池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・…

池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・文化的に捉え、未来を展望・発信。AIと社会をつなぐデータビリティコンソーシアム事務局長・Well‐Being部会長、堺屋太一研究室主任研究員など。著書(「日本再起動」「上方生活文化堂」など)

マガジン

  • 日経COMEMO

    • 13,114本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

記事一覧

子どもの18年と高齢者の18年は同じ18年ではない―こんな少子化対策はどうだろうか?(上)

5月5日の子どもの日は「端午の節句」で、男の子の健やかな成長や幸せを祝う。わが家の仏壇の「過去帳」に残された江戸時代からの先祖の死亡年齢を見ると、年齢若くして子ど…

大切なことは変えたらあかんーあなたがあなたでなくなる

「テレワークは、これからどうなる?」 という質問をよく受ける。昨年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行して、テレワークメインから出社メインに変わろうとするな…

令和の浦島太郎は玉手箱を開けたらあかん—浦島太郎ニッポン(下)

ノスタルジーにふけることは、時にはあってもいい。かつてを懐かしむ時も、あってもいい。瞬間、刹那はいいが、それを「過去から未来につながる基本潮流」だと考えてはいけ…

なぜみんな同じ顔をしているだろうか?—浦島太郎ニッポン(中)

韓国は美容整形大国。 韓国の女優って、みんな、顔が似ていると思いませんか?整形している人が多い、男の人も、女の人も。この韓国の美容整形の技術のノウハウを移転した…

勝てる戦略の作り方—浦島太郎ニッポン (上)

狐の嫁入りを観た。桜が舞う京都の大谷祖廟前から高台寺まで、狐のお面をかぶった白無垢の花嫁が人力車に乗って練り歩く。高台寺を創建した豊臣秀吉の正室ねね様の没後400…

人手不足の本当の理由ーみんな一緒からみんなバラバラ(下)

人手不足・人手不足というが、本当に人手不足だろうか?その本質は、えり好みではないか?需要と供給のアンマッチではないか?良さそうな所には行きたいが、良くなさそうな…

インバウンドの本当の意味―みんな一緒から、みんないろいろ時代に(上)

30万円のフランス料理、10万円のお寿司、1万円の海鮮丼があらわれる。それでも「安くて美味しい」と日本に来た海外の人が嬉々として食べる。コロナ5類移行の昨年5月から、…

なぜ東京のトイレはキレイなのか?―コンテクストのないところに、コンテンツは生まれない

目に見えて日本の人口が減っている。街のなかで高齢者が多くなってきていることは実感していたが、子どもや若者がぐんと少なくなってきたと感じるようになった。飲食店や商…

会社員という「職業」が消えるー(続)テレワークが戻るのは「元ワーク」か?

テレワークをやめて会社に戻れというが、その戻ろうとするワークスタイルは、60年続けてきた「元ワーク」ではない。コロナ禍に入り4年経て、テレワークで仕事に支障が出…

テレワークが戻るのは元ワークか?

出社スタイルに戻す企業が増えている。テレワークが元ワークに戻ろうとしているのか?戻るのは、元ワークなのだろうか?テレワークから戻っていこうとしているのは元ワーク…

右と左が反転するー鏡のなかのあなたの本

「売れない、企画が通らない。手直しをしてください」と相談され、企業のお客さま向け提案書や企画書をみることが多い。しかし、こりゃあかんというモノが多い。なにが言い…

アートは街を変えられるか?ースペインで日本を感じる(下)

ディズニーの白雪姫城のモデルは、スペインの古城。セゴビアには、900年前に建てられた世界遺産のアルカサル(王城)があり、古代ローマ時代に建設された水道橋は、22…

世界一の美食都市サンセバスチャンに学ぶースペインで日本を感じる(中)

街は生き物である。街は、変わる。その街がそこに存在している風土、立地性という必然性がある。それらから、歴史、文化が醸成されていくが、その街の人々がありたい姿を願…

外国人マネーが飛んでいる。そのあと、どうなる、どうする?

マネーが飛びかっている。日経平均株価はいよいよ史上最高値に迫るが、実態実感なき高株価だと多くの人は感じている。昨年5月のコロナ5類移行から、円安からも空前のイン…

酢が入っていない寿司―スペインで日本を感じる(上)

表面的には、コロナ禍はなくなっていた。しかし見えないコロナ禍影響・変化が濃厚に刻まれていた。そんなスペインとフランスを歩いてきた。 「日本に勝る国はありません…

また、東京一極集中に戻っている―まるでコロナ禍がなかったように(下)

まるでコロナ禍がなかったように。コロナ5類以降に伴い、東京圏が転入超過に戻り、「東京一極」集中が、ふたたび強まる。この記事を読み進めるうえで、驚くコメントがでて…

子どもの18年と高齢者の18年は同じ18年ではない―こんな少子化対策はどうだろうか?(上)

子どもの18年と高齢者の18年は同じ18年ではない―こんな少子化対策はどうだろうか?(上)

