリアを始めました〜!という方を一定数見かけますが、まだアダルトグッズプロデューサーをやってました!という方はギリギリいないのではないでしょうか?(いらっしゃったら、ごめんなさい。)

この記事が反応がよかったら、当時を振り返る漫画でも描こうかなと思うので、興味がある方はイイネやシェアで応援してくださったら嬉しいです。


今は東京のweb制作会社・fūun(フウウン)で、『アートディレクター』として生きている私こと、『ハッカ』ですが、私はアダルトグッズプロデューサーとして、過去に勤務していた経験があります。

数年前の話ですが、この経緯を話すと、未だに反応してくれる方が多いので、まだこの業界の事は謎のベールに包まれていたり、そこそこキャッチーな話題なのかな、と思ったり。

業界から離れ、新たな経験を重ねる中で、あの刺激的な世界の事を振り返ってみてもいいかな、と思えてきたので、当時に至るまでの事と、当時の事を振り返ってみようと思います。

『愛』や『死』について考えていたいから、アダルト産業にいくか

私は元々、東北の田舎で暮らしていました。写真家の両親の元で育ち、絵を描くとそれはそれは親が喜んでくれるし、実際、絵を賞に出すと、文部科学大臣賞なんかも受賞したりと鼻高々な事もあったりで、自然と東京の美大に行くぞ。と思う様になりました。

美大では、プロダクトデザインを専攻。車や家電のデザインを考えたり、企業のブランディングについて考える様な場所ですね。

親からも、『美大を出ても飯は食えないんだから、せめて就職先を見つけやすい所にしてくれ。』との意向もあり、選んだ専攻でした。思えば、ここでの経験が、のちのアダルトグッズプロデューサーとしての企画力や、アートディレクターとしての考え方に繋がっていた様に思います。

私が、そこから、なぜ『愛』や『死』について考えたかったか…については割愛しますが、とにかく、当時も今もその要素は自分の中の美を説明する大きな要素で、それを、大学4年間だけじゃなく、卒業後ももう少し時間をかけて考えたかった。

じゃあ、どんな職業ならそれが叶うのか。目に入ったのは、業界最大手のAVメーカーのリクナビだかマイナビだかの求人でした。

…『エロス(生/愛)』と『タナトス(死)』はひとつなぎ!エロスを考えたら、それはそのまま愛や死について考える事だ!と当時思い、勢いで応募しました。

大好きなあの子が雑なアダルトグッズで傷付く現実

そして、面接当日に内定をいただいたのですが、色々スムーズすぎて、また、アダルト業界に本当に踏み込んでいいのかと不安な私。その日は、お礼と共に、他の企業の結果も持ってお返事させていただきます。と言って帰りました。

それでもやっぱり、アダルトグッズプロデューサーとして、私がやらなきゃ!と思った出来事が起こります。

え、こんなモノを身体にいれるの…?

美大なので、専攻を問わず、作家志望の子はいます。美大では、絵の描き方は習っても、それをどう社会にアピールするかや社会で活きるスキルは学びません。(これは美大が悪いのではなく、大学は『学ぶ』場なので、そりゃそうだなと思います。あと、学校によってもその辺はグラデーションがあると思います。)

なので、割と、『風俗をしながら作家活動をする』という友人も結構いました。作家だと、制作時間や展示の集中時期もあるから、実家のサポートがある、結婚してパートナーが支えてくれる…といった環境がなければ、一般職をしながら作家をやりきれる子はいませんでした。

一般職を選ぶ子は、そのまま制作から離れる事が多かったです。

『玩具を使われて痛い』、風俗勤務後の友人が泣いていた

ある日、友人から『お客さんからこういうの使われた』とURLが送られてきた商品がありました。

見ると、確かに粗悪さの目立つ作り。よく見るとバリがついていたり、動きが荒く、抉る様な回転をしていたり…。

でもそれは、いわゆる『よく見る』玩具で、こんなモノが世に流れていて、そしてきっと、『アダルト』という日陰産業かつ、大きなお金と需要のある場所だからそのまま売れ続けているんだろう、という現実に、ショックを受けました。

