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2020年12月の記事一覧
2020年最高だった映画たち
今年も終わりですね。未曽有のパンデミックがあったこともあり、大作映画は軒並み公開延期。3月から6月くらいまではぱっくりとあいてしまっています。こんなに公開が少なかった年もないんじゃないでしょうか。仕方ないことですが、悲しいですなあ。
ただ、それでもやっぱり面白い作品というのはあるもので、今年よかった映画を少しでも紹介していこうかと思います。GO TOも停止されたことですし、外食もなかなかしづらい
普通に暮らすことが難しい国のエネルギッシュな映画『薬の神じゃない!』中国、2018年。
中国のジェネリック薬密輸事件をベースにしたエンタメ映画。2018年の公開当時から話題になっていたけれど、とうとう今年、日本公開。年末ギリギリで見に行けてうれしいです。
主人公の程勇(徐崢)は、妻に逃げられ、息子の親権を取られそうになり、父親は入院。商売のインド製回春薬の販売も不振で、店の家賃も払えなくて追い出され、とうとうお金のために白血病患者の呂受益(王伝君)の頼みを聞いて、インド製ジェネリッ
情熱と狂気と愛情の物語。映画『博士と狂人』イギリス、アイルランド、フランス、アイスランド、2019年
原作は、サイモン・ウィンチェスターのノンフィクション『博士と狂人―世界最高の辞書 OEDの誕生秘話』。タイトルだけだと何のことかわからないですが、英語辞書の最高峰といわれる『オックスフォード英語大辞典』を編纂する物語。『舟を編む』みたいな話かと思いきや、こんな有名な辞書の編纂をリードしたのが、学士の資格も持たなかった独学者マレーと、殺人犯として精神病院に収監されていた元軍医のマイナー博士。しかも、
もっとみる自由への願い。映画『勝利への脱出』アメリカ、1981年
第二次大戦中、ドイツの捕虜になっていた連合軍のサッカーチームとドイツチームが試合をすることになり、試合にかこつけて捕虜たちは脱走を計画する。脱走を手伝うために、捕虜収容所と外部をつなぐのは若い若いスタローン。ドイツ占領下のパリで行われる脱走劇は成功するのか、試合はどうなるのか。ペレを筆頭に、引退した元サッカーのスターたちが多数出演した伝説の作品。
『勝利への脱出』は、1942年に行われたドイツ選
ほんわり、じんわり。映画『ノッティングヒルの洋菓子店』イギリス、2020年
なんとなく、映画が見たくて、ちょっとだけ自分を励まして、気分を上向きにしたいときにぴったりの映画。日本語のタイトルが昔の映画『ノッティングヒルの恋人』と混同しそうで、しかも内容とズレているのが残念。この映画はスイーツがメインじゃなくて、亡くなった人への思いや人と人とのつながりが中心です。
ストーリーは、親友のサラと二人で夢だったカフェを開く直前に彼女を失ったイザベル。サラの娘は母の死を受け入れら
神様の記録。映画『ペレ 伝説の誕生』アメリカ、2015年
娘と映画を見に行くときは、なるべく楽しい映画を選びます。スポーツ映画は王道。深刻なドキュメンタリーも必要だけど、見た後に元気になって、「明日からまたがんばろう」って思える映画や思い出が人生には必要だから。
ペレといえば、サッカーの神様。ブラジルの英雄。サッカーにあまり詳しくない私でも知っています。でも、一番昔の記憶では、夜中まで起きてワールドカップの試合を見ていた頃のスター選手はマラドーナやベッ
多国籍なおいしさ。映画『エイブのキッチンストーリー』アメリカ・ブラジル2019年。
予告編を見たときから、かわいくて絶対見ようと思っていました。ニューヨークに住む主人公のエイブラハムは12才で、イブラヒムとか、アブラハムとか呼ばれる。というのも、お母さんがユダヤ人でお父さんがパレスチナ出身のイスラムだから。祖父母たち家族はいつも、団らんのはずの食卓で、宗教やら政治の話題でもめてしまう。
無宗教でやりたい父親。アイデンティティの問題をないがしろにしたくない母親。エイブはどっちもや
やさしくて切ない映画『ディア・ドクター』2009年。
冒頭の「俺、免許ないねん」で、あれ? と思ったけど、車と医者のをかけてるところから、するっとひきこまれました。主人公は、笑福亭鶴瓶演じる田舎の偽医者。無医村を回っているうちに、重宝がられてとうとう大先生に祭り上げられてしまった男の話。
主人公に限らず、登場人物たちは、みんなそれぞれ嘘をついて生きている。老人に早く亡くなって欲しい家族たちから、癌の治療のために娘に心配かけたくない母親まで。そして、
音は身体で感じる。ドキュメンタリー映画『Touch the Sound そこにある音』ドイツ、2004年。
主人公は、グラミー賞を2度も受賞した音楽家のエヴリン・グレニー。12歳で耳が正常に機能しなくなったけれど、その後も身体全体で音を感じながら制作活動を続けているパーカッショニスト。重度の聴覚障害とともに演奏活動を続ける彼女の日常、音と風景を捉えたフィルムです。
演奏も、日常生活も、フィルムでは健常者にしか見えない彼女。電話のシーンのときに、ようやく彼女の障害がわかる。彼女は、電話は聞き取れない。だ