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写真に関するもろもろ

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写真について語っているもの、写真家について語っているもの、写真の充実した記事、写真展の記事など
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#絵画

【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【約4,400文字、写真約30枚】
東京都美術館で「デ・キリコ展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶世界中から集められたデ・キリコの作品110点をイッキに見ることで、作品や生涯の変遷が分かる、❸楽しい絵が多いことに加え、会場内が凝った造りになっているため、美術館に普段行かない人にもおすすめ、❹値段が2,200円と若干高め。9/14(土)から神戸市立博物館で巡回す

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【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

会期:2024年4月20日 (土) 〜 6月23日 (日)

・初代 宮川 香山

初代宮川香山作品がキービジュアルを飾る。
初代宮川香山といえばやはりこれが思い浮かぶ。↓

これは以前のトーハクでの展示だが、本当にそこに生きているかのような徹底的な細密表現の技術力にため息が出る。
蟹がほぼ実物大ということもあってリアリティが凄いのだが、蟹を取っ払った器を単体で見ても釉薬の色やかかり具合、歪んだ形

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【展覧会レポ】皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび ー受け継ぐ美ー 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」

【展覧会レポ】皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび ー受け継ぐ美ー 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」

【約3,800文字、写真約55枚】
皇居三の丸尚蔵館に初めて行き「皇室のみやび ―受け継ぐ美― 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶日時指定予約制のため絶対事前web予約が必要!、❷作品数はコンパクト(14)ながら、国宝を3つを含み、どれもめっちゃ「みやび」でありがたさを感じる展覧会、❸皇居に入る良い機会にもなりました。

▶︎訪問の

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新時代の日本画を見定めるのは可能か

新時代の日本画を見定めるのは可能か

上野の森美術館(東京・上野)で6月4日まで開催中の「第9回 東山魁夷記念 日経日本画大賞」展。選考結果を、大変興味深く受け止めた。

ともすれば保守的になりかねない日本画の表現を、若い作家たちはどう切り開いているのかを知りたい。はたして新時代の日本画を見定めるのは可能か。そんな期待を持って、3年に一度、作家・作品の顕彰を続けているこの展覧会に出かけた。

大賞を受賞した村山春菜は日展に所属する。日

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【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【約5,400文字、写真約60枚】
練馬区立美術館で開催されている「三島喜美代―未来への記憶」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿であなたに伝えたい点】
❶大満足の展覧会、❷作品だけでなく、三島喜美代自身の魅力が十分に伝わる内容だった、❸作品や考え方の変遷が分かりやすく、キャッチーな作品が面白いことに加え、メッセージ性もはっきりと伝わった、❹大人も子供も、アートに興味がある人も薄い人

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【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【約6,900文字、写真約60枚】
実体験を基に「青森県の4つの美術館を」「東京から一泊二日」「電車・バスで周った」「一人旅」について、具体的なルート、食べたものとともに、感想などを書きます。

結論から言うと、青森の主要美術館は素晴らしいものばかり!美術館メインで旅行を組む価値は十分にあります。なお、車を使わない場合、2日で5つの美術館は周り切れず、4つが限界でした。注意点は、青森は都内と違い、

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展覧会と図録、メモとカメラ

展覧会と図録、メモとカメラ

美術館で良いなぁと思った作品はカメラでよく撮っていた。もちろん撮影禁止の場合を除いて。

そして展覧会では図録も置いている。パラパラとめくってみる。ふと気がついた。何か違う。
直前に作品そのものを見ていたから尚更かもしれない。記憶の中の作品と図録では、色が違う。
当たり前と言えば当たり前かもしれない。そして、面白いことに、図録の色合いの方が良い(好み)場合もあったりした。

それからは作品を撮るこ

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展覧会レポ:青森県立美術館「AOMORI GOKAN アートフェス2024 前期 コレクション展」ほか

展覧会レポ:青森県立美術館「AOMORI GOKAN アートフェス2024 前期 コレクション展」ほか

【約5,200文字、写真約60枚】
青森県の美術館巡りの一環で、青森県立美術館「AOMORI GOKAN アートフェス2024 前期 コレクション展」に行きました。その感想を書きます。

