池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・…

池永寛明|社会文化研究家

コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に構造変革しつつある日本社会の過去・現在と未来を構造的・文化的に捉え、未来を展望・発信。AIと社会をつなぐデータビリティコンソーシアム事務局長・Well‐Being部会長、堺屋太一研究室主任研究員など。著書(「日本再起動」「上方生活文化堂」など)

マガジン

  • 日経COMEMO

    • 12,561本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

    • 日経COMEMO

      • 12,561本

最近の記事

生成AI時代を生き残る学びと仕事法とは

本物の紅葉はどっち?本物の紅葉とテーブルに映り込む紅葉のどっちが本物?京都嵐山の祐斎亭で、リフレクション(反射)してシンメトリーに映し出される紅葉の写真を撮った。幻想的な京の空間に入りこんだ 1 学びと仕事で、おころうとしていることー生成AIの衝撃 同じようなことが、私たちの身の廻りでおこっている。ネットによる情報収集が主流となった現代社会に、生成AIという情報編集ツールが登場した。1995年のインターネットに並ぶ情報革命をおこす技術開発となり、学びや仕事の方法を大きく変

    • 大変なことが見えないなかで進んでいる

      真ん中がなくなる ハイかイイエ、イエスかノーか、AかBかの二者択一が増えた。AでもありBでもある、AでもないBでもない、そんなモノ・コト・場が減った。それは目に見えないから、その存在を知っている人は、それがなくなったことが分かる。しかしそれを知らない・体験したことのない人は、その存在に気がつかない。なぜそれがそうなったかという背景を知らない人は、その意味すら分からなく、それはいつかみんなの記憶から消える 途中がなくなる AからBに、家からスーパーが直接つながったことで、途中

      • 主語が違う・発想の順番が違うー発想のメカニズム(下)

        まちから入ったのではなく、そのまちで働いてもらいたい人と家族が5年間そのまちで生きる生活のシーンから発想した―オーストラリアのメルボルンは「世界で住みたいまち」ランキングの上位の常連である。メルボルン市の都市計画マネジャーに、「世界で住みたいまちになる秘訣は?」と訊ねた とメルボルン市の都市計画マネジャー。世界からメルボルン市で、海外から世界企業に勤める人と家族が、5年間のウェルビーイング(佳く生きる)な時空間をすごせるメルボルンスタイルをデザインして、それが実現できる都市

        • いつまで寝ているの?ニッポンー発想の転換の最終段階(上)

          日本の偏差値が下がっている 世界の様々な分野・指標で、日本の位置づけがさがっている、日本の世界ランキングが落ちているとの情報に接することが増えた。その情報に接して、ホンマか・そうなんやと嘆き・落ち込む人、ウソや・そんなことは無いわと反発する人・発憤する人、いろいろな反応がある ラグビーのワールドカップが終わった アルゼンチンや南アフリカやアイルランドやニュージーランドが強いのは分かる ただヨーロッパのチームで フランスやイングランドのような常連国でない国がラグビー強豪国と

        生成AI時代を生き残る学びと仕事法とは

        人気の記事

        人気の記事をすべて見る すべて見る

        日本がダメになったたったひとつの理由「引退しないニッポン」(上)

        (旅立つ)退職の翌朝―コロナの真実(上)

        (予告篇)「社会文化研究家」池永の観る現代日本は?

        日本の失敗の構造—なぜ撤退できないのか

        マガジン

        マガジンをすべて見る すべて見る
        • 日経COMEMO
          日経COMEMO公式 他

        記事

        記事をすべて見る すべて見る

          有事が変ったーこの12年の最大の変化

          阪神タイガースが38年ぶりに優勝した。今年の3月、プロ野球開幕前に、タイガースが優勝することを予想した評論家はそれなりにいたが、まさか本当にタイガースが優勝すると、どれだけの人が思っていただろうか? 28年前、阪神・淡路大震災を大阪で経験した 12年前、東日本大震災を東京で経験した 5年前、大阪北部地震を大阪で経験した 前回の阪神タイガースの優勝から今年の優勝までの38年の間に、3度の大地震に、私は経験した 有事は有事で もしもはもしもで 起こるかもしれないし 起こらな

