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5分で分かる世界のしくみ

専門家ではなくただの素人ですが、いま世界で起きている事について書いてみたいと思います。

日本では少子高齢化、自動車・家電の花形産業の衰退、新興国との競争、世界的不況、政府の経済政策などの影響で多くの人が不況で苦しんでいる。格差も広がり、コロナ禍でさらに不景気が深刻化している。ただ感染者数が比較的少ない日本はまだ良い方で、海外、特にアフリカ、中東、アジア、南米の貧困国はかなり悲惨な状況になっている。

【コロナ禍、新興国で物価上昇深刻に 金融緩和の足かせ】2020年10月4日 日本経済新聞『新型コロナウイルスの影響で新興国の物価上昇が深刻だ。インドでは物流停滞で野菜をはじめとした食料価格が上昇している。トルコも通貨安で小麦などの輸入品が値上がりし、物価上昇率は2桁に達した』

日本では地震や台風被害が起こると芸能人が100万円を寄付したりする。「何億も年収があるくせにたった100万かよ」という声もある。この件について個人的に賛成も反対もないが、日本でも格差が広がっている。

ここで視点を変えると、日本はG8に入る世界でも知らない人はいない超大国だ。コロナでWHOに数億円寄付したところで「何千兆円も持ってるくせにたった数億円かよ」と思う国もあるだろう。海外のほとんどの人から見れば日本は超金持ち国家なのだ。

日本で「自分は贅沢な暮らしをしている」と言う人は少ないし「毎日いっぱいいっぱいだ」と言う人が多いと思うが、立場を変えれば「エアコン、飲める水道水、洗濯機、電子レンジ、給湯器付きの三つ星部屋に住む金持ち国民」なのだ。

日本でももちろん不況とコロナで生活が苦しい人は多い。でも街中にホームレスはあふれていないし、暴動も一回も起きていない。毎日食う物に困る人はほとんどいない。コンビニに行けば好きな物を買えるし、TV、エアコン、洗濯機、電子レンジ、給湯器付きの家にほとんどの人が住んでいる。24時間蛇口をひねれば飲める水が出てくるし、温かいシャワーが浴びられる。停電もほとんどない。これは世界でもほとんどない最高級の生活だ。アメリカ、ヨーロッパでも水道水が飲めないところは多い。停電もある。もちろん日本でも貧困層は存在するし生活支援が必要だ。貧困国と日本を比べるつもりは全くない。両方ともにサポートが必要だ。ただ日本は貧困国から見れば三つ星ホテルの生活を送っているということだ。

これは気付いていない人が多いと思うことをこれから書く。

日本は資源がないのでほとんどの物を輸入に頼っている。日本がここまで大国になったのは頭の良さと自動車、家電が作れる手先の器用さ、教育水準の高さなどがあるだろう。その大国になった日本はほとんどの物を輸入している。日本でも身分が低かったり底辺の暮らしの人がゴミ収集や清掃、原発などの汚くて危険なリスクのある仕事をしている。

実は、石油、天然ガス、石炭、鉄鉱石、魚、肉、野菜、小麦粉、家、会社、電車、街中、といった私たちの日常生活の全てにそういった底辺の人々は関わっている。日本でも労働力不足で農業、漁業、工場作業、建設業、介護など外国人労働者がいないと生活が成り立たなくなってきている。

そして日本が海外から輸入している天然資源、農業、漁業、石油プラント、エネルギー関連などの汚い、危険なリスクのある仕事では最下層の人々、奴隷や人身売買で雇われた人達がかなり働いている。どの国でも汚い、危険な仕事は誰もやりたくない。

【白い粉じんまみれの重労働 エジプトの石灰岩採石場】「エジプト南部の厳しい環境下で、白い粉塵にまみれながら、低賃金労働に従事する人々がいる」AFPニュース

https://twitter.com/afpbbcom/status/1318017525259530240?s=21

これはもう悲劇と言うしかない。日本人や欧米の先進国の人々は普通の生活をしていて自分が世界の奴隷問題や、人身売買に加担していないと思っているが、ダイヤモンドを買ったり、服を買ったり、牛丼やラーメンを食べたり、チョコレートを食べたり、電気をつけたり、電車に乗ったり、プラスチック製品を買ったりすることで、知らず知らずのうちに間接的に奴隷労働を使った会社の製品を買ってしまっている。多くの物は貧困国の最下層の人々の犠牲の上に成り立っている。

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それでも電気や水、小麦粉などを日本人が使わない生活はあり得ない。もし万が一使うのを止めれば、逆に貧困国の人たちは自国の物や天然資源が売れなくなって困ってしまうのだ。極限のジレンマだ。