結論から言うと、青森県民もそうでない人も、是非とも行くべき美術館だと思いました。それは主に、1)大自然と共生するハイセンスな建築、2)シャガールの巨大すぎる作品を設置した「アレコホール」が圧巻、3)充実した奈良美

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福田平八郎さん 没後50年展覧会 大阪中之島美術館  対象を引き出す色彩と表現

福田平八郎さん 没後50年展覧会 大阪中之島美術館 対象を引き出す色彩と表現

帰郷の際のnote第三弾(?)。
今回の帰郷で楽しみにしていたミッションの最後、福田平八郎さんの展覧会をお目当てに大阪中之島美術館を訪れました。アート作品に無知な私でも知っている漣(さざなみ)。タイトル写真の通りキービジュアルにもなっている作品。京都の方であったにも関わらず他の作品を存じ上げず、どのような作品を描かれているのかを知りたく、楽しみにしていました。
ところが、その漣が作品保護の為に4月

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麻布台ヒルズレポ:おしゃれの暴力!日本一高い展望台はマスト

麻布台ヒルズレポ:おしゃれの暴力!日本一高い展望台はマスト

【約3,200文字、写真約25枚】
2023年11月にオープンした「麻布台ヒルズ」に行きました。展望台やアートの観点から、その感想(+森ビルについて)を書きます。

結論から言うと、一度は訪れるべき複合施設だと思いました。1)ビルとして日本一高い展望台は景色も良い上に無料!、2)建物や内装デザインが暴力的におしゃれ過ぎる、3)パブリックアートや常設の展覧会(値段は高い)が複数あるためです。観光客に

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展覧会レポ:横浜美術館ほか「横浜トリエンナーレ<野草:いま、ここで⽣きてる>」

展覧会レポ:横浜美術館ほか「横浜トリエンナーレ<野草:いま、ここで⽣きてる>」

【約4,400文字、写真約50枚】
3年毎に楽しみにしている横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」に行きました。その感想を書きます。

結論から言うと、私の期待と真逆のキュレーションだったため、感想は「がっかり」でした。1)コロナ明け、2)約3年ぶりの横浜美術館リニューアル、3)横浜トリエンナーレはいつも楽しいため、期待していました。しかし、今回は政治的なメッセージが強かったり、怖い作品

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展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

【約4,900文字、写真約55枚】
アーティゾン美術館で開催中の「ブランクーシ 本質を象る」と「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 清水多嘉示」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、行く価値は大いにあると思いました。それは主に、1)ブランクーシの作品約90点を集めた日本初の個展、2)ブランクーシの変遷や考えが体系的に分かる、3)展示方法が面白かった(一部、課題あり)ことによ

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【横尾さんの写実】ワーイ!★Y字路 横尾忠則現代美術館

【横尾さんの写実】ワーイ!★Y字路 横尾忠則現代美術館

横尾忠則氏の暗夜光路、Y字路シリーズが大好きである。

2001年頃、リアルタイムで横尾さん新作として「原美術館・暗夜光路 展」で見て以来、この絵画にグッと惹きこまれた。

原美術館での貴重な展示作業風景がweb上に残っている↓

ちょうどその頃通っていた学校にも特別客員教授として講演しに来てくれたり(後述)、バリバリ現役画家として筆を走らせていた頃だろう。
そこから20年以上経っても、やっぱりバ

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展覧会レポ:DIC川村記念美術館「今見られるコレクション」「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」

展覧会レポ:DIC川村記念美術館「今見られるコレクション」「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」

【約5,500文字、写真約40枚】
初めて、DIC川村記念美術館(以下、DIC美術館)に行き「今見られるコレクション」と「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、大満足の美術館でした。これは主に、1)大自然に囲まれた環境、2)作品の良さを何倍にも引き出す贅沢な展示室とキュレーション、3)素晴らしいコレクションのクオリティによります。なお、アクセス

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