Knight@中小企業診断士

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中小企業診断士。ビジネスニュースや書籍から学んだことをファクトベースでまとめます。Twitterでも情報を発信しています。【 https://twitter.com/this_knight

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記事一覧

【ESG】いまさら聞けない人的資本の話

※ESGを理解する上で重要な人的資本について、分かりやすくまとめます。 経営の神様・松下幸之助はかつて「事業は人なり」と語ったとされます。そこには、企業を発展させ…

【ESG】ライバル関係の花王とライオンが協業するある領域とは?

2020年9月、花王とライオンがプラスチック問題の解決に向け協業することを発表しました。ライバル企業がタッグを組む異例の展開で、多くの関係者を驚かせました。 という…

大量の新製品を開発し続けるエレコムの常識破りの経営戦略とは?

世間一般には広く知られていないけれど、実は優れた業績を上げている企業は少なくありません。そうした高業績企業の裏には、必ず優れた経営戦略があります。 今回は、経営…

【1分解説】スキルマトリックスとは?なぜ重要なのか?

※1分間に読める600文字以内で思考整理。 スキルマトリックスという言葉をご存じでしょうか。ヒトコトで言えば、企業の経営陣が持つスキルを一覧表にしたものです。最近で…

なぜZARAは年間2,000本ものジャンボ機をチャーターするのか?

インディテックスというスペイン企業をご存じでしょうか。もしかしたら、社名よりもファッションブランドの「ZARA」の方が有名かもしれません。2021年現在、同社は売上世界…

北の達人コーポレーションがフツーの企業の5倍も儲かっている理由

知る人ぞ知る高収益企業「北の達人コーポレーション」をご存じでしょうか。北海道札幌市に本社を置き、オリジナル商品の健康美容商品などを販売する「Eコマース事業」を行…

「ミニストップパートナーシップ契約」は新しいコンビニの形?

2021年9月からミニストップの契約形態が刷新されます。ミニストップでは、これを「フランチャイズ契約」から「ミニストップパートナーシップ契約」へ、と表現しています。 …

ANAとJALの経営統合論の背景にある2つの理由

「ANAとJALを統合すべきではないか」 コロナ禍で人の移動が大幅に制限される中、航空会社が大きな打撃を受けています。AHAホールディングスとJALの業績は低迷しています。…

年間1億円?株式上場の維持コストはどのぐらい必要なのかを整理してみた

2022年の4月に東証の市場区分変更(市場再編)が予定されています。新設されるプライム市場には現在より高い水準のガバナンスが求められる予定で、上場維持コストは高まる…

日本は親子上場大国?親子上場の利益相反という問題を3ポイントで整理

日本は世界でも例外的に親子上場が多い国です。 経済産業省の資料によれば、上場企業全体の6.1%をいわゆる親子上場が占めています。アメリカはわずか0.5%、イギリスに至っ…

東証の市場区分変更(市場再編)を3つのポイントでざっくり理解する

2022年の4月に東証の市場区分再編が予定されています。再編まで残り1年弱となり、最近ではプライム市場やスタンダード市場といった言葉をニュースで目にする機会も多くな…

テスラは大赤字でも全然平気なのに、なぜ黒字倒産が起こるのか?

黒字倒産という言葉があります。損益計算書上は黒字が出ているにもかかわらず倒産してしまうケースを指しています。東京商工リサーチの調査は、2019年に倒産した企業の約半…

電通が本社ビルを売却したい理由とは?

電通が東京・港区の本社ビル売却を検討しています。もともとは報道機関によるスクープという形でした。しかし電通サイドも「本社ビルの売却について検討していることは事実…

使える財務指標#4 佐川急便とヤマトで学ぶ「営業利益率」の使い方

「脱・丸暗記」の財務指標シリーズ4回目は「営業利益率」を取り上げます。企業の収益性を測るこの指標は、報道等でも頻繁に登場します。 なぜ「脱・丸暗記」か?企業を分…

使える財務指標#3 マツキヨとコスモス薬品で学ぶ「販管費率」の使い方

使える財務指標シリーズ第三弾は「売上高販管費率」を取り上げます。一般的には省略して「販管費率」とも呼ばれますので、ここでは販管費率と表記していきます。「脱・丸暗…

なぜ企業が成熟すると、悪いニュースが届かなくなるのか?

以前のnoteでノキアの復活物語を取り上げました。ガラケー時代の覇者で「フィンランドの奇跡」とも呼ばれたノキアは、スマホシフトの波に飲み込まれ一時は倒産の危機に直面…

【ESG】いまさら聞けない人的資本の話

【ESG】いまさら聞けない人的資本の話

※ESGを理解する上で重要な人的資本について、分かりやすくまとめます。

経営の神様・松下幸之助はかつて「事業は人なり」と語ったとされます。そこには、企業を発展させるのは、技術でも製品でもなく人であるというメッセージが内包され、人的資本の重要性が示されています。

松下幸之助が経営の第一線を退いてから50年あまり、2021年は日本企業にとって人材マネジメントを見つめなおすターニングポイントの一年に

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【ESG】ライバル関係の花王とライオンが協業するある領域とは?

