ニューハヤシネマ

医者を志していた少年が、ある日ニューシネマパラダイスと出会った。 魂がゆさぶられてしま…

ニューハヤシネマ

医者を志していた少年が、ある日ニューシネマパラダイスと出会った。 魂がゆさぶられてしまい、どうしていいか分からなかった。誰にも言えず、映画の道を歩み始めた。 28歳、映画で監督デビュー。45歳でフィルム写真を始める。

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■フィルム写真やフィルムカメラ、現像、プリント何でも語ろう!  詳しいから偉いとか、そういうのはなしで。 ■活動方針や頻度 サークルの掲示板で写真を見せ合ったりして話します。 特にまだ決まった活動はありませんが、リクエストあればオンライントークとかもいいですね ■どんな人に来てほしいか カメラや写真が好きな人ならどんな方でも構いません! ■どのように参加してほしいか ポジティブにゆるやかに楽しめたらいいですね。 見ているだけでも大丈夫です。

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  • ヒロキと弘樹はトルナトーレには出会えない

    ニューシネマパラダイスの監督ジュゼッペ・トルナトーレに会いに行く42才になった監督の弘樹。映画の道を歩み始める20代・大学生のヒロキ。時空を超えたクロス・マッチングストーリー。果たしてヒロキと弘樹はトルナトーレ監督と出会うことが出来るのか!?

  • 物語を生きる・思考を巡る旅     映画監督 林 弘樹

    物語を味わう、浴びる。はたまた物語をつくる。 でも、いま僕らは物語をちゃんと生きているんだろうか。 映画監督であり、ものがたり法人FireWorks代表の林が、 日々歩きながら考えること。書いてみて気づくこと。 そのメモ。手書きノートからWEBのnoteに書き替えたもの。

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第42回「イタリア縦断記 その10」目指せニューシネマパラダイス 夢の島へはゆっくり行け!

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第三十三回「イタリア縦断記 その壱」~目指せニューシネマパラダイス~

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第43回「イタリア縦断記 その11」目指せニューシネマパラダイス 豪華フェリーの珍道中

第43回「イタリア縦断記 その11」目指せニューシネマパラダイス 豪華フェリーの珍道中

ソレントからナポリまでは車で1時間。フェ―リの出発時刻は夜8時だが、車の積み込みなどがあるので2時間前の6時までに到着しなければならない。

だから余裕をもって3時にはソレントを出た。早く着いたらフェリーでゆっくりすればいい。ナポリはヴェネツィアの半額くらいでカフェも安い訳だし、慣れてきた南イタリアを堪能しながら憧れのシチリアへの想いに浸るなんてのもいいなと思っていた。

ところがどっこい。バカン

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第42回「イタリア縦断記 その10」目指せニューシネマパラダイス 夢の島へはゆっくり行け!

第42回「イタリア縦断記 その10」目指せニューシネマパラダイス 夢の島へはゆっくり行け!

1992年 弘樹高校2年。

では、シチリアにはいつ、どのように行けばいいんだろう。弘樹は、ぼんやりと地図帳でルートを指で辿りながら眺めることが多くなった。

 「ハヤシ、どうした。ヨーロッパにでも行きたいの?」

 そう声をかけてきたのはナオだった。

「この前、ハヤシから借りたシベリア鉄道9400キロ、あれすごく面白かった」

と宮脇俊三の文庫本を差し出して、地図帳のシベリア鉄道ルートをなぞる

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第41回「イタリア縦断記 その9」目指せニューシネマパラダイス 映画の道

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「夢の島シチリア」

 シチリアへ行きたい。

 あの映画の中に、世界に入ってみたい。

 初めてそれを頭に想い描いたのは高校二年の時だった。一年以上前に観た映画「ニューシネマパラダイス」の感動を、弘樹はどう消化したらいいのか全く分からず独り悶々としていた。それまでの自分は映画がそこまで好きという訳でもなかったし、周りにこの映画を観ている奴もいないだろうと思っていたからだ。