5月5日の子どもの日は「端午の節句」で、男の子の健やかな成長や幸せを祝う。わが家の仏壇の「過去帳」に残された江戸時代からの先祖の死亡年齢を見ると、年齢若くして子ども時代に亡くなられた先祖が多い

かつて日本は、「7歳までの子どもは、神のうち(神の子)」と言われた。生まれて7歳までは神様から預かった子であり、7歳になってはじめて氏神さまの氏子となり、地域社会の一員となれた。無事に育った子どもの成長

もっとみる
大切なことは変えたらあかんーあなたがあなたでなくなる

大切なことは変えたらあかんーあなたがあなたでなくなる

「テレワークは、これからどうなる?」
という質問をよく受ける。昨年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行して、テレワークメインから出社メインに変わろうとするなか、1年が経った。新年度となる4月から、さらに出社スタイルに戻そうとする会社が増えつつあるが、戻っていこうとする先のワークは、前のワークではない、元ワークではない

テレワークに向かっていくのは
必然ではないだろうか?

生成AIが進むと

もっとみる
令和の浦島太郎は玉手箱を開けたらあかん—浦島太郎ニッポン(下)

令和の浦島太郎は玉手箱を開けたらあかん—浦島太郎ニッポン(下)

ノスタルジーにふけることは、時にはあってもいい。かつてを懐かしむ時も、あってもいい。瞬間、刹那はいいが、それを「過去から未来につながる基本潮流」だと考えてはいけない。それを時代の本質だと認識してはいけない

現在の私たちは、過去に生きているのではない。未来は、まだ生きてはいない。現在に生きている。現在に息づく「過去と現在と未来の流れ」を発見して、3つの時間軸をつなぐ人が、未来を切り拓けることができ

もっとみる
なぜみんな同じ顔をしているだろうか?—浦島太郎ニッポン(中)

なぜみんな同じ顔をしているだろうか?—浦島太郎ニッポン(中)

韓国は美容整形大国。 韓国の女優って、みんな、顔が似ていると思いませんか?整形している人が多い、男の人も、女の人も。この韓国の美容整形の技術のノウハウを移転したのは、実は日本の美容整形外科医だった。 大阪の美容整外科医が、日本の美容整形ノウハウを韓国の美容整形業界に教えた。その方法が、現在にも継承されている

だから、みんな、同じ顔になった

日本からノウハウを伝授されたあと、韓国の美容整形業界は

もっとみる
勝てる戦略の作り方—浦島太郎ニッポン (上)

勝てる戦略の作り方—浦島太郎ニッポン (上)

狐の嫁入りを観た。桜が舞う京都の大谷祖廟前から高台寺まで、狐のお面をかぶった白無垢の花嫁が人力車に乗って練り歩く。高台寺を創建した豊臣秀吉の正室ねね様の没後400年にあたる今年、縁起が良いとされた「狐の嫁入り」が、今年の4月7日で終了となる

狐の嫁入りって、不思議なことば

日が照っているのに急に雨が降り出す天気雨、晴れているのにすこし小雨が降るという不思議な現象を「狐の嫁入り」と使う。もとは

もっとみる
人手不足の本当の理由ーみんな一緒からみんなバラバラ(下)

人手不足の本当の理由ーみんな一緒からみんなバラバラ(下)

人手不足・人手不足というが、本当に人手不足だろうか?その本質は、えり好みではないか?需要と供給のアンマッチではないか?良さそうな所には行きたいが、良くなさそうな所には行きたくない。働く条件、働く環境の良さそうな会社には、高い給料の会社には人が集まる。みんな一緒から、二極化どころか、実態はバラバラに。

さらに4月から物流や建設業界での2024年問題という時間外労働の上限規制が適用される。これで人が

もっとみる
インバウンドの本当の意味―みんな一緒から、みんないろいろ時代に(上)

インバウンドの本当の意味―みんな一緒から、みんないろいろ時代に(上)

30万円のフランス料理、10万円のお寿司、1万円の海鮮丼があらわれる。それでも「安くて美味しい」と日本に来た海外の人が嬉々として食べる。コロナ5類移行の昨年5月から、世界からの観光客が一気に戻ってきた。全国の観光地に訪ねて、どこもかしこもが観光客であふれ、「オーバーツーリズム」と呼ばれる現象をひきおこして、コロナ禍での低迷から一気にV字回復しようとしている

1室1泊30万円、50万円のホテルも出

もっとみる
なぜ東京のトイレはキレイなのか?―コンテクストのないところに、コンテンツは生まれない

なぜ東京のトイレはキレイなのか?―コンテクストのないところに、コンテンツは生まれない

目に見えて日本の人口が減っている。街のなかで高齢者が多くなってきていることは実感していたが、子どもや若者がぐんと少なくなってきたと感じるようになった。飲食店や商店や工場や建設や交通・物流の現場では、人が集まらない。外国労働者が増えている。大阪のある区では、世界から60ヶ国の外国人が住んでおられるという。多国籍都市と言われていたオーストラリアのメルボルンで23ヶ国だと聴いたことがあったが、その数を大

もっとみる
会社員という「職業」が消えるー(続)テレワークが戻るのは「元ワーク」か?

