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ショートエッセイ集

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過去の出来事の揺れ動く想いや感情を書き起こしています。封印してもいいけど、忘れたくないあの日の想い出たちをシェアします。
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#エッセイ

ある日、笑顔で解雇通知書を手に帰宅した父から学んだ「人生の極意」

ある日、笑顔で解雇通知書を手に帰宅した父から学んだ「人生の極意」

「お父さん、会社を解雇になりました」

帰宅するなり、父が告げた。

「え」

クリアファイルに入った解雇通知書を、呆然としている母と私に見せた。

(本物の解雇通知書だ……)

人生で初めて見る、解雇通知書。勤務先の倒産だ。

一週間前に次男を出産し、寝不足でふわふわする頭に、ハンマーで一撃を受けたかのような衝撃。隣にいる母も同じようだった。

しかも、私が次男を出産する一週間前には、祖父(父の

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自分軸を取り戻すには一人旅が効果的だった話

自分軸を取り戻すには一人旅が効果的だった話

先日、1歳と6歳の息子たちを夫に任せて、数年ぶりに一人旅に行ってきた。一泊二日のミニ旅行、大阪へ。

わたしはこの旅を通じて「自分がどうしたいのか?に沿って決めて行動する『自分軸』を取り戻すのに、一人旅ってピッタリなのでは?」と発見した。

それと同時に、これまで環境や人に合わせることが多かったのだなぁ……と気づいた。

一泊二日、予想外にも大きな発見と気づきが得られた。

せっかくなので、自分だ

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年末年始、実家に帰り感じた寂しさと希望

年末年始、実家に帰り感じた寂しさと希望

年末年始。いつもと違う空気感で、なんとなくソワソワする。

今年の年始も、夫の実家と自分の実家に帰った。

自分の実家に帰る際は、妹やその旦那さんも来るので、年末年始やお盆は広い家の祖母の家に集まる。父や母も。

昨年までは、耳は遠いけど頭はしっかりし、少々細かくて口うるさい祖父と、そんな祖父を「うるさい男じゃねぇー」とスルーする楽観的で世話焼きな祖母がいた。

たくさんのご馳走が並ぶ食卓では、よ

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還暦を迎えた父を見て、わたしは親のことを知らなかったと気付いた

還暦を迎えた父を見て、わたしは親のことを知らなかったと気付いた

「お父さん、お誕生日おめでとう」

先日還暦を迎えた父に、そうシンプルな文面のLINEをポチポチと打って送信する。

3歳の息子の「ハッピーバースデーの歌」の熱唱動画を添えて。

孫からのおめでとうの歌は、さぞ喜ぶだろうな……と、口元を緩めながら送信する。

数時間、父から自撮りの写真と、ファンである「ももいろクローバーZ」スタンプが送られてきた。

(え、自撮り?父が?)

そして、スタンプを使

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自分のことを初めて「記事」にしてもらったら、新たな自分を発見

4月1日。エイプリルフール。

現在、29歳。

もう、誰かにおもしろおかしいウソなんてついたり、つかれたりする歳ではない。

もともと昔から真面目で冗談が苦手で、人の困った顔を見るのが苦手だし、また、自分がされても上手く反応できないのだ。(そして相手にちょっとだけ申し訳なく思う)

自分の中の「おもしろさ」や「ユーモア」は前世にでも置き忘れてしまったのかもしれないなぁ……と感じていた。

もしか

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いつか終わりがあるから、咲き誇っていたい

いつか終わりがあるから、咲き誇っていたい

子どもの頃から、桜を見ると、心癒される反面、なぜか少し切なく寂しくなっていた。

昔から不思議だったこと。なぜなのだろう?

みんなそう思わないのかなぁ。

と以前主人に話してたところ「俺にはよく分からない」と言われた。

そうなのか。

これは自分だけの感覚なのかな。

自分なりに考えてみる。

咲き誇る満開の桜、ライトアップされている夜桜。春の季節の桜はさまざまな表情を見せる。

どこか、幻想

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母になり、世の中は「自分が思っているより優しいって」知った

母になり、世の中は「自分が思っているより優しいって」知った

親のほうが、子どもから教わることはたくさんあるなぁ……と思う。

書ききれないくらい、今までも。

そしてこれからも。



わたしには3歳の息子が一人いる。

毎日、やんちゃでよく動き回る元気いっぱいの息子。
喜怒哀楽、くるくるくるくる様々な表情を見せる。

それにともなって、わたしも喜怒哀楽くるくる変わる。

自分がこんなに感情豊かだったのか……と衝撃とともに思い出させてくれたのは、まぎれも

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わたしがWebライターをする理由

わたしがWebライターをする理由

最近、

わたしが本業(パート)以外にWebライターなどの副業の仕事をする理由ってなんだろう?

