池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・…

池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・文化的に捉え、未来を展望・発信。AIと社会をつなぐデータビリティコンソーシアム事務局長・Well‐Being部会長、堺屋太一研究室主任研究員など。著書(「日本再起動」「上方生活文化堂」など)

マガジン

  • 日経COMEMO

    • 13,622本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

記事一覧

バッターボックスのゴミを拾う大谷翔平選手の心―美しい日本②

その京都の和食のミシュラン店は、京文化を体感できる良い店だった。円安インバウンドブームで、日本料理が人気となり、予約困難店となった。コロナ禍前の1人3万円が7万円…

日本が生き残る道-美しい日本 ①

「SHOGUN 将軍」がエミー賞で史上最多の計18冠に輝いた。世界が日本を評価したとのニュースが飛びかった。舞台設定、ストーリー展開が巧みであり、映像のアングルは70…

日本から「日本ならでは」が消えつつある

「日本のアニメは、この20年で大きく変わりましたね。バイオレントなアニメが増えた。流血や暴力が増えた。子どもには見せられないシーンが増えた」ー若いインド系イギリ…

孫文はなぜ孫中山と呼ばれているのか?

中国で孫文ブームが起こっている。中国で孫文の銅像が次々と建立されているという。日本では孫文と呼ばれているが、中国では孫中山と呼ばれ、銅像には「孫中山」と銘打たれ…

どこまでも拡がる人―松岡正剛先生の死を悼んで(下)

「1000のキーワードを考えてください」と「日本再起動」に向けた対談にあたり、松岡正剛先生からそう宿題をいただいた。大阪ガスエネルギー・文化研究所のメンバー全員…

どこまでも深い人―松岡正剛先生の死を悼んで(中)

なにかを選ぶことは、なにかを捨てること。戦略とは勝つための方法を選択することだが、なにかを選択しないことー私はこれを肝に銘じている 「スマホのメリットは言うま…

話がひたすら面白い人—松岡正剛先生の死を悼んで(上)

知の巨人松岡正剛先生が亡くなられた。学生時代から、勝手に師匠と仰ぎ、先生の膨大な本を耽読してきた。博覧強記の松岡正剛先生と、大阪ガスのエネルギー文化研究所所長時…

話が面白くない人たち

1人で流暢に話すことはできても、知らない人との会話が成り立たない—マスコミによく登場する学者やオピニオンリーダーと呼ばれる人にも多い。自分の世界のなかでの一人語…

南海トラフ「巨大地震」は起こるのか?ー新たなリスク戦略

宮崎地震が発生して南海トラフ巨大地震注意報が発表され、その翌日に神奈川地震が、翌々日に青森地震が起こった。それぞれの余震も起こる。なぜか大地震発生の場所には、原…

花火で街がかわった―人が集まる戦略

夏には花火が似合う。日本の夏の花火人気は、年々高まる。大阪の花火は川からの打ち上げが多い。天神祭り船渡御の花火につづき、関西を代表するなにわ淀川花火が開催された…

いい塩梅を求めつづけるニッポンに。

気がついたら、世の中が変わることがある。突然、潮目が変わることがある。ちょっとだけ前の世の中の空気は、GAFA時代だ、彼らにこれ以上離されるわけにはいかないと言って…

土用の丑の日の「うなぎ」に、日本のモノづくりの本質を観る

本日は土用の丑の日、うなぎを食べる。今年はうなぎ屋だけでなく、外食チェーンで、ファミレスで、スーパーで、弁当店で、うなぎを見かける。うなぎはうなぎ屋で食べるもの…

あなたには、なにが見えていますか?

いろいろなことがおこる。今までならば、あり得なかった重大な問題がおこる。それも、頻発におこる。それが、いろいろな所で、連鎖的におこる。そして、その問題は長期化す…

別次元の人が頑張るニッポンに―誰からリストラする?(下)

日本の組織には独裁者、カリスマは合わない。そんな人が社会に現れても、長くは君臨できない。平清盛、織田信長、豊臣秀吉、大久保利通しかり、日本は突出したリーダーには…

「誰からリストラする?」の女子大生が出した答えから5年目の日本は?(上)

5年前の女子大生たちの答えが、現代日本社会でリアリテイを増している 「あなたは入社15年目の管理職です。あなたには部下が10人います。1人をリストラしなければならな…

地味にコツコツのなにが悪いんや?ー平凡と非凡(下)

大手有名企業に採用されて、たった1か月、半年、1年でやめていく。あの有名企業に雇用されたということで、自分の非凡さをアピールできた。次にその大手企業にいたという…

バッターボックスのゴミを拾う大谷翔平選手の心―美しい日本②

バッターボックスのゴミを拾う大谷翔平選手の心―美しい日本②

その京都の和食のミシュラン店は、京文化を体感できる良い店だった。円安インバウンドブームで、日本料理が人気となり、予約困難店となった。コロナ禍前の1人3万円が7万円になった。普通の人には高すぎて行けない。その店に行った人から聴いた

