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ANAとJALの経営統合論の背景にある2つの理由

「ANAとJALを統合すべきではないか」

コロナ禍で人の移動が大幅に制限される中、航空会社が大きな打撃を受けています。AHAホールディングスとJALの業績は低迷しています。2020年4~12月期の営業損失は両社ともに赤字に転落しています。

新型コロナウイルス禍による航空需要の低迷を受け、航空大手2社の業績が低迷している。ANAホールディングスの2020年4~12月期の連結営業損益は3500億円前後の赤字(前年同期は1196億円の黒字)のもよう。日本航空(JAL)は3000億円前後の営業赤字(同1201億円の黒字)となったようだ。

そんな中、菅政権のブレーンでもある竹中平蔵氏は「ANA・JAL統合論」を唱えています。今回はその統合論の背景を2つのポイントに整理します。

1.キャッシュの流出が止まらない

一つ目の理由は、キャッシュの流出が止まらないことです。

もともと航空業界は固定費の重いいわゆる「装置産業」です。労働集約型のビジネスで人件費の負担が大きく、また高額な航空機の減価償却費もかかってきます。

ANAホールディングスが2013年に公開した資料では、広義の固定費の比率は90%とされています。つまり、変動費と固定費の比率が1:9というわけです。

固定費の負担が重いということは、売上が減少したときのインパクトが大きくなります。ざっくり言うと、仮に売上がゼロになったとしても固定費のコストはかかってくるわけです。

このままのペースで減収が進めば、キャッシュが流出し続けることは避けられません。したがって、単独での生き残りが難しいことから、ANAとJALを統合すべきだ、というややネガティブなロジックです。

2.統合しなければ国際競争に勝てない

二つ目の理由は、国際競争の激化です。

竹中平蔵氏は、ANAとJALの2社体制のままでは国際競争に勝てないと、主幹ダイヤモンドのインタビューで語っています。なぜなら、世界の航空大手は買収、経営統合によって勢力を拡大しているからです。

例えば、ヨーロッパでは2004年にフランスのエールフランスとオランダのKLMオランダ航空の経営統合がありました。2009年には、ドイツのルフトハンザドイツ航空とオーストリアのオーストリア航空も経営統合しています。

このようにヨーロッパでは国境すら飛び越えた経営統合が行われてきています。このようにグローバル競争では規模の競争が続いています。ANAとJALが国際競争に勝つには、統合すべきだというわけです。

まとめ

今回はANAとJALの経営統合論について整理しました。

その背後には大きく二つのロジックが存在します。一つは、キャッシュの流出が止まらないから統合しなければ生き残れないというものです。コロナ禍で移動が制限され航空需要は大幅に縮小しています。

もう一つは、グローバル競争に勝つ為に経営統合が必要なんだという前向きなロジックです。世界中で航空会社の買収・経営統合が進む中、ANAとJALも統合し規模を拡張すべきだとの主張です。

今回は以上です。

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