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月刊『抽象的な歩き方』

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様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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#電車

ACT.111『疲労途上』

ACT.111『疲労途上』

河口湖線とハエニッパ

 埼京線から譲渡され、首都圏最後の205系として尽力した205系ハエ28編成は、この富士急行に転職して富士急ハイランドの人気アトラクション『きかんしゃトーマスランド』のラッピング装飾を身に纏って活躍している。
 訪問した際にはその装飾をじっくり見る事は出来ず、ただただ混雑の中に紛れていたので撮影や記録に浸る事は出来なかった。
 やっとの思いにて富士急ハイランド方面への河口湖

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ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

目覚めの先

 宿泊した2階の自室では、宿泊客が少ない事を良い事にして?アラームを設定してから就寝した。
 しかし、アラームを設定し布団を被っていても宿横すぐの中央本線を列車が行くのがよくわかる。旅客列車が終わっても、貨物列車に終わりの時間はない。かつてはそうした時間に、東京と日本各地を結寝台列車が走行していた。しかしそうした鉄道が1夜をかけて走行する時代は静かに終焉を迎え、荷物を満載した列車が闇

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ACT.95『歌に沿る序章』

ACT.95『歌に沿る序章』

雨天の中を

 外は降り頻る雨の中であった。
 そうした中で、我が家を準備した荷物を確認し、JRは太秦駅に向かう為に我が家を発つ。既に妹は新年度を迎える寸前に上京し、我が家には自分1人が母と暮らしているから少し切ない時間が流れる。
「あんた、傘。折角やし要らんかったら置いてきぃな。」
母の気遣いを受けて京都を後にする。
「行ってくるわ!!」
陽も上がらず、雨で冷えた道を。水たまりのできたアスファル

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ACT.87『引き換え』

ACT.87『引き換え』

働く同期

 札幌市営地下鉄で、最も格好良い…というのか、自分が最も魅了された車両は一体どれだったのか、と問われたら間違いなくこの8000形である。
 車両のルックスから感じる平成感、そしていつになろうと衰える事のないモダンなデザイン。そうした面が自分を魅了させた。
 そうした誘惑に勝てないから、今の自分はここにいる。新さっぽろの構内で地下鉄を撮影している。 
 写真は、乗車中の電車から撮影した新

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ACT.86『飛ばせる線路』

ACT.86『飛ばせる線路』

石勝線、再び

 追分駅に戻ってきた。列車を待機する。
 南千歳方面に向かって札幌方面に戻るのがこの旅の現状の締めくくりに相応しい…状況であるが、時刻表を確認してみると新夕張方面に1本の列車が見えた。
「少し乗車して、1駅か2駅先で下車すっか」
そうした思いで、駅に入る釧路方面の特急列車を待機した。

 やってきた列車に乗車する。キハ261系1000番台による特急列車、おおぞら/9号である。
「ま

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ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

電化の象徴を手にして

 旭川を発って、現在の自分は名寄へと向かっている。ここからは宗谷本線をひたすら北へ向かい、最後には稚内に到達する事を。そしてそこから宗谷岬に達する事を目標に動き始めた。
 現在、乗車中なのは快速なよろ号。車両は気動車でH100形車両によって運転されている。快速なよろ号は時間帯を分散させて運転されており、乗車した15時台の他には18時台。20時台に旭川から名寄に向かう快速なよ

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ACT.62『更なる場所を見据え』

ACT.62『更なる場所を見据え』

若人の活躍を後にして

 深川市では、地元。クラーク国際高の甲子園全国出場に一花添えているようであった。
『出場おめでとう!!』
と若者たちの活躍を送り出すようなホワイトボード展示が、自分の旅している時期が夏である事。そして記念すべき地元の一行事に立ち会っている事の思いを満たす。
 クラーク国際高は、令和5年の全国高校野球選手権大会の北北海道代表の高校として出場する事になった深川市の高校である。最