私が『皆』の為に底抜けに明るいピンクバイブをつくろう

当時、アダルト業界を占める色というものは、『昭和っぽい強めのショッキングピンク』か、『和菓子の様な優しいベビーピンク』の2択でした。

昭和っぽいショッキングピンクで
強さを感じる玩具
モノだったのでボカシを入れさせて頂きました。
たおやかな優しいピンクの玩具たち
TENGAさん公式サイトより

当時の私は、それにすごく違和感を感じていました。

自分が使うとなった時に、前者を出されたらきっと引いてしまうし、クリアで無機物的な質感も相まって、『こわい』と感じると思う。

後者のTENGAさんのものについて、製品の方向性として、多くの人に刺さる不快感の少ないモノにしている事がすごく分かる、だからこそ感じた事。

私は、こういうふんわりしたピンクにしっくりこないタイプの女性だったので、『あ〜、なんか私、ダメなのかな…。』と思ってしまったのですよね。

私は、強め、イカつめのものにも共感しないし、柔らかで、いわゆる王道の女性向けのモノにもなんとなく反抗心を持ってしまう。

自分の事を、アダルトグッズ市場の中で、相手にされていなかったクラスタだと感じてしまって、そしてそれがなんだかどうしようもなく、悲しかった。

性のポジショニングが明確な、異性愛者の女性という分類の私ですらそんな感じなのだから、『男性』や、『女性以外』の『皆』はどう思うのだろう。LGBTQなんて言葉すら、会社に在籍していた2018年頃はそんな言葉が出始めた時期だった事もあり、そんな事を思っていました。

グロテクスさ、過激さを紐づける様な、強いショッキングピンクに支配されず、かといって、従来的な女性らしさを想起させる様なベビーピンクを模範にする事なく、

ただ、自分の楽しい、好き、心が躍る先に、全力で『そういうのも良いじゃん!』って一緒に面白がってくれる様な無邪気なピンクがいたら、救われる人って多いんじゃないかなと、玩具部屋の端っこで考えていました。

人は、製品を通じ『自分は世の中に受け入れられている』と感じる

そこで打ち出したのは、ビレバンに置いてありそうなオシャレ雑貨的なピンク』、『パートナーが持ってきても引かない玩具』といったコンセプトでした。

■アダルトグッズ業界の新たなピンクのキーワード

・イヤホンみたいなデバイス感、雑貨っぽさ
・生々しくないフラットさ
・アングラすぎないサブカル感
・無邪気さ
・後ろめたさの無い

当時の先輩方に、『バイブやローターは、男性が女性に使うのがメインなんだから、もっとエロくて生々しくなきゃ売れないよ!』と猛反対されたのを覚えています。

でも、当時、全社員に見られるメール日報で、その事に対しての反論を書きまくって部署を超えて『アイツ、やばい』となったのでこれも覚えているのですが、

『特定の層に向けた製品があるという事は、その数だけ、社会はあなたの事を見ています。考えようとしています。という意思表示』でもあると思うんです。

だから、売れないと予想されても、業界最大手のAVメーカーの玩具部として、やるべきなんです!!!と、当時、主張していました。

『あの子』に捧げるピンク玩具が生まれ、他社さんにも真似される様になった

そしてなんやかんやがあり、こんな感じのポップで、ちょっとユルくて、でもなんだか無邪気でオシャレで、『結構、イケてるじゃん?』って感じの製品がリリースされました。

ざっくり言うと、結果的にいっぱい売れて、こんな感じのシリーズがブランド内でも派生で沢山出来て、念願のヴィレッジヴァンガード』さんや、『渋谷PARCOのコンドマニア』さんに取り扱っていただいたり、各種オシャレメディアに取り上げていただいたりしました。

Amazon公式ストアより

そして、そんな感じの方向性の玩具が他社さんからもたくさん出ました。私自身は、パクられて嫌とか全然なく、『市民権を得てよかった〜!』という気持ちです。

『新しいピンク』がアダルトグッズ業界に生まれた瞬間でした。

開発秘話~大森靖子さんのこの曲を聞きながら作っていました~

開発秘話としては色々あるのですが、『売れないよ』と言われて心が折れそうながらも踏ん張っていた時に支えられたモノとして、大森靖子さんの曲があります。

大森靖子さんといえば、激情型シンガーソングライターとして、不器用な生き方を肯定する様な歌詞や、疾走感が特徴。

その闘う様な音楽は、美大時代の友人や自分を含め、『ピンクに傷付けられてしまった/ピンクに馴染めなかったあの子たちに捧げる』にふさわしく、一番の応援歌として当時の自分はよく聴いていました。

非国民的ヒーロー

実は、当時女性社員は初という事で、色々気を張ったりもしていました。昼も夜もアダルトグッズの事を考え、若干体調を崩して薬を飲みながらな時もありました。

当時、休職してもいいよ、無理しないでねと上司に言ってもらっても頑なに出社し続けていたのは、作家として、友人として、大好きな尊敬する『あの子』がどんどんボロボロになっていく中で、『何も出来ないのかなあ、何かできないのかなあ』と思っていたから。

製品をリリースして、AV女優さんや、ユーザーが、良かった。って言ってくれる度に、とっても救われていました。



地球がバグってる夢が刺さって血が出てる
なんの薬かもうわかんない錠剤僕の部屋だけバグってる
夜も昼もうまく来ない君を太陽にして無理矢理起きてる

だけどね 君が努力しちゃったら
二度とね僕じゃ届かなくなっちゃいそうだし
目つき悪くて惨めで no no no
本当は誰も wow wow wow
傷つけたく ないだけさ僕は何もできないかな



愛する気持ちだけでは
報われなかった全てをああ抱きしめて
そうやって記憶の中の風景 誰かにうまく話せばほら
ああ 救われる
そうやって...