あの店、変わってしまった
むごいほど落ちてしまった

なにが落ちたのか?店主は同じだが店のスタッフが変わり、料理の味が落ちた以上にお客さまへのもてなしが落ちた。長年お店

もっとみる
日本が生き残る道-美しい日本 ①

日本が生き残る道-美しい日本 ①

「SHOGUN 将軍」がエミー賞で史上最多の計18冠に輝いた。世界が日本を評価したとのニュースが飛びかった。舞台設定、ストーリー展開が巧みであり、映像のアングルは70年前の黒澤明監督の羅生門を彷彿させた。なかでも真田広之さんはじめ日本人俳優・女優の所作が、かつての日本人の所作であり、美しかった。「SHOGUN 将軍」は、本当の「日本美」が評価されたのではないだろうか

では、本当の日本美、美しい日

もっとみる
日本から「日本ならでは」が消えつつある

日本から「日本ならでは」が消えつつある

「日本のアニメは、この20年で大きく変わりましたね。バイオレントなアニメが増えた。流血や暴力が増えた。子どもには見せられないシーンが増えた」ー若いインド系イギリス人の弁護士と日本文化を議論した時に、日本文化が好きだという彼は、日本文化の変容を懸念する

「日本ならでは」が飛びかう。毎日のように「日本ならでは」の記事が並ぶ。日本はすごい、日本は素晴らしい、日本は世界とは違う。しかしここでいう「日本

もっとみる
孫文はなぜ孫中山と呼ばれているのか?

孫文はなぜ孫中山と呼ばれているのか?

中国で孫文ブームが起こっている。中国で孫文の銅像が次々と建立されているという。日本では孫文と呼ばれているが、中国では孫中山と呼ばれ、銅像には「孫中山」と銘打たれているという

なぜ孫文は、孫中山と呼ばれているのか?

この呼び方に、中国の日本への基本姿勢が浮かび上がる
中華民国の国父と言われる孫文は、270年続いた清朝満州族から中国を漢民族に取り戻し、中華民国を作りあげた。その功績で、国父と呼ぶ台

もっとみる
どこまでも拡がる人―松岡正剛先生の死を悼んで(下)

どこまでも拡がる人―松岡正剛先生の死を悼んで(下)

「1000のキーワードを考えてください」と「日本再起動」に向けた対談にあたり、松岡正剛先生からそう宿題をいただいた。大阪ガスエネルギー・文化研究所のメンバー全員で、古代から現代の時間軸を横軸に、社会・産業・技術・生活・教育などの12のテーマを縦軸に、1000のキーワードをマトリックス表に埋めた

キーワード1000のマトリックス表をテーブルに並べ、先生と事前ミーティングした。そして大阪難波の法善寺

もっとみる
どこまでも深い人―松岡正剛先生の死を悼んで(中)

どこまでも深い人―松岡正剛先生の死を悼んで(中)

なにかを選ぶことは、なにかを捨てること。戦略とは勝つための方法を選択することだが、なにかを選択しないことー私はこれを肝に銘じている

「スマホのメリットは言うまでもないが、スマホによって、人の力から『地理軸と時間軸』が弱くなっていく」―6年前の「知の巨人」松岡正剛先生への「スマホのメリットとデメリットは?」の大阪ガスエネルギー・文化研究所長時代の私の問いへの答えだった。これから本格化する生成AI

もっとみる
話がひたすら面白い人—松岡正剛先生の死を悼んで(上)

話がひたすら面白い人—松岡正剛先生の死を悼んで(上)

知の巨人松岡正剛先生が亡くなられた。学生時代から、勝手に師匠と仰ぎ、先生の膨大な本を耽読してきた。博覧強記の松岡正剛先生と、大阪ガスのエネルギー文化研究所所長時代に、1年間、大阪の法善寺横丁と東京の豪徳寺の本につつまれた知的空間で、日本再起動をテーマに対談させていただいた濃密な時間を忘れられない

松岡正剛先生の死を悼み、2017年から2018年にかけ、3回にわたって大阪ガスエネルギー・文化研究所

もっとみる
話が面白くない人たち

話が面白くない人たち

1人で流暢に話すことはできても、知らない人との会話が成り立たない—マスコミによく登場する学者やオピニオンリーダーと呼ばれる人にも多い。自分の世界のなかでの一人語りはできても、議論が嚙み合わない有名人もいる

意図せず、自分が好きなニュースや情報空間に毎日過ごしてしまう。フィルターバブルやエコーチェンバーの弊害をもたらすといわれだして久しいが、自分の関心のある情報ばかりを意図せずに集めて、自分にと