会社員という「職業」が消えるー(続)テレワークが戻るのは「元ワーク」か?

テレワークをやめて会社に戻れというが、その戻ろうとするワークスタイルは、60年続けてきた「元ワーク」ではない。コロナ禍に入り4年経て、テレワークで仕事に支障が出ているから、コロナ禍前のように会社に集まって仕事をしようと会社はみんなに命じるが、そのワークスタイルは元のワークではない。これを読み違えたら、これからががらっと変わる

1 職業欄から、「会社員」が消えた

かつて普通にあった職業欄の「会社

もっとみる
テレワークが戻るのは元ワークか?

テレワークが戻るのは元ワークか?

出社スタイルに戻す企業が増えている。テレワークが元ワークに戻ろうとしているのか?戻るのは、元ワークなのだろうか?テレワークから戻っていこうとしているのは元ワークではなく、新しいワークではないか?

賃上げと人材育成、働き方改革、少子化対策、こども未来戦略を議論している人たちは、日本の就業観、ワークスタイルがどう変わりつつあるかが見えているのだろうか?変化の構図を読み解くキーワードはこの言葉

もっとみる
右と左が反転するー鏡のなかのあなたの本

右と左が反転するー鏡のなかのあなたの本

「売れない、企画が通らない。手直しをしてください」と相談され、企業のお客さま向け提案書や企画書をみることが多い。しかし、こりゃあかんというモノが多い。なにが言いたいのか分からないモノは論外として、論点がないモノや構造化されていないモノやストーリーがないモノが多いが、それよりも根本的に提案書・企画が通らない「ノックアウトファクター」(それひとつで終わってしまう決定的不可能な要因)が存在している

もっとみる
アートは街を変えられるか?ースペインで日本を感じる(下)

アートは街を変えられるか?ースペインで日本を感じる(下)

ディズニーの白雪姫城のモデルは、スペインの古城。セゴビアには、900年前に建てられた世界遺産のアルカサル(王城)があり、古代ローマ時代に建設された水道橋は、2200年後の現在も使われている

スペインのバスク地方を走っていると、瓦の屋根の家が多いことに気がつく。瓦は、アジア・イスラム文化の影響。瓦の発祥は定かではないが、古代ギリシア、中国、イスラムにあったという。どちらにしろ、アジアから世界に広が

もっとみる
世界一の美食都市サンセバスチャンに学ぶースペインで日本を感じる(中)

世界一の美食都市サンセバスチャンに学ぶースペインで日本を感じる(中)

街は生き物である。街は、変わる。その街がそこに存在している風土、立地性という必然性がある。それらから、歴史、文化が醸成されていくが、その街の人々がありたい姿を願い、それを実現する戦略を描き、時を連続的に継続的に重ねることができたら、街は変えることができる。それを成し遂げたスペインのサンセバツチャンを訪ねた

1 美食都市サンセスバスチャンは、どうつくられたのか?

料理も変わる
世界の料理の中心は

もっとみる
外国人マネーが飛んでいる。そのあと、どうなる、どうする?

外国人マネーが飛んでいる。そのあと、どうなる、どうする?

マネーが飛びかっている。日経平均株価はいよいよ史上最高値に迫るが、実態実感なき高株価だと多くの人は感じている。昨年5月のコロナ5類移行から、円安からも空前のインバウンドブームとなっているが、街の風景が変わった。これまで日本の定番だった観光地だけでなく、意外な場所が外国人観光客で賑わうようになっている。そしてラグジュアリーホテルや高級旅館は1泊10万円・20万円が普通となり、1泊50万円100万円の

もっとみる
酢が入っていない寿司―スペインで日本を感じる(上)

酢が入っていない寿司―スペインで日本を感じる(上)

表面的には、コロナ禍はなくなっていた。しかし見えないコロナ禍影響・変化が濃厚に刻まれていた。そんなスペインとフランスを歩いてきた。

「日本に勝る国はありませんよ」と、スペインのマドリードの空港に着いて不意に語ったベテラン添乗員の呟きから、旅が始まった。

1. スペインで、日本を感じる

海外に行くというということは、日本を見つめ直すことでもある。スペインを歩きながら、日本を感じた

日本はす

もっとみる
また、東京一極集中に戻っている―まるでコロナ禍がなかったように(下)

また、東京一極集中に戻っている―まるでコロナ禍がなかったように(下)

まるでコロナ禍がなかったように。コロナ5類以降に伴い、東京圏が転入超過に戻り、「東京一極」集中が、ふたたび強まる。この記事を読み進めるうえで、驚くコメントがでてくる―「国際経競争力を維持するため、東京圏の成長は重要だ」というが、それ、本当?東京一極集中で、この30年、日本の競争力は低下しつづけている。それだけが原因ではないが、東京一極集中に戻って、日本、いいの?

1 東京は、どうなっていく?

もっとみる