記事一覧
【材料】紫草(日本ムラサキ)
紫根(紫草の根)の深紫
先日、日本民藝館で岩手県鹿角の紫根の絞り染(明治期)を目にしました。紫草の根から抽出された濃い紫色の美しさに、大変衝撃を受けたのを記憶しています。色彩が氾濫する現代においてもなお、自然から取り出された色彩は別格のオーラを放ち、私たちを惹きつけます。
冠位十二階の最高位の色であったように、古くから紫は貴重な色でした。粉砕して紫の顔料となる鉱物は、あまり手に入らなかったよ
【Event】大徳寺聚光院 国宝障壁画、5年半ぶりの特別公開
大徳寺聚光院 国宝障壁画
日本絵画史の最高峰、大徳寺聚光院 国宝障壁画(狩野永徳・松栄)が、京都国立博物館から里帰りし、9月3日~来年3月26日まで特別公開となります。すでに拝観予約がはじまっています。これは見逃せません!
智積院 国宝障壁画
同じく日本絵画史の最高峰、智積院 国宝障壁画(長谷川等伯・久蔵)は、まもなくガラスケース無しで間近で見ることが叶わなくなります。今年の11月16
【Event】文化財保存修復を目指す人のための実践コース「文化財のレッドリスト」
令和4年度「文化財保存修復を目指す人のための実践コース」の申込みがはじまりました。
今年度は「文化財のレッドリスト」をテーマとして、原料不足や後継者問題などを抱えて存続の危機に瀕している修復材料を取り上げます。修復技術者からの視点のみならず、原料生産の現場への取材を通して現状を直視し、我々の社会が将来も文化財と共にあるために「もの」「人」「技術」を未来へ伝える方法論を探る契機としてもらうことを
【Event】6月の展示・イベント ―文化財保存・東洋文化関連―
6月は、文化財保存、東洋文化関連のイベントが目白押しです。
無事に熊本での現地開催となった文化財保存修復学会第44回大会、待望の芳泉文化財団10周年記念特別展、古梅園秘蔵の貴重な古墨・歴史資料展示「膠 玄(くろ)と色」、リニューアルした佐賀県立九州陶磁文化館の繭山浩司氏による古陶磁復元の特別展、日本文化資産支援機構の古典的膠(大和五條鹿皮膠)展示・販売、小津和紙での王朝継ぎ紙研究会の合同作品展
【技法】杉本欣也先生「『筆墨』―東洋絵画の見どころ―」
東北大学准教授の杉本欣也先生(日本近世絵画史)による、見逃し厳禁の「筆墨」解説回です。その他の動画も必見です!
YouTube「杉本欣也」
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【材料】虫から抽出する赤 コチニールカイガラムシ
今回は、虫由来の赤色染料 コチニールです。顔料化したものは、日本画絵具店で販売されています。コチニールは近年価格が高騰しています。中南米にあるコチニール産地からの船便が現在滞っており、国内の在庫を消耗しつつあることがその背景にあると思われます。
日本画の材料は、遠く海外の資源、生産者に依存しているものも少なくありません。こうしたものの安定的な確保は、国内以上に難しい課題です。
コチニールは、
【保存修理】正倉院事務所 西川明彦前所長
宮内庁正倉院事務所で34年間にわたって宝物の保存管理に努め、今年3月に所長を退任された西川明彦氏へのインタビューをまとめました。1300年伝わる宝物を守る重責を担った西川氏の言葉は、大変重みがあります。
インタビュー映像① 第1回「宝物を守り伝える」
インタビュー映像② 第2回「〈天皇の倉〉正倉院正倉」
インタビュー映像③ 第3回「保存と公開」
インタビュー記事①「人の思いが伝えた130
【保存修理】古陶磁修復 繭山浩司氏
美術古陶磁復元の「繭山晴観堂」2代目繭山浩司氏、3代目繭山悠氏にNHKが密着
「神はその手に宿る 復元師 繭山浩司」
“ゴッドハンド”の異名をとる男がいる。やきものの修復師・繭山浩司。その技を育てたのは戦後の口外できぬ仕事の数々。極秘に古美術商から預かった破損品を、どんなに目を凝らしても傷跡がわからないまでに修復してしまう。今回託されたのは、“無傷なら国宝級”とされる青磁の花入、そして割れてし もっとみる
【技法・材料】重要無形文化財保持者 前田昭博氏、十四代今泉今右衛門氏のお話を聞いて
5月8日、石川県立美術館にて、「白磁」の重要無形文化財保持者 前田昭博氏、「色絵磁器」の重要無形文化財保持者 十四代今泉今右衛門氏による講演がありました。聞き手は、国立工芸館長 唐澤昌宏氏です。(全国・いしかわの工芸講演会 特別対談「伝統陶芸の未来」)
高校生の時に出光美術館や戸栗美術館で鑑賞して以来、私は鍋島焼、とくに最盛期の色鍋島が大好きです。今回の講演は、またとない機会であり、何日も前
【材料】墨 膠文化研究会公開研究会「膠 玄と色」
前回のnoteで文房四宝(筆墨硯紙)のうち「筆」について取り上げましたので、今回は「墨」についてです。と紹介したいところですが、墨の世界は非常に奥が深く、その全貌が私には把握できていません。
墨に関する幾多の説には、人々の願望が生んだ実証に基づかない俗説の類いも含まれ、未だに多くの人々を惑わせているといいます。きっと私も、まだまだ知らないことだらけなのだと思います。
墨は、煤と膠を主原料に