非国民的ヒーロー

劇的JOY!ビフォーアフター

この曲は、特にこの製品のライティングやパッケージの色校正を夜な夜な残業しながら頑張っている時に、聴いていたなあ〜という思い出があります。

Amazon公式ストアより

私の作家の友人は、大森さんのCDジャケットにビジュアルを起用されていたりしましたし、作家じゃない子だって、結婚して子供を持つ中で、『私、本当に、誰よりも早く会社に来て、こんなに残業して、何をやっているんだろう…。本当になんの才能もないな…。』と思うと共に、

それでも、この曲みたいに、大嫌いな自分に、理不尽な今に、あの子に、社会に、『うるせー!!最高だよ!!!』って底抜けに明るいピンクを提示したかったのを覚えてます。



カワイイはつくれるキレイはきたない
君の感受性おまかせコース 私は変わらず世界を変える

お箸の持ち方E-gal おなかでちゃった才能なかった
そんなん誰にもバレてない 第1問 ・ きらめく嘘つくりなさい

なんかの花が なんかの季節を告げる
何回狂ってもなんとかしたいの 幸福イク

ほっぺたみたいなふともも最高!!!
ふとももみたいなほっぺたも最高!!!!!
息をするだけ 息するだけで、 JOY Joy to the ワンルーム

大嫌いこの顔での人生ゲームハンデ緩すぎ 余裕の大勝利 わかんないような男ならいらない night, Joy to the ワンルーム

劇的JOY!ビフォーアフターより

今、聴いても、泣いちゃうし、やっぱりモノづくりして生きていきたいし、全身全霊で世を愛したいな〜って思わされる曲です。

強気で生きていこうよ、誰かが見てるから

色々あって、そのアダルトメーカーから離れ、今に至るのですが、アダルト時代に得た教訓としては、こんなものがありました。

爪痕は残した者勝ち

ブランディングでも、『新しい領域を獲得して、持ち続けた者が勝つ』とか表現されますが、多分それは、正解です。

私は、『オシャレなアダルトグッズ』を開拓したら、私がメーカーを離脱した今もその後続が出続けているのを見てそう感じました。

新しい領域をつくるって、『異端児』として捉えられがちですが、それで大丈夫です。それはある意味、人々に毒か薬になる様な痕跡を残しているという事でもあるんじゃないのかな、と思います。

叫び続ける事が大事

私のアダルトグッズ制作も、日報で『ターゲットとして目を向けられすらしない層に対してのアプローチが、アダルトメーカーとして今こそ必要です』と書きまくらなかったら、上司や先輩は根負けして企画案にOKを出してくれなかったでしょう。(最終的に、ウチ、売上給だから作って売れなくて困るのは君なんだからね、と言いながら上司はOKしてくれました。)

こうあるべきでは?は、常に持ち、世に共有する姿勢は持っておく方が絶対にいいです。

きっと誰かが見ているよ

これは本当にそうで、私の日報を見た別部署のAVプロデューサーの同期の方が、『もっとこの商品を知ってほしいから』と、作品内で商品を使ってくれたり、玩具を売る営業さんが『なんだかいつも頑張ってるので売りたくなる』と応援して沢山売ってくれたり、他にも色んな方が応援してくれました。

結果的にリリースした商品が売れ、今も存在しているのは、そんな『知らないうちに見ていてくれた』方達のおかげなんですよね。

ありがとうございます…って今も思います。商品レビューを見ると、製品でなにか救われたユーザーもいた様なので。

この他にも、アダルトメーカーで起こった出来事や得た教訓は沢山あるので、記事に反響がありそうなら、書いていきたいな。

最近はこんな事で爪痕を残そうとしています

先ほど、『新しい領域を獲得して、持ち続けた者が勝つ』と言いましたが、最近は、『建築』×『ギャグ』で爪痕を残し、叫び、最終的に建築雑誌のマンガの連載を狙っています。

なぜ、『建築』×『ギャグ』に至ったかは、ぜひ、各記事を読んでみてください。

いや〜、ここまで自由に書きましたが、実はこのnoteって、fūun(フウウン) っていうweb制作会社の企業公式noteなんですよね。

会社に興味が出てきたかも、という方は、現在開催中のキャンペーンだったり、公式Xをフォローしていただいたりしてくれたら嬉しいな。

■開催中のキャンペーン

■公式X

以上、軽くでしたが、『ハッカ』から、お送りしました!

もし、『あの玩具使った/見た事ある!!』という方がいらっしゃったら教えてください。今もドンキの18禁コーナーとかにあの製品たちはいるはずです。

らびゅ!(Love you)

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