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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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記事一覧

中国の恐竜事情がおもしろい。『恐竜大陸中国』安田峰俊(田中康平監修)

子どもにとって、恐竜の話題はいつだって人気コンテンツ。夏休み限定だった番組が、先生たちの…

夕遊
14時間前
9

スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ス…

夕遊
8日前
23

近現代日本の偽史とオカルト文化『隠された聖徳太子』

ブラジル出身のオリオンさんの聖徳太子本。出る前から、どんな本になるのか楽しみにしていまし…

夕遊
13日前
27

平安時代、最大の対外危機『刀伊の入寇』関幸彦

今年の大河ドラマは、私の好きな清少納言が出るというので、楽しみにしていました。見る時間は…

夕遊
3週間前
28

ファンタジーと歴史とSFと。ケン・