夕遊

信州生まれ。現在、大阪暮らし。仕事は書くこと、教えること。著書は『誰も知らない『西遊記…

夕遊

信州生まれ。現在、大阪暮らし。仕事は書くこと、教えること。著書は『誰も知らない『西遊記』―玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』(龍渓書舎)ほか。https://amzn.to/478Widn いつも、旅したい場所、読みたい本やマンガ、見たい映画をさがしています。

マガジン

  • 夕遊の中国旅

    中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。

  • 夕遊の映画座

    マガジン機能の練習中。見て良かった映画の感想をまとめています。おすすめを紹介していただけると、喜び踊ります。

  • 夕遊の漫画cafe

    大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...

  • 夕遊の連続劇

    連続ドラマは、見始めてからしばらくの間、現実を忘れさせてくれる元気の素です、映画よりも物語を深く長く描いてくれるのが素敵です。わくわくするドラマを、誰かにそっとご紹介。

  • 夕遊の本棚

    ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。

最近の記事

努力と仲間とダンスへの情熱と。映画『熱烈』中国、2023年

元気がでる映画シリーズ第2弾。ダンス(ブレイキン)は全然知りませんが、見ているだけで熱くなれるのがいいところです。主演の王一博(ワン・イーボー)はローティーンの頃からダンスがすごい人なので、彼のダンスの凄さがメインだろうなと思って見に行ったら、見事にいい意味で裏切られました。 お金持ちの息子で、チームのスポンサーでもあったケビンに逃げられた杭州のダンスチーム「感嘆符!」。昔、チームのコーチは昔、メンバー募集のとき、ケビンと比べて落とした陳爍(チェン・シュオ)に代役をしてくれ

    • イギリス少女たちの武闘派コメディ。映画『ポライト・ソサエティ』イギリス、2023年

      えーっと、今まで見た映画で一番キャッチコピーに悩みました。イギリス映画なんですけど、主役はパキスタン系の姉妹。家族はイギリスのパキスタン系の社会で生活してるんですけど、主人公のリアはイギリスの地元の女子校に通ってて、いろんな友だちがいるし、空手(カンフー?)教室にも通ってる。そして、夢は映画のアクションスタント。 イギリスに住むアジア系の女の子が主人公の映画といえば、なんといっても『ベッカムに恋して』(原題:Bend It Like Beckham)。サッカーが好きなインド

      • 映画『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映に行ってきました。

        7月下旬から約1ヶ月、ひたすら仕事先と自宅にこもって忙しかったので、お盆頃にはとうとう限界。なにもアウトプットできなくなりました。というわけで、友達を誘ってエネルギー補給。また映画館で見れてうれしいです。 スポーツとかアニメに全く疎い友達を誘ってのデートでしたが、見終わった後、「すごくいい映画だった!」って言ってくれたのでよかった。せっかくなので、原作も超絶プッシュして、感想を聞かせてくれるよう約束しました。今から聞くのが楽しみです。 とかいう私も、実は原作を読んだことな

        • 中国の建物と街並み詳説絵巻『建築知識』2024年7月号

          発売前から評判だった専門雑誌を予約購入。中国ドラマや映画をみるときや小説読むときの参考になればと思ったのですが、ファンシーな表紙のイラストの真逆をいく、「新石器・古代王朝から清朝まで」のすさまじく楽しい特集内容に歓喜しています。 建築については全然わからないので、すみません、内容のすばらしさを表現する語彙力ありません。とにかく開くページ、開くページの素敵な建築のイラストと詳細すぎる説明に見応え、読み応えあってうれしい。それぐらいしか言えないのがつらい。 紀元前5千年頃の集

        努力と仲間とダンスへの情熱と。映画『熱烈』中国、2023年

        • イギリス少女たちの武闘派コメディ。映画『ポライト・ソサエティ』イギリス、2023年

        • 映画『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映に行ってきました。

        • 中国の建物と街並み詳説絵巻『建築知識』2024年7月号

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        記事

          今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

          今年は台湾の選挙イヤー。そのおかげか、昨年、一昨年と台湾関連の良書がたくさん出版されて、うれしい悲鳴の日々。読むのが追いつかなくて仕事を放棄したくなるくらい。でも、まさかそんな大豊作の中で、予想もしないような読み応えある本が出てくるとは。学問の可能性は、どこまでも果てしない。うれしい。 これまで日本で出版されてきた、どんな台湾の歴史の本とも、全く違う渡辺先生の本。アメリカで政治活動を実際にやったことがある、渡辺先生ならではの視点から台湾のデモクラシーについて書かれています。