もっとみる
南海トラフ「巨大地震」は起こるのか?ー新たなリスク戦略

南海トラフ「巨大地震」は起こるのか?ー新たなリスク戦略

宮崎地震が発生して南海トラフ巨大地震注意報が発表され、その翌日に神奈川地震が、翌々日に青森地震が起こった。それぞれの余震も起こる。なぜか大地震発生の場所には、原子力発電所がある。どうなるんやろ?東日本大震災のようになったら、どうなるんやろう?本当に、もしかしたら南海トラフ大地震が起こるかもしれない。もしも大地震が起こったら、どうなるんやろう?今日で、南海トラフ「巨大地震注意」情報が発表されて、7日

もっとみる
花火で街がかわった―人が集まる戦略

花火で街がかわった―人が集まる戦略

夏には花火が似合う。日本の夏の花火人気は、年々高まる。大阪の花火は川からの打ち上げが多い。天神祭り船渡御の花火につづき、関西を代表するなにわ淀川花火が開催された。江戸時代の大坂は縦横無尽に張り巡らされた川や運河で物流・交通を行い、水の都と言われるほど川・水との関係が深かった。その川に花火を打ち上げる

淀川の花火を観るため、大阪のみならず関西一円から淀川の河川敷に、花火見物客が集まる。川から空に打

もっとみる
いい塩梅を求めつづけるニッポンに。

いい塩梅を求めつづけるニッポンに。

気がついたら、世の中が変わることがある。突然、潮目が変わることがある。ちょっとだけ前の世の中の空気は、GAFA時代だ、彼らにこれ以上離されるわけにはいかないと言っていた。DXを進めないといけない、AIの学び直しだ、大学にはデータサイエンス学部に行かねばと言っていた。いつまでも昭和の経営をしていたらいけない、中小企業の経営者はMBAの学び直しが必要だ、と言っていた。あれだけデジタルだ、データサイエン

もっとみる
土用の丑の日の「うなぎ」に、日本のモノづくりの本質を観る

土用の丑の日の「うなぎ」に、日本のモノづくりの本質を観る

本日は土用の丑の日、うなぎを食べる。今年はうなぎ屋だけでなく、外食チェーンで、ファミレスで、スーパーで、弁当店で、うなぎを見かける。うなぎはうなぎ屋で食べるものだった頃から、夏が暑くなり夏が長くなってから、夏のうなぎをいろいろな場で見かけるようになった。気のせいか?

土用の丑の日とはなにか?中国の暦の12支由来で、土用とは立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間、丑の日は12日周期で丑の日がやってく

もっとみる
あなたには、なにが見えていますか?

あなたには、なにが見えていますか?

いろいろなことがおこる。今までならば、あり得なかった重大な問題がおこる。それも、頻発におこる。それが、いろいろな所で、連鎖的におこる。そして、その問題は長期化する。なにが、おこっているのか?

1 目に見えない問題が見えなくなった

問題がおこる。問題には目に見える問題と、目に見えない問題がある。目に見える問題には対処しようとするが、目に見えない問題は見えていないから対処しない

目に見えている

もっとみる
別次元の人が頑張るニッポンに―誰からリストラする?(下)

別次元の人が頑張るニッポンに―誰からリストラする?(下)

日本の組織には独裁者、カリスマは合わない。そんな人が社会に現れても、長くは君臨できない。平清盛、織田信長、豊臣秀吉、大久保利通しかり、日本は突出したリーダーにはついていけないと考えるーそれ、本当?

組織のなかに、飛び抜けた人がでている。しかしみんな一緒、みんな仲良しの組織のなかでは、みんなと違う、場を乱す人とみなされ、別次元の人は浮き、排除されるーそれで、いいの?

1 別次元の人に実力を発揮

もっとみる
「誰からリストラする?」の女子大生が出した答えから5年目の日本は?(上)

「誰からリストラする?」の女子大生が出した答えから5年目の日本は?(上)

5年前の女子大生たちの答えが、現代日本社会でリアリテイを増している

「あなたは入社15年目の管理職です。あなたには部下が10人います。1人をリストラしなければならない状況になりました。管理職のあなたは、誰からリストラしますか?」

という設問を出し、学生がそれぞれ回答メモを書いたあと、グループディスカッションした。ある女子大での授業の一環。人の能力のあるなしを見極めるのは難しい。だから部下の

もっとみる
地味にコツコツのなにが悪いんや?ー平凡と非凡(下)

地味にコツコツのなにが悪いんや?ー平凡と非凡(下)

大手有名企業に採用されて、たった1か月、半年、1年でやめていく。あの有名企業に雇用されたということで、自分の非凡さをアピールできた。次にその大手企業にいたということを売りにして、次の会社に転職していく人もいるが、そんなキャリアのコンサルサントになった人に出くわして

えっ、こんなレベル?
と思ったこと、ありませんか?

派手なアピールをするのは個人の自由だけど、そんなパフォーマンスはどうでもいい

もっとみる