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【材料】藤黄 ガンボージ

 藤黄は、インドや東南アジアから中国を経由して輸入している海外産の黄色顔料です。竹筒に海藤樹の樹脂を流して固めた筆管藤黄は、濁りのない鮮やかな発色で大変美しいです。正倉院文書に「同黄」として登場する古典的な色材ですが、現代では使用されることが少なくなってきています。

筆管藤黄

 古人は、この藤黄を藍と混ぜて草汁(草緑)をつくり、みずみずしい植物の葉の色を表現してきました。藍と藤黄の分量によって多くの色相をつくりだすことができますし、そこにさらに墨を加えるとまさに無限の緑がつくりだせます。緑青の上から、草汁をかける場合もあったようです。群青に藤黄をかけると、これまた魅力的な緑になります。
 古代は色材が少なく、さぞ不便だったろうと私たちは思いがちですが、古人は色を重ねたり、掛け合わせたりして現代以上に多彩豊富で、奥深い色彩を創造していたのです。
 古代から受け継がれてきた古典的色材の1つが「藤黄」です。これからも大切に使い、未来に守り伝えていきたい色です。

藤黄の使い方


南宋李唐「紅白芙蓉図」藤黄の使用例


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