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記事一覧
「じゃあTSUTAYA集合で」@Contrails/ジャニーズWEST
「海外で仕事をします。お世話になりました」
そう言って新卒で入社した会社をあっさり辞めた。
あっさりとは淡白な言い方だが、実際にそうだったかと思う。
話した上司は何度も止めてきたが、キャリアのある先輩方や同期達からは「ついに海外に、やりたい事をしに行くのか」と応援してくれた。
理解ある会社で働けた事、支え合う同期が最高の人財だった事を誇りに思い、私は会社を後にした。
でも実際のところ、辞めると上
セフレ以上、恋人未満。短編小説
「もうキミ、要らない。」
そう言われると目が覚めた。
夢か。
息を忘れていたかの様な感覚で冷や汗をかいている。暖房が暑過ぎたのか、それとも…。そう思いながら息を整え、隣に目をやると愛おしい彼が寝ていた。
彼。いや、正式にお付き合いをしているわけでは無い。
単に、彼の一人暮らしの家のベッドで、隣で寝ている関係。
いや、違うな。
セックス?そんなものはやり終えた。私達は"身体の関係"が既にある。
泣きそうになったのは軌跡が奇跡すぎたから/短編小説
「え?報告しましたよ、8月に結婚したって」
紅葉が色付く少し前の季節、平日の夕方におしゃれなカフェの2階で向き合って座る私たちを見て、サラリーマンと女子学生カップルだと思う人は多いかも知れない。
そう話す彼は、見た目とは反して私の一つ歳下の27歳で、私は大学の頃から弟の様に可愛がっている。
男女の関係なんて無縁すぎる姉弟の関係で、今日も以前と変わらず「報告と相談の会」だと思い、私は写真を撮った
お久しぶりのパンケーキ/短編小説
「こ、こんにちはー」
そっと扉を開き、席が空いている事を確認する。
「あ、いらっしゃいませ」
そう答えてくれた良い感じのマダムは、
レジ奥のカウンターから、ひょっこりと顔を出してきた。
店頭に置いてある観葉植物を見て思っていたが、店内でもドライフラワーやハンドメイド雑貨など、値札の付いたモノを装飾として飾らせている。
この小さな20畳くらいのカフェ経営以外に、販売で成り立たせている感が否めないが
二人乗りの体温が冷めた時には/短編小説
深夜25時。
11月の肌寒い時期に、彼は自転車で私の家まで送ってくれている。
駅周辺にはやはり若者は多く、少し騒がしい。一歩住宅街に入ると、さっきまでとは真逆の静けさで若干怖くなる。
彼の家から私の家までは自転車で15分の距離。
その時間だけは、私のものだ。そう思えた。
二人乗り。
「この時間だから警察は居ないだろうし、夜だし送るよ。後ろ乗って」
そう言われて乗った二人乗り自転車。どこを掴
あの日した約束を貴方は覚えていますか?/短編小説
「テッペン取ったら会いに来る。
それまで待っていて欲しい」
そう言った時の言葉と、雰囲気はかろうじて覚えているが、彼女がどんな表情だったかの記憶は正直ほとんど無い。
*
「佐倉、29歳のお誕生日おめでとう!」
「ありがとう、みんな」
「いやぁ、お前ももう29歳か早いな」
「本当に。ずっと一緒だから実感わかねーわ」
はははっと笑い合う仲間。俺のグループ。
アイドルとして4人でデビューして8年
好きが積み重なる内緒の職場恋愛。
あ、また目があった。
私達は同じ職場の他部署に属する、先輩後輩で、新人の私と8年目の役職持ちの彼とでは仕事中の共通点はほぼ無い。
たまに休憩時間に挨拶をする程度の仲だ。
と、職場のメンバーはそう思っているだろう。
実は違う。そんな事はない。
私達は付き合ってはいないが、LINEも交換しているし、デートも何度かした事がある。そんな仲だ。
「おはようございます」
「おはようございます」
その
キミは悪魔/短編小説
僕は君が気にいらない。
どこに居ても声を掛けられ、静かに居たい僕の隣で大声で笑うものだから、周りからは「夫婦」だと言われている。
正直ぜんぜん嬉しくない。
*
「っでさ、ヨシキくんて甘いもの好き?チョコとかクレープとか」
今日も朝っぱらから騒がしい。挨拶も無しに急な質問。そしてなぜ君は、このクラスに居て、なぜ僕の椅子に座っているんだ。ったく。
「・・・べつに」
「え!なにその反応!低血圧過ぎ
自分に嘘は付きたくない/短編小説
夕焼けに背を向けながら堤防を歩く。ダムが目の前にあるこの田舎で、あずさちゃんと登下校を6年間繰り返した。今日はその最後の日。そして、私はあずさちゃんへの想いも今日で最後にすると決めていた。
私は中学校へは市立ではなく、私立へ行く。この事は学校の先生しか言っておらず、友達はみんな「また、中学校の入学式で」と口を揃えた。
言っておいた方が良かったかもな、けど寂しいからな。
その感情がぐるぐると脳内を
年に何回満月が訪れると思う?/短編小説
そろそろ夜ご飯に行こうか、そう話した5分後には車を出す。相変わらず、行動だけは早い私たち。
何が食べたいかなんて決めず、とりあえず繁華街まで行こうと車を出してくれる。
彼の車はミッション車でエンジンの音や振動が重く、私のオートマ車には感じない衝動が慣れれば心地良い。
この衝動も何十回と乗っていたら慣れたものだ。ミッション車を乗りこなす彼をみて、相変わらず横顔は綺麗だなと眺めながら、彼の安心感に包