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ACT.52『あの感情へ、一歩…2』

ACT.52『あの感情へ、一歩…2』

北の街並みへ

 特急、すずらん3号は札幌に到着した。遠回りな形で石勝線経由、そして室蘭本線の乗車間違いを挟んでの結果となってしまったがこうして札幌の地を踏む事が出来た。
 幾らこの駅を通過していたとしても、
『降りて駅名標を見る事』
で得られる感動感というのは大いなるものがある。
「遂に札幌に来たんだ、」
と自分は高らかなる気持ちを持っていた。
 ただ、実際は
「自動放送のご案内は私、大橋俊夫で

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ACT.50『若人の国鉄』

ACT.50『若人の国鉄』

聖地追分

 まず。この記事を記す前に。
 大長編北海道の最中になりましたが、なんとか50話目まで記す事が出来ました。これも皆さんのスキ、そして閲覧や支援のおかげでございます。これからも様々な旅路を記して参りますので何卒。
 というわけで…この追分は、日本鉄道史と国鉄を愛する自分にとって『聖地』としての要素が非常に強い。
 何より、その中には国鉄の中で動力近代化計画の最中で最後まで蒸気機関車が残存

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ACT.47『本当の洗礼は』

ACT.47『本当の洗礼は』

山線との別れ

 長万部に到着した。
 この駅は、C62形急行ニセコの時代に重連が切り離された駅であり、この駅からC62形急行ニセコは重連を解放して本務機と客車だけを従え、連絡船の待つ函館に向かっていたのだ。
 そして、そんな函館まではあとこの場所から100キロ近くある。この旅路では北海道の中で最も南の都市として長万部の街に訪れた(中継地点としてであったが)のだが、それでもまだまだ道南の街は遠い気

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ACT.43『序章』

ACT.43『序章』

流れ着いて

 小樽市でそのまま一泊する事にした。倶知安方面なども考えて宿を調べたが、そのまま小樽市に滞在。南小樽から徒歩15分圏内の銭湯ゲストハウスに宿泊した。
 という事で、小樽駅方面に向かう中央バスに乗車。そのまま乗車していたのだが…
 気が付いた時には小樽駅のバスターミナルホームにバスが斜め付けされており、自分が疲れてというかクタクタになって寝ている状態だった。
 と、小樽駅からこの先3つ

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ACT.39『待ちきれずに行ってみた』

ACT.39『待ちきれずに行ってみた』

小樽駅から始まる朝

 宿泊したゲストハウスのチェックアウト時間が遅めに設定されていた事に少し甘えていた…と言うのもあるが、山陰線の綾部付近で発生した竹倒壊の事故の影響を受けて道内フリーきっぷの日程が少し前倒しになっていたので、今回はそれも兼ねてチェックアウトまでの時間を朝の鉄道で過ごす事にした。
 駅内に入ってから撮影したのは、733系同士の連結写真である。
 このタイプは735系だったろうか、

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ACT.38『放蕩航海、北海道』

ACT.38『放蕩航海、北海道』

起床、イベント、満喫

 行きの東舞鶴から乗船したフェリー内では、体力が序盤で緊張していた事、そして初の北海道に向かう状態という事で身体が硬くなっていたのかかなり船内を探検したり放浪したりしていたと思う。側から見れば、その行動は
「落ち着きがない」「態度がなっていない」
と叱りを受けてしまう状況にあるのかもしれないと今更にながら思う事がある。
 発達の障害、疾患と共に生活を送っていく中で自分は医師

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ACT.33『九州グランドスラム 終 上昇、旅立ち、決別』

ACT.33『九州グランドスラム 終 上昇、旅立ち、決別』

半壊の朝

 そんな時間か…と思いながら、天神のネットカフェを出た。しかし地道にこんなポイントなど貯めて、自分はどうするんだろうと常々言い聞かせてしまう。まさか福岡県でも貯めてしまうとは。
 そのまま寝ぼけつつ。西鉄電車の始発時刻が記された駅を過ぎ去り、半壊の体を天神から目的地に動かしていく。今日の目的地は、遂に九州の境界。下関なのだ。小倉まで行きたかった自分の絶えた道を、ここで復旧整備させていく

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