          今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

          新しい世界は闇から始まる。『闇の中国語入門』楊駿驍

          「歌は世につれ、世は歌につれ」。それは歌だけでなく、言葉も同じ。新しい言葉ができたり、海外から入ってきたり。そして、それがその国独特の言葉に変化していきます。もともとネガティブな言葉が普通になって、さらにポジティブな意味も加わったり。言葉をめぐるおもしろさは、単純なコミュニケーションの道具というだけじゃなく、世の中の変化を定点観察できる部分にもあります。 楊先生の文章は、noteの記事をもとに書かれたそうですが、1冊の本として読むと、その構成力や深みのある洞察、なにより、1

          新しい世界は闇から始まる。『闇の中国語入門』楊駿驍

          コミカルで切ない台湾ドラマ『一筆お祓いいたします』2023年

          普通の何気ない日常とか、やさしい人間模様を描いた、ゆったりしたドラマをみたいと思って、探して目にとまりました。「コメディ」枠で、しかも「書道」でトラブルを解決する物語だと紹介文にありました。日常ミステリかなと検討をつけて、軽い気持ちで見始めましたが期待以上でした。 原題は「不良執念清除師」。主人公は、書道家の家に生まれた成績の悪い高校生、蒲一永(プー・イーヨン)。優等生の 曹光硯(ツァオ・グァンイェン)に嫌がらせするけれど、基本的には態度やヘアスタイル(美容師の母がカット)

          コミカルで切ない台湾ドラマ『一筆お祓いいたします』2023年

          中国の恐竜事情がおもしろい。『恐竜大陸中国』安田峰俊(田中康平監修)

          子どもにとって、恐竜の話題はいつだって人気コンテンツ。夏休み限定だった番組が、先生たちの話のうまさ&SNS人気のおかげで、毎週の番組になって以後もしばらく聞いていました。私の場合、恐竜好きというより、ガチ勢な子どもが専門家に正面からぶつかっていくのを聞くのが大好きなので。 さて、日本でも恐竜の化石は発見されますが、量ではお隣の中国がとにかく圧倒的。発掘の状況も日本の比ではありません。だけど、意外に日本語での情報量が少ないです。ということで、安田さんの本は、かゆいところに手が

          中国の恐竜事情がおもしろい。『恐竜大陸中国』安田峰俊(田中康平監修)

          スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

          狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ストイック。百発百中の仕事人。なのに、本書のタイトルは「炒飯」+「狙撃手」。炒飯ですよ、チャーハン!!! この矛盾率高過ぎな言葉の並びだけで、中華好き&言語好きの10人中7.3人は本を手にとってしまうはず。 主人公の狙撃手「小艾(シャオアイ:艾礼)」は、組織の指示通り、ローマで東洋人のターゲットを射殺しました。あちこちにある防犯カメラを想定して、変装と移動を繰り返し、完璧な仕事をしたはずな

          スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

          近現代日本の偽史とオカルト文化『隠された聖徳太子』

          ブラジル出身のオリオンさんの聖徳太子本。出る前から、どんな本になるのか楽しみにしていましたが、いきなり『偽史』とは驚きました。戦後最大の偽書事件とされる『東日流外三群誌』がつかみとは、なかなか渋い。聖徳太子の本のオープニングにしてはちょっと変化球(?)。「そこから、来るか~」とわくわくしました。 聖徳太子といえば、とにかく昔から「伝説」が塗り重ねられ、たまねぎの皮のように、剥いても剥いても、なかなか確かなことはわかりにくい。なんせ、古代の人ですから。学生時代、梅原猛の『隠さ

