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「ミニストップパートナーシップ契約」は新しいコンビニの形?

2021年9月からミニストップの契約形態が刷新されます。ミニストップでは、これを「フランチャイズ契約」から「ミニストップパートナーシップ契約」へ、と表現しています。

今回は、現在コンビニのフランチャイズ契約で主流となっている粗利益分配方式と、ミニストップが目指す事業利益分配方式について整理します。

そもそものコンビニ本部と加盟店の関係は?

コンビニのフランチャイズ契約は「粗利益分配方式」が主流です。

そもそも粗利益とは、売上高から売上原価を引いたものです。コンビニの場合、売上高から商品の仕入原価を引いたものが粗利益になります。この粗利益を、コンビニ本部と加盟店で分け合う形が「粗利益分配方式」です。

この粗利益分配方式には大きな問題点があります。

それは、人件費や水道光熱費、商品の廃棄ロスなどを原則加盟店が負担するという部分です。つまり、人件費が高騰したり廃棄ロスが増えたりしても本部の懐が痛むことはないわけです。

粗利益分配方式の仕組みの上で、本部にとっての最適行動はとにかく欠品を減らし、売上を伸ばすことになります。数年前、セブンイレブンやファミマで本部社員の無断発注問題が報じられました。彼らはある意味、現行のルールの中で最も合理的な行動を取ろうとしたともいえるわけです。

人件費が高騰してもコンビニ本部は無問題

コンビニのような小売業にとって大きなコストの一つが人件費です。最近では、コンビニで外国人店員が働く姿もよく見られるようになっていました。その背景には、コンビニの人材確保が難しくなっている現状があります。

そしてこの人件費はどこから支払われるのでしょうか。実は、給料の支払い原資は粗利益なのです。コンビニ加盟店にとってみれば、粗利益を本部と分配した残りから、人件費などの店舗経費を捻出しなければならないのです。

加盟店の台所事情が苦しくなる一方、コンビニ本部が人件費高騰から受ける影響は限定的です。なぜなら、人件費は粗利益に影響しないからです。ミニストップはこの仕組みにメスを入れようとしているわけです。

粗利益分配方式から事業利益分配方式へ

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今回、ミニストップが打ち出したパートナーシップ契約は、粗利益分配方式ではなく、事業利益を分配しようとするものです。粗利益からさまざまな店舗経費を差し引いたあとに残った利益を分配の基準にするものです。

この変更によって、コンビニ本部と加盟店は一蓮托生の関係になります。

例えば、これまで賞味期限切れの食品廃棄は加盟店だけが気に掛ける問題でした。廃棄ロスは原則加盟店が負担するので、本部は全く痛みを感じないシステムだったわけです。ですから、弁当の見切り販売にも厳しい制約を持たせてきました。

ミニストップは今回の契約変更を「真のパートナーシップ」と呼んでいます。コンビニ会計見直しへの社会的要請も高まる中で、ミニストップ方式が他のチェーンにも波及していくのか注目しています。

加盟店と共に働き、一緒に努力をすることで得られた事業利益を共に分け合うことが真のパートナーシップであるという結論に至り、加盟店との契約を 「ミニストップパートナーシップ契約」に変更することといたします。
ーーー ミニストップのリリース文より

今回は以上です。

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