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社会問題

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記事一覧

資本主義と音楽|ポップミュージックが描く現代社会の光と闇

資本主義と音楽|ポップミュージックが描く現代社会の光と闇

今回は、資本主義と音楽というテーマで、現代の資本主義を鋭く風刺したRina Sawayama「XS」と、現代の全体主義的社会を皮肉ったKaty perry「Chained to the rhythm」について、書いていこうと思う。

前回、前々回のnoteではフェミニズムと音楽というテーマで和訳しつつ歌詞解説していく形で紹介していたが、今回は資本主義と音楽、というテーマを軸に書いていきたいと思う。

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フェミニズムと音楽 #2|ポップミュージックに込められた思想

フェミニズムと音楽 #2|ポップミュージックに込められた思想

昨年公開した「フェミニズムと音楽」シリーズ第二弾。今回は、2020年以降にリリースされたDua Lipa「Boys will be boys」とMarina「Man's world」の歌詞を詳しく解説しながら、ポップミュージックに込められたフェミニズムの思想について書いていきたい。
(前回書いた記事はこちら。ありがたいことに20,000viewを超えました...!)

Dua Lipa「Boys

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「新今宮ワンダーランド」を巡る当事者性と第三者性

「新今宮ワンダーランド」を巡る当事者性と第三者性

前回公開した『「新今宮のホームレスとデートする」記事は何が問題なのか」』というnoteを多くの方に読んで頂き、その後自分で釜ヶ崎のことについて色々と調べてみた。今回は「新今宮ワンダーランド」について、当事者の目線に重点をおいて、前回の記事に追記と言う形で書いていきたい。

(なお、例の記事が公開された後、ライターの島田彩氏が謝罪文を書かれており、今も文章をあげる調整を行っているとのことだが、委託し

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「新今宮のホームレスとデートする」記事は何が問題なのか

「新今宮のホームレスとデートする」記事は何が問題なのか

 新今宮に住んでいるホームレスとデートする様子を描いたnoteが話題になっていたので読んでみた。この記事への意見は様々であるが、記事そのものへの批判と、行政がPR記事として依頼しているという構造への批判などが混在している印象である。この記事では、⑴記事単体の問題点 ⑵この記事が行政が依頼したPR記事であるという構造への問題点 そして⑶西成の再開発にまつわる複雑化した問題点 の三つに的を絞って書いて

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人はなぜ物語を求めるのか|物語化する/される私たち #1

人はなぜ物語を求めるのか|物語化する/される私たち #1

 人は物語る動物である。

 私たちは起こった出来事を因果関係の上で捉え、あらゆる物事をストーリー化する。そのストーリーを表現するために、しばしば物語(ナラティブ)という形式を用いる。

 突然だが、ここでひとつなぞなぞを出そうと思う。

 正解は、「雨が降るまで踊り続ける」ことである。

 なんだか肩透かしな答えである。そんなの当たり前、ただの屁理屈だと思った人もいるかもしれない。ここで「おまじ

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#StopAsianHate について思うこと

#StopAsianHate について思うこと

 アジア系の人々を標的にしたヘイトクライムが過激化している。#Blacklivematterが流行ったころから、COVID-19(以下新型コロナと表記)への鬱憤がアジア人へ向かうのも時間の問題だろうと思っていたが、最悪の形で露呈してしまった。

 そもそも新型コロナが流行る以前から、黒人差別の問題に比べ、アジア人への差別は比較的関心が薄い。手前味噌だが、以前RINA SAWAYAMAの楽曲を用いて

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何気ない人種差別#2 | 日本に差別は存在しないという幻想

何気ない人種差別#2 | 日本に差別は存在しないという幻想

 前回に引き続き、今回の記事では、NIKE の人種差別をテーマにしたcmを軸に、「日本人は人種差別をしない」という言説は果たして本当なのか、そして、差別しない人というのは差異に鈍感な人なのか、ということについて考えていきたい。

 昨年11月に公開されたこのNIKEのCMは、公開後多くの反響と賛否両論を招いた。

 その反応について、批判する人の意見は、大きく二つに分かれていたように思う。
1.「

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文化は、誰のもの?#2 │ 文化盗用(cultural appropriation)について

文化は、誰のもの?#2 │ 文化盗用(cultural appropriation)について

 前記事では、日本における文化盗用とファッションについて触れてきた。

 今回の記事では黒人音楽における文化盗用、そして実際的に文化盗用を防ぐための手立てについて考えていきたい。

もう一度、文化盗用についておさらいしておく。

文化の盗用(ぶんかのとうよう 英: Cultural appropriation)とは、ある文化圏の要素を他の文化圏の者が流用する行為である。 少数民族など社会的少数者の

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文化は、誰のもの?#1|文化盗用(cultural appropriation)について

文化は、誰のもの?#1|文化盗用(cultural appropriation)について

 文化盗用、という言葉を聞いたことがあるだろうか。英語ではcultural appropriation、直訳すると文化流用である。ある人種の民族や文化を他の文化圏のものが用いる行為のことを文化盗用といい、流用の対象となるものには宗教および文化の伝統、ファッション、シンボル、言語、音楽が含まれる。特にアメリカのような多民族国家においては、このような問題への関心はとても高く、しばしば非難が巻き起こる。

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フェミニズムと音楽│Divaの歌う自立した女性像

フェミニズムと音楽│Divaの歌う自立した女性像

音楽に込められたメッセージは、時代を映す鏡である。今回は(個人的お気に入りの)海外の女性アーティストの歌詞を通して、フェミニズムの潮流を紐解いていきたい。

 フェミニズムと音楽、その源流をたどると、やはりMadonnaやChristina aguilera、などが挙げられるだろう。Madonnaは「Express yourself」で、音楽を通して女性の尊厳を歌うアーティストの先駆けとなった。歌

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私とあなたの間の透明な薄い膜

私とあなたの間の透明な薄い膜

繰り返される差別の連鎖
アメリカで白人警官が黒人を殺害したことを発端とするデモや暴動が過激化している。何度も繰り返される光景に、絶望に似た諦観を覚える。人種差別とはこうも根深いものなのか。中学生の頃、ルーサーキングjrの伝記を読んで、「こんな近い時代に、こんな差別が行われていたなんて、信じられない」と父に言ったことを覚えている。でも、その時代に行われていたことと何も変わらないことが、2020年

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【映画評】「13th -憲法修正第13条-」で描かれる構造的な人種差別

【映画評】「13th -憲法修正第13条-」で描かれる構造的な人種差別

 ようやくNetflixのドキュメンタリー「13th -憲法修正第13条-」を見たので、忘れないうちにまとめと感想を記しておきたい。アメリカ建国時から続く黒人差別問題について深く掘り下げたドキュメンタリーである。

13th -憲法修正第13条-のまとめ
 このドキュメンタリーは、以下のような衝撃的な出だしで始まる。

「統計上アメリカの人口は世界の人口の5%だが、受刑者数は世界の25%と化してい

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