          近現代日本の偽史とオカルト文化『隠された聖徳太子』

          平安時代、最大の対外危機『刀伊の入寇』関幸彦

          今年の大河ドラマは、私の好きな清少納言が出るというので、楽しみにしていました。見る時間はないけれど、SNSでいろんな感想やら解説があふれてくるのを見つつ、全体像を想像するのが毎週楽しいです。 平安知識があんまりないので、清少納言が使える中宮定子が、父親を亡くして、兄弟の藤原伊周と隆家がやらかしたせいで、どんどんつらい立場に立たされて、しかも叔父の藤原道長が権力者になって、彼の娘彰子が入内したから、悲しい最後を遂げた……くらいしか知りません。 もちろん、道長だって最初から権

          平安時代、最大の対外危機『刀伊の入寇』関幸彦

          ファンタジーと歴史とSFと。ケン・リュウ『母の記憶に』古沢嘉通他訳

          有名すぎるくらい有名なケン・リュウの小説。これまで、なかなか時間とタイミングがなかったですが、とうとう読めてよかったです。短編集なので、ビギナーにもやさしいですし、いろんな物語がまとめられているので、タイトルを確認しつつ、好きなから読めるのもいいです。 ケン・リュウは、中国出身の作家さんでアメリカに住んでいて、たくさんの作品を書いているうえに、英訳した『三体』を各方面に宣伝して世界的大ヒットにしただけじゃなくて、各地の作家さんの作品が国境を国境を超えて読まれ、メディア化され

          ファンタジーと歴史とSFと。ケン・リュウ『母の記憶に』古沢嘉通他訳

          奈良と鹿と初夏の散策。『空海―密教のルーツとマンダラ世界』奈良国立博物館

          友だちと久しぶりの奈良デート。行先はもちろん奈良博。空海展ということで、混んでいることを予想。早起きして、開館前に到着するように待ち合わせ。奈良公園では、鹿たちがすでに、せんべい屋さんの前でスタンバイ。どちらも気合充分です。 さて、「空海」展ですが、すごくよかったです。ほとんど撮影不可だったので、詳しい内容を知りたい方は、公式サイトをどうぞ。平安時代(9世紀)の五智如来蔵とか、十二天像、不動明王坐像などなど、大きくて迫力ありました。 珍しくておもしろかったのは、インドネシ

          奈良と鹿と初夏の散策。『空海―密教のルーツとマンダラ世界』奈良国立博物館

          南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

          台湾の呉明益さんの小説は、日本語訳がいくつかあります。現実とフィクション、現在と過去が行き来する独特の文体と世界観で、私が好きなのは『自転車泥棒』。台湾原住民の言い伝えと、日本植民地時代の銀輪部隊の歴史、現代台湾の自転車王国状況が入り混じった、不思議な小説です。 『雨の島』は事前情報がなくて、時間があれば……という程度で読み始めたら止まらなくなりました。なんせ、台湾の自然描写がすごい。木や植物、動物の野性的な生命力と、その源泉の太陽の強さとまぶしさ、圧倒的な水分の多い筆力が

          南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

          歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

          最近、台湾について読みやすくて専門的な本が入手しやすくなりました。読者としては単純にうれしいです。そして、大東先生の本もまた、そんなすばらしい読書体験でした。サブタイトルの「6つの時代」ってなんだろう?と思いましたが、なるほどの構成です。 九州ほどの面積に、関西2府4県ほどの人口が住む台湾。このフレーズが全6章のそれぞれで繰り返されるので、日本の読者はイメージしやすいです。そして、台湾の基礎知識や、中国文化とのつながりも、だいたい繰り返されるので、興味ある章のどこから読んで

          歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

          大好きな人たちと見たい映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』2015年、インド。

          数年前にものすごく評判がよかったので名前は知っていたけれど、劇場に行く時間がなくて未見だったインド映画。今週末から1ヶ月くらいの間、日本各地で再上映されることになったようなのですが、フォローしている映画詳しいアカウントから一斉に、「絶対見て!」メッセージであふれてきたので、久しぶりに夫と映画館デートしてきました。 ストーリーの基本は単純。迷子の女の子を、お人好しのおじさんが送り届ける話。予告編だけは見たことあったので、イランの有名なキアロスタミ監督の『友達のうちはどこ?』み

          大好きな人たちと見たい映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』2015年、インド。