【ESG】ライバル関係の花王とライオンが協業するある領域とは?

2020年9月、花王とライオンがプラスチック問題の解決に向け協業することを発表しました。ライバル企業がタッグを組む異例の展開で、多くの関係者を驚かせました。

というのも、花王とライオンは、ともに日本を代表する消費財メーカーであり、洗濯洗剤市場における「花王 アタック」vs「ライオン トップ」を筆頭に、さまざまな製品で競争を続けてきたからです。

「競争から共創へ」ともいうべき協業の背景には何があ

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大量の新製品を開発し続けるエレコムの常識破りの経営戦略とは?

大量の新製品を開発し続けるエレコムの常識破りの経営戦略とは?

世間一般には広く知られていないけれど、実は優れた業績を上げている企業は少なくありません。そうした高業績企業の裏には、必ず優れた経営戦略があります。

今回は、経営戦略の観点から、PC・スマホ周辺機器市場で高収益を持続的に実現しているエレコム株式会社を取り上げます。

エレコムの高収益体質エレコムは、PCやスマートフォン関連の製品、アクセサリを販売するメーカーです。エレコムといえばマウスやキーボード

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【1分解説】スキルマトリックスとは?なぜ重要なのか?

【1分解説】スキルマトリックスとは?なぜ重要なのか?

※1分間に読める600文字以内で思考整理。

スキルマトリックスという言葉をご存じでしょうか。ヒトコトで言えば、企業の経営陣が持つスキルを一覧表にしたものです。最近では、コーポレートガバナンスの文脈で注目されています。

2021年3月末に公表されたコーポレートガバナンスコード改定案にはスキルマトリックスの文言が盛り込まれました。今回は、そんなスキルマトリックスについてまとめます。

そもそもスキ

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なぜZARAは年間2,000本ものジャンボ機をチャーターするのか?

なぜZARAは年間2,000本ものジャンボ機をチャーターするのか?

インディテックスというスペイン企業をご存じでしょうか。もしかしたら、社名よりもファッションブランドの「ZARA」の方が有名かもしれません。2021年現在、同社は売上世界一のアパレルメーカーです。

アパレル業界では、最近ユニクロ(ファーストリテイリング)の時価総額がZARA(インディテックス)を上回ったことが話題になりました。けれど、売上高では依然としてZARAが世界一(約3.5兆円)をキープして

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北の達人コーポレーションがフツーの企業の5倍も儲かっている理由

北の達人コーポレーションがフツーの企業の5倍も儲かっている理由

知る人ぞ知る高収益企業「北の達人コーポレーション」をご存じでしょうか。北海道札幌市に本社を置き、オリジナル商品の健康美容商品などを販売する「Eコマース事業」を行っている企業です。

最近のニュースとしては、札幌のラジオ局エフエムノースウェーブを子会社化したことが話題になりました。音声メディアが拡大する中、デジタル音声広告の攻略に取り組むことが狙いです。

今回は北の達人コーポレーションの特徴をざっ

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「ミニストップパートナーシップ契約」は新しいコンビニの形?

「ミニストップパートナーシップ契約」は新しいコンビニの形?

2021年9月からミニストップの契約形態が刷新されます。ミニストップでは、これを「フランチャイズ契約」から「ミニストップパートナーシップ契約」へ、と表現しています。

今回は、現在コンビニのフランチャイズ契約で主流となっている粗利益分配方式と、ミニストップが目指す事業利益分配方式について整理します。

そもそものコンビニ本部と加盟店の関係は?コンビニのフランチャイズ契約は「粗利益分配方式」が主流で

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ANAとJALの経営統合論の背景にある2つの理由

ANAとJALの経営統合論の背景にある2つの理由

「ANAとJALを統合すべきではないか」

コロナ禍で人の移動が大幅に制限される中、航空会社が大きな打撃を受けています。AHAホールディングスとJALの業績は低迷しています。2020年4~12月期の営業損失は両社ともに赤字に転落しています。

新型コロナウイルス禍による航空需要の低迷を受け、航空大手2社の業績が低迷している。ANAホールディングスの2020年4~12月期の連結営業損益は3500億円

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年間1億円?株式上場の維持コストはどのぐらい必要なのかを整理してみた