それではどうすればいいか?G8などの金持ち国が貧困国に支援してそういった最下層の人々の給料を上げるしかない。そのために日本などの先進国、ユニセフは貧困国に支援金を送る。だが、その国の政治家が国民に支援金をちゃんと配るだろうか?おそらく配らない。だからこの問題は簡単に解決しない。

そして「金持ち喧嘩せず」の逆で金のない貧困国では反政府デモが多発したり、他の民族が悪い、他の宗教が悪い、と頻繁に内乱や紛争が起こる。誰も好きで喧嘩してるわけではない。イスラム国や香港、ベラルーシなども根本的には貧困が原因だ。アフリカや中南米の麻薬ビジネス、森林伐採、密猟、漁業乱獲、希少動物の売買、サイバー犯罪など、自分の国に産業がなく、まともな仕事がないからブラックビジネスをやらざるを得ない。

日本も不景気なのでみんな金がない。安いものしか買えない。選択肢がない。だから企業は安くて高品質なものを作る。そのために安い労働力を探す、中国の人件費が高くなれば、ベトナムへ、次はミャンマー 、次はカンボジアへ、正社員は高いので、非正規を使う、非正規は高いから、最下層の貧困層を使う、それでも高いから、人身売買で奴隷状態の田舎の子供や少数民族といった安い労働力を使って、どんどん安い物を作ろうとする。

高品質な物を作るには綿花の栽培やレザー、農業、水産業、全て手間がかかるし技術もいる。専門家や経験のある人材、丁寧な野菜栽培、土壌作り、手間ひまがかかる。当然製品が出来るまで金も時間もかかる。高品質な商品が低価格なのはありえないのだ。そこには海外で働いている最下層の人々の犠牲がある。

それでも、今や日本人も貧困化で高いものは買えない。選択が出来ない。安い物を買い、安い物を企業が作り、そのために海外の貧困国で奴隷を使う。それは良くないと、日本が貧困国に資金援助してもその国の政治家は国民に金を回さない。貧困の連鎖がつながってしまっている。その国の政治家を変えようとしても当然、簡単に変えられる話ではない。

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日本は品質の基準がとても厳しいので、海外の農業、漁業でも高品質な物を日本に輸出し、残った低品質な余り物を国内で消費している。日本や欧米の先進国のように自動車も家電、ITシステムも作れない、世界遺産もない国は野菜、魚、天然資源などを売るしかない。なるべく高品質な物を海外に売るしか金を稼ぐ手段がない。そうやって国をなんとか維持している。コロナで世界中がダメージを受けているので、当然、体力のない貧困国のダメージは計り知れない。

もちろん奴隷労働を使わずに貧困国の従業員にも十分な給料を払いまっとうな経営をしている会社もある。消費者は出来るだけインターネットや新聞、テレビでニュースに触れたら、そういった貧困国や貧困地域の人々を犠牲にしている会社の商品は買わないようにしたい。そうすることで貧困国の状況も改善する。それでも日本の汚い・危険な仕事と同じように、世界の農業、水産業、原発、天然資源などは最底辺の人々や海外の奴隷状態の人々の犠牲があって成り立っている。

次に「インターネットの登場」について話をしたい。これまでの農業や自動車、家電は自国内で完結し、簡単に海外に出ることはなかったので自由資本主義はある程度制限されていた。しかしインターネットの登場でその状況は一変した。

農産物や自動車の流通は関税などである程度コントロールできるがインターネットは海外に空中を飛んでやってくる。いま世界中の人々がGoogle、Amazon、Instagramを使っているが、これにより世界経済の状況がさらに劇的に変化している。

ネット、SNSが大きな力を持つようになったので視聴者の減ったTVや新聞、ラジオの広告費が減る。みんながAmazonや Netflixや Huluを使うようになったのでTSUTAYAや映画館はダメージを受ける。街の書店、電気店や洋服店、金物屋などは使われなくなるので当然どんどん潰れる。

潰れた店や中小企業の従業員は仕事を失う。やっと仕事を見つけてもUberイーツやAmazonの倉庫、テレアポなど大企業の下請けの「部品」として働くことになる。または介護職や宅配、建設業等の人手不足の分野で働く事になる。この現象が世界中で起こっている。

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上のグラフを見れば一目瞭然だが、日本はトヨタ以外は全滅した。今やGoogle(アルファベット)、Amazon、アップル等の「GAFA」や中国のネット通販の「アリババ」や「テンセント」がトップ10に君臨。とんでもない金額の富を独占している。以下は世界と日本の大企業の主要メンバーの資産額だ。