 2018年、そんな

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14回臨時号:「僕らの世界は変われるのか」

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このブログでは1993年と2018年の時間と出来事について書き続けているが、イレギュラーとして「今、2020年4月」のことを語りたいと思う。

なぜってそれは本日、4月7日に日本でも緊急事態宣言が発動されるから。そしてイタリアをはじめ今や世界中で2月からパンデミックの蔓延により社会ストップが起きているのだから…。いまトルナトーレ監督は何を思い、どんな物語で世界を捉えているのだろうか、と考え

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第40回「イタリア縦断記 その8」目指せニューシネマパラダイス 帰れソレントへ

第40回「イタリア縦断記 その8」目指せニューシネマパラダイス 帰れソレントへ

まさかソレントを見下ろしながら、「帰れソレントへ」を歌うはめになるとは…と、終わってから日奈子は急に恥ずかしさが込み上げて来たようだ。

近くのレストランに辿り着き、
炭酸水をがぶがぶのみながら喉の渇きをいやす。
子供たちは大好きなピッツァを、
僕らは郷土料理のニョッキを頂く。
(本当はこの地域の特産であるレモン味ソースのスパゲッティが食べたかったんだけど、このお店にはなかったので断念)

値段的

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第39回「イタリア縦断記 その7」目指せニューシネマパラダイス

第39回「イタリア縦断記 その7」目指せニューシネマパラダイス

「待ってろよ、トルナトーレ様!」

 なんだか、カラダが火照っている。「ブォン。ジョールノ」とアパートの住人にいつもの挨拶をしながら感じたのは、喉の奥から湧き出る声質が変わっている?ということだった。昨日のたった一日でナポリ王国五百年、ポンペイ遺跡二千年以上の「熱」を脳が集め、からだに宿ったといったら大げさだろうか。

 マンマの朝食を屋外テラスでゆっくり食べる。この十階くらいから眺めるナポリのま

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第38回「イタリア縦断記 その6」目指せニューシネマパラダイス

第38回「イタリア縦断記 その6」目指せニューシネマパラダイス

「真のナポリピッツァとは何か」



 イタリアのピッツァはどこでも美味い。北のピッツァは生地が薄くてカリっとしてて、南のそれは生地が厚くてこれまた美味い、というのは間違いではない。けれど、イタリア人なら口を揃えて「ピッツァを食べたいのなら南イタリアのナポリに行くといいよ」というだろう。要はピッツァは郷土料理であり、ナポリの誇りそのものなのだ。ミートソースならボローニャ、イカ墨ならヴェネツィアと

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第37回「イタリア縦断記 その5」目指せニューシネマパラダイス

第37回「イタリア縦断記 その5」目指せニューシネマパラダイス

「早くピッツァが食べたいのに…」

 
 「ナポリを見てから死ね」という言葉があるが、それはどんな意味を持っているのだろう。訪れる前は、たぶんそれだけ美しいまちなんだろうなとぼんやりと思っていた。確かに、ナポリ近郊の町々には「人を魅了する色」がある。しかし、いざナポリのまちに入ってみると、そんな綺麗ごとだけじゃあ済まない何かがうごめいていることを肌で感じた。

 日奈子もぼそっと口にする。

「な

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第36回「イタリア縦断記 その4」   ~目指せニューシネマパラダイス~

第36回「イタリア縦断記 その4」   ~目指せニューシネマパラダイス~


「邪道と言われても…」

 しばらく走るとサービスエリアの表示が見えてきたので、そこで喉を潤そうという話になった。イタリアのサービスエリアがどうなっているのかも気になるし…、

そうだ久しぶりにアイスコーヒーが飲みたい!
それは海外に行くといつも起こる衝動だった。

 最近でこそ海外でもスタバやマクドナルドで飲めることが無い訳ではない。でも、通常アジアでもヨーロッパでも基本的に「アイスコーヒー

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第35回「イタリア縦断記 その3」~目指せニューシネマパラダイス~