と改めて振り返ってみた。

忙しくなったとき、なんでがんばってるかわからなくなったとき、目的を見失いそうになったときはこのページを読もう。

人って「今、目の前の出来事」に気を取られがちだし目的を見失うと、足元すくわれたり、辛くなってしまうから。
(わたしはよくありがち)



わたしが副業、Web

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先輩からもらったカフェラテ

先輩からもらったカフェラテ

「あなたは明日から管理部のMさんの元で働くか。そのほうがあなたも、のびのび仕事もできるじゃろう」

シンと静まり返った会社の会議室。

本社の人事部長が、穏やかな優しい顔でわたしにそう言い放った。

わたしはその言葉を聞いて、自分の不甲斐なさでいっぱいになりながら「ここで泣いたら迷惑になる」と涙を堪えるのに必死だった。

わたしは入社後1年も経たず、部署移動を命じられた。



原因はおそらく、

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人生初の「責任」は吹奏楽部で出会った

人生初の「責任」は吹奏楽部で出会った

わたしの人生に大きく影響を与えた人物のひとり。

それは、まぎれもなく中学校の部活の顧問F先生だった。

今の自分の考え方や価値観のベースには部活から学んだことが大きい。

仲間と協力して何かを創り上げる難しさと達成感、1人でもお客さんがいるならプロ意識を持って物事に取り組むこと。努力が必ずしも結果に結びつくわけではないけど結果を出すには努力が必要なこと、物事を継続することの難しさや常に勉強するこ

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分岐点に立たされているわたしたち

分岐点に立たされているわたしたち

体調を崩して、寝込む日曜日。

「また、やってしまった…」

自分に呆れる。

「体調崩す前に充分に休むこと」がわたしは子どもの頃から苦手だ。

つい自分の体力を過信してしまうし、目の前のことに夢中だと忘れてしまうのだ。

本当に子どもみたいに。

息子の面倒を見ながら、重たい身体を休めつつ、何気なくスマホを眺める。

すると、わたしが尊敬する人が動画で、

「自分の心の琴線に触れる人達必ずいる。

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ありがとうを電波にのせて

ありがとうを電波にのせて

金曜日の夜。

家につき、ご飯を食べてホッと一息つく午後21時頃。

あぁ、今週もがんばったな。

なんて、大人達は1人自分を労う時間だろうか。

毎日、激動に変化する社会情勢。

テレビのニュースは、たくさんの情報を伝えてくれる。

インタビューに答える、道ゆく人の声。

不安になったり、これからどうなるのかな、と答えていたり…

テレビをつけていると、画面越しにもそんな渦巻く感情達が、家の中に

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人生で初めて「がんばらなくていい」を教えてくれた人

人生で初めて「がんばらなくていい」を教えてくれた人

別にがんばるから一緒にいるんじゃない。

何かをしてくれるから一緒にいるんじゃない。

がんばってもがんばらなくても好きなようにしていい。

別に何もしなくていいよ。

好きなようにしていいよ。



色々あって、子どもみたいに
いっぱいいっぱいになってよく泣き出すわたし。

8歳年上の主人はかつて、そう言ってくれた。

いや、今もわざわざ言わないけどそう思ってくれている。

わたしが「何かして

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お姉ちゃんって呼ばないで

お姉ちゃんって呼ばないで

わたしは2人姉妹の長女だ。

可愛くて大好きな妹がいる。

大人になってお互い結婚して妹は遠方に引っ越したけど、
仲は良くて誕生日には贈り物を送り合ったり、実家の両親のことなどをよく相談する。

昔から器用で、成績優秀で落ち着いていて、自分の意志も強くて、甘え上手で頭も良くて頼りになる…妹。

色々あって父と母が不仲で家庭内が殺伐としていた学生時代の数年間も、妹がいたから乗り越えられた。

今も良

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