年間1億円?株式上場の維持コストはどのぐらい必要なのかを整理してみた

2022年の4月に東証の市場区分変更(市場再編)が予定されています。新設されるプライム市場には現在より高い水準のガバナンスが求められる予定で、上場維持コストは高まることが予想されます。

けれど、そもそも上場維持コストとは何なのでしょうか。また、実際にはどのくらいのコストが発生しているのか、なかなか実態が掴めない印象があるのではないでしょうか。

今回は、そのあたりを3つのポイントに整理してお伝え

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日本は親子上場大国?親子上場の利益相反という問題を3ポイントで整理

日本は親子上場大国?親子上場の利益相反という問題を3ポイントで整理

日本は世界でも例外的に親子上場が多い国です。

経済産業省の資料によれば、上場企業全体の6.1%をいわゆる親子上場が占めています。アメリカはわずか0.5%、イギリスに至ってはゼロですから、日本の親子上場大国っぷりが良く分かります。

しかし、親子上場はその構造上「利益相反」という問題を抱えています。今回はソフトバンクグループ(親会社)とソフトバンク(子会社)に代表される親子上場の問題点を整理します

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東証の市場区分変更(市場再編)を3つのポイントでざっくり理解する

東証の市場区分変更(市場再編)を3つのポイントでざっくり理解する

2022年の4月に東証の市場区分再編が予定されています。再編まで残り1年弱となり、最近ではプライム市場やスタンダード市場といった言葉をニュースで目にする機会も多くなってきました。

しかし、東証の再編は論点も非常に多く、なかなか全容を把握することは難しく感じます。そこで今回は、東証の市場再編について3つのポイントに整理してお伝えします。詳細にはあえて踏み込まず、ざっくり理解するのが目標です。

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テスラは大赤字でも全然平気なのに、なぜ黒字倒産が起こるのか?

テスラは大赤字でも全然平気なのに、なぜ黒字倒産が起こるのか?

黒字倒産という言葉があります。損益計算書上は黒字が出ているにもかかわらず倒産してしまうケースを指しています。東京商工リサーチの調査は、2019年に倒産した企業の約半分が黒字倒産だったことを明かしています。

最新期での赤字企業率(当期純損失の企業対象)は、倒産企業545社では52.8%(288社)と過半数を超えた。

一見すると矛盾する「黒字」と「倒産」という言葉。黒字倒産のメカニズムを理解するに

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電通が本社ビルを売却したい理由とは?

電通が本社ビルを売却したい理由とは?

電通が東京・港区の本社ビル売却を検討しています。もともとは報道機関によるスクープという形でした。しかし電通サイドも「本社ビルの売却について検討していることは事実」とリリースで追認しました。

当社は、2020年8月から“包括的な事業オペレーションと資本効率に関する見直し”および“事業トランスフォーメーション加速のための施策”に着手しており、その一環として、「電通本社ビル」の売却についても検討してい

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使える財務指標#4 佐川急便とヤマトで学ぶ「営業利益率」の使い方

使える財務指標#4 佐川急便とヤマトで学ぶ「営業利益率」の使い方

「脱・丸暗記」の財務指標シリーズ4回目は「営業利益率」を取り上げます。企業の収益性を測るこの指標は、報道等でも頻繁に登場します。

なぜ「脱・丸暗記」か?企業を分析するとき、どの財務指標を使うのが適切なのかは、なかなか悩ましく、簡単には答えが出ません。けれど、適切なモノサシを選ぶことができなければ、企業の実態を理解することはできません。

世の中には数多の財務指標が溢れかえっています。資格試験や社

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使える財務指標#3 マツキヨとコスモス薬品で学ぶ「販管費率」の使い方

使える財務指標#3 マツキヨとコスモス薬品で学ぶ「販管費率」の使い方

使える財務指標シリーズ第三弾は「売上高販管費率」を取り上げます。一般的には省略して「販管費率」とも呼ばれますので、ここでは販管費率と表記していきます。「脱・丸暗記」をキーワードに財務指標を使えるようにするのが目標です。

なぜ「脱・丸暗記」か?企業を分析するとき、どの財務指標を使うのが適切なのかは、なかなか悩ましく、簡単には答えが出ません。けれど、適切なモノサシを選ぶことができなければ、企業の実態

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なぜ企業が成熟すると、悪いニュースが届かなくなるのか?

以前のnoteでノキアの復活物語を取り上げました。ガラケー時代の覇者で「フィンランドの奇跡」とも呼ばれたノキアは、スマホシフトの波に飲み込まれ一時は倒産の危機に直面しました。

そんなノキアはリスト・シラスマ氏のリーダーシップのもと、本業である携帯電話事業の売却という荒療治によって復活していきました。そのあたりは、シラスマ氏の著書に記されています。

今回はその書籍から、いわゆる大企業病について取

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