第35回「イタリア縦断記 その3」~目指せニューシネマパラダイス~

 「イタリアといえばFIAT」

 そう、イタリアで車といえばFIATに他ならない。
だから僕らのイタリア縦断旅行に相応しいのは最初からFIATに決めていた。

 社名は「トリノのイタリア自動車製造所」の頭文字から取ってある。歴史も長く、「フランスはルノーを持っているが、フィアットはイタリアを持っている」と言われるくらいヨーロッパにおいても大きな影響力を持つようだ。

 今ではフェラーリやマセラテ

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第三十四回「イタリア縦断記」その弐 ~目指せニューシネマパラダイス~

第三十四回「イタリア縦断記」その弐 ~目指せニューシネマパラダイス~

「まだ旅は始まらない」

2018年7月 ヴェネツィア

 思えばシチリアへ想いを馳せてから、四半世紀も経ってしまった。時の経つのは早いもので、時に恐ろしいとさえ感じる。ぼうっとしていると日常のやらなければならないと思うことに埋没し、あらゆる事象に翻弄されていくのだとしたら、やりたいことは最優先で行動していかなければならないんだな、と今感じる。

 でも、ようやくここまで来たんだ。旅行ではなく

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第三十三回「イタリア縦断記 その壱」~目指せニューシネマパラダイス~

第三十三回「イタリア縦断記 その壱」~目指せニューシネマパラダイス~

 「人はなぜ旅をするのか?」

  2018年7月 ベネチア

 国内であれば、「旅はいつも北海道から始まる」というのがヒロキの定石だった。十代から二十代はとにかく北を巡った。当時憧れだったブルートレインをはじめとする夜行列車が全国的に廃止になるニュースを耳にして久しい。

 汽車で行く当てもない旅。
 本をたくさん抱え、
 好きな人達の宛名だけ記入した絵葉書を鞄に忍ばせて
 夜行急行列車に乗込

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第三十二回「うさぎとかめ」の後日譚 ~囲碁の初段挑戦~

第三十二回「うさぎとかめ」の後日譚 ~囲碁の初段挑戦~

それは何度でも繰り返される

 2021年の夏合宿までに起きた、我が家の「うさぎとかめのデッドヒート」について三回に渡って書かせてもらった。大学の同窓会ブログの臨時号として気軽に書き始めたのに、うっかり書き過ぎてしまったようにも思うけれど、そこは許して頂きたい。

 子育てするということは、多くの先人たちが言われているように、実は親の方が育てられているのではないかと多くの場面で気付かされる。夫婦

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三十一回 臨時号「うさぎとかめの真相」後編

三十一回 臨時号「うさぎとかめの真相」後編

大きな目標と小さな目標

 2021年夏。クラが6歳とカンジロウが4歳で囲碁を始めて1年近くになる頃、緑星さいたまでは恒例の軽井沢合宿が予定されていました。それは三日間朝から晩まで囲碁を打ち、そこには卒業生やプロの棋士も来て相手をしてくれるという、まさに虎の穴のような場です。ただ息子たちはというと、みんなで旅行して碁が打てるんだと、純粋に楽しみにしていたようです。兄のクラにとっては卒園までに初段

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三十回 臨時号「うさぎとかめの真相」中編

三十回 臨時号「うさぎとかめの真相」中編

林 弘樹 (映画監督・社会創造家)

 それでは前回の続きを。

 先ずは今回僕に気づきを与えてくれたお話の主役である息子くん達の特性を紹介させていただきます。

・長男クラ 四月七日産まれ 現在七歳

 何でも知りたい、色々なことをやってみたい素直な性格の持ち主。そういった特性や見た目は林の幼少期に良く似ているように思います。同世代の中では早く産まれていることもあり、何でも器用にこなし、面倒見も

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