●Amazon  ジェフ・ベゾス 1750億ドル(約18兆円)

●マイクロソフト ビル・ゲイツ 1147億ドル(約12兆円)

●ルイ・ヴィトン ベルナール・アルノー 760億ドル (約8兆3600億円)

●ZARA  アマンシオ・オルテガ 551億ドル(約6兆610億円)

●アリババ ジャック・マー 504億ドル(約5兆5500億円)

●ユニクロ 柳井正 2兆円4000万円

●ソフトバンク 孫正義 2兆2000万円

Onebox Newsの報道によると2016年の世界長者番付の上位8人は世界の富のピラミッドの下位36億人、なんと36億人!!と同等の富を保有している。(Wikipediaより)

日本でも多くの人が年収150万、200万が普通の時代で、大企業のトップや資産家は何兆円という金を持っている。(貧困国では年収10万、20万の人々がゴロゴロいる)世界中で格差社会がとんでもなく広がっている。しかもAmazonなどのネット通販やNetflixがこのコロナ禍で世界規模で売上を急激に伸ばしたのは言うまでもない。

それでは、その金持ちの人々を規制して富を分配すれば良いと考える人もいるだろうが、政治家も結局「金」だから大企業や資産家の言う事を聞かざるをえない。政治家も大企業や資産家にコントロールされことになる。あまりに富の偏りが起きると国の民主主義も正常に機能しなくなる。

日本の選挙も不正が疑われていたり、投票率の低さ、メディアの報道によるコントロールも指摘されているが、もし投票率が上がっても、本当に国民が望む党が勝利出来るのか?これはかなりギリギリのところまできているだろう。日本の政治も経団連を始めとする大企業や資本家に支配されつつある。アフリカや多数の発展途上国では不正選挙や妨害が頻繁に起こるのでまともな選挙ができていない。事実上、民主主義が破綻している国も多い。

それでは日本、海外に関係なくこの社会を変えるにはどうすればいいのか?

2つしかない。「金に左右されない信念の政治家の登場」と「社会に還元する経営者の登場」だ。しかし組織に属さない優秀な弱小政治家はかなり不利だ。政治資金がないのでCMもポスターもできない。派手なパーティーも出来なければ対立候補に圧力をかけることも出来ない。知名度も上がらないから、結局は金と歴史のある大政党の候補者が勝つ事になる。

経営者に関しては「富を牛耳る悪い経営者の会社は使わなければ良い」と悪名高い企業の製品をボイコット、ストライキをする手段もある。しかしながら、このコロナ不況もあって庶民はどんどん貧乏になってきている。庶民は大企業の安くて高品質な製品やサービスをボイコットすることがかなり難しい。

大企業はスケールを活かして安くて高品質な商品やサービスを作れるので、金がない庶民はどうしても大企業の安い品物を買うしかない。金がないから高い物が買えない、旅行にも行けない。結局ほとんどの人がネットの巨人のGoogle、Amazon、インスタグラム、Youtube、Netflixを毎日使うことになる。日常生活では、ユニクロやGU、ダイソー、ニトリ、コストコ、マクドナルド、スターバックス、牛丼店、コンビニ等の大企業チェーン店ばかりを使うことになる。大企業の売上ばかりが増える。この現象が世界中で起きている。

要するに街の中小企業はどんどん潰れ、大企業や一部の資産家に富が集中するシステムになってしまっている。ネット社会にGAFAが出現したことでそのスピードがさらに一層加速しているというわけだ。

いま世界中で「優れた政治家」と「優れた経営者」が必要だが、上記したように、人材もいなければそういった優秀な人材がトップに上がってくるには多くの高い壁がある。

会社の経営者は民間企業で決めるので一般人は関与できないが、政治家は国民が選挙で選ぶことが出来る。不正選挙や政治資金、組織力の問題がありハードルは高いが、我々が社会を変えるために出来る事は、優秀な政治家を選挙で選ぶしかない。

「どうせ当選したら裏切る」そういう声が上がるのはもっともで、それが原因で誰も政治家を信用していないし、選挙の投票率も上がらない。しかし、民間の経営者の選択に関与出来ないのであれば、庶民が唯一出来ることは、選挙で公平な視点を持ち本当に国民の事を考える政治家を選ぶしかない。

「生まれた時から悪人はいない」

幼少期の教育は人格形成に大きな影響を与える。世界中で多くの優秀で公平なリーダーを増やし、より良い社会を作るためには根本的な「教育」をいま一度世界で真剣に議論し、改革していくしか方法はないのかもしれない。

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