          有事が変ったーこの12年の最大の変化

          これからを生き抜くチカラーこれから会社はどうなる?あなたはどうなる?(下)

          小学校の運動会の風景。みんなで手をつないで走って、全員一位でゴールという徒競走もあったが、実際の社会はそうではない。よーいドンで走り出し、ゴールで1位2位3位と順位がつく。勝つ子がいれば、負ける子が必ずいる。一位になった子に会場からの拍手とともに、一位から遠く遅れて一所懸命に走る最下位の子に拍手が沸き起こる 勝つことが大事なのか 一所懸命に走るのが大事なのか 勝つことは素晴らしい。オリンピックもそう、勝てば国中が盛りあがる。しかし勝つか負けるかの二者択一の価値基準では、正

          これからを生き抜くチカラーこれから会社はどうなる?あなたはどうなる?(下)

          あなたの給料は高いか安いか?ーこれから会社はどうなる?あなたはどうする?(中)

          年功序列が終わりかけている 年功序列が崩壊するということは、どういうことか? ある会社に入社して10年間勤めたその人を 会社が10年社員として価値がある と評価されなくなるということ その人の実力を、その段階その段階で、棚卸しをして、それに見合った賃金が決められる時代になろうとしている 年功序列の崩壊とは、年功賃金の崩壊でもある 年功賃金の崩壊とは、なに? 長く勤めた会社を辞めたら、よくわかる 再就職すると、自分の賃金の低下に驚く 会社に長くいると気づかないが 外に出

          あなたの給料は高いか安いか?ーこれから会社はどうなる?あなたはどうする?(中)

          なにかが終わりかけているー これから会社はどうなる?あなたはどうする?(上)

          そこには、平安時代の奈良と京都、大阪・滋賀・和歌山があった。1200年前の空気が漂っていた 先月逝去した父の供養にと、唐での修行後に、帰国後、第三代天台座主となった慈覚大師円仁が仏教をみちのくで広めるために開いた山寺立石寺、平泉中尊寺と毛越寺、松島瑞巌寺を巡った。 その道を、330年前に芭蕉も歩いた 江戸時代の元禄2年(1689)の 松尾芭蕉の奥の細道は、この四寺を巡った 山寺の千段の道を歩いて 芭蕉が古寺を訪ねて 「閑さや 岩にしみ入る蝉の声」 に込めた想いや空気が

          なにかが終わりかけているー これから会社はどうなる?あなたはどうする?(上)

          質問に答えられない人が増えた。なぜ?

          琵琶湖の西の桂浜に、彼岸花が群生する。毎年、この風景を撮りに行くのが好きだった父が、今年は一緒に湖畔に行けない。しかし彼岸から此岸の彼岸花を観に来ているだろうか 9月に急逝した父に事後手続きのため 諸所に連絡をとっているが 気になることがある ご愁傷様です お悔み申しあげます という言葉がなく 淡々と事務的に 手続きが始まることが意外に多い とりわけ若い人が窓口に出てきたときに その傾向が多い ご愁傷様です お悔み申しあげます が、日常から減った 死が身近でなくな

          質問に答えられない人が増えた。なぜ?

          あなたはどの人?―過去を語る人・未来を語る人・現在を語る人

          人は誰かと話をするとき、3人に分かれる 過去のことばかりを懐かしく語る人、この人は多い 未来のことばかり夢見て語る人、この人たちも多い 現在を語る人。この人たちは意外に少ない 人は過去を美化する 人は未来を夢見る しかしライフは現在しかおこらない   企業経営者は未来を語りがち。これからよくなる、これからなんとかなると、未来ばかりを語る人が多い   それは、なぜ?   現場・現物・現実がぼろぼろで、現在から目を背ける。だから未来ばかり語る。しまいに現在が見えなく、分からなく

          あなたはどの人?―過去を語る人・未来を語る人・現在を語る人

          怪しからん日本の行方④(最終回) 

          目に見えることと、目に見えないこと。仕事をしていても暮らしていても、様々な問題がおこる。ひとつの問題を解決したら、また新たな問題が現れる。問題解決したら、また問題がでてくる。それはなぜ?その問題を引き起こしている原因(課題)が解決できていないから。怪しからん日本の課題はなに?  1   問題と課題が見分けないと、ビジネスはまわらない ビジネスは、問題対応業ともいえる。常に問題がある。問題がおこる。だからビジネスの現場で、いつも問いかける 今、目の前で起こっていることは

          怪しからん日本の行方④(最終回) 

          いつからあなたは日本人の代表になったの?ーけしからん日本③

          ジョージアの駐日大使が、「日本の電車の優先座席が空いていたので座って、本を読ながら、ゆらゆら都心に進みます」と動画をSNSにあげた。その投稿に圧倒的な量のいいね!がついたのと裏腹に、「優先席に、どうして座っているの?」「優先席は空けとかなきゃいけない。優先席には座ってはいけない」と日本人の怪(け)しからん批判もあった 1「許せない」もいう怪しからん日本人 「そこに座るのは、怪しからん」という感覚は、日本に来られる中国人に対して向けられる批判と同質ではないか? 「中国人は

          いつからあなたは日本人の代表になったの?ーけしからん日本③

          「我慢するのは間違い」という現代日本の空気—怪しからん②

          身の回りには、自分の価値観にあわないから、それは、その人は怪(け)しからんという発信が溢れている。ネット、X(Twitter)での批判の99%は、怪しからんのレベル。建設的批判ではない個人攻撃・弱い者いじめが多い 言われっぱなし、叩かれっぱなしの構造が増えた。言ったもの勝ち、言われたもの負けのような空気になりつつある。日々の個人的な怪しからん発信の横行が、社会に過度な緊張を強いている 1 怪しからんの応酬 怪しからんの発火点が低くなった。怪しからんのレベルが低級となった

          「我慢するのは間違い」という現代日本の空気—怪しからん②

          怪しからんー現代日本の空気①

          スーパーのレジで、突然キレて店員さんを、怪(け)しからん、態度が悪いと詰る人。電車の優先座席に座る妊婦さんに、若いのにシルバーシートに座るのは怪しからん、立てと叫ぶ人。レストランで、注文した料理が後で注文した人の方が先に出たとキレて、怪しからん、こっちが先やと怒鳴る人 怪(け)からんが社会に蔓延している。現代日本社会の空気を支配している感情スイッチは「怪しからん」。物事の判断基準が怪しからんとなった。なんでもかんでも、怪しからん なんでも怪しからんのなかで、大切なことがあ

          怪しからんー現代日本の空気①

          軍艦島から人がいなくなったのはなぜ?—未来に向けた「時間」を奪わない

          突然、「市場」がなくなることがある。産業革命前、主力輸送機関であった駅馬車会社は、いかに早く、いかに多く、人を、モノを運べるかばかり考える経営をおこなっていたため、新たに生まれた機関車や自動車の存在に気づかず、お客さまを奪われて衰退した。自らの事業を『輸送事業者』と定義していたとしたら、時代を大きく変えることができたかもしれない 1 企業は時代適応業 長崎の軍艦島は現在観光地となったが、近代日本の産業の躍進を支えた石炭採掘場であり、高収入が得られる仕事場だった。石炭は奈良

          軍艦島から人がいなくなったのはなぜ?—未来に向けた「時間」を奪わない

          それはしょうがないという世界観ー日本の現在地

          昔、時間はゆっくりと流れ、のんびり暮らしていた。現代日本人は時間に正確で、厳しい時間規律の国民だというが、昔の日本人はそうではなかった 江戸時代までの時は、日の出と日没を基準に1日を12等分した12刻で生活していた。しかも日の出や日の入り時刻は季節によって変化するので、季節によって時間が変わるという時間感覚で生きていた。太陽とともに起き、陽が沈んだら仕事を終えて、食事をして寝るという生活リズムだった 明治維新を契機に始まった鉄道事業と郵便事業を契機に、日本人は大きく時生活

          それはしょうがないという世界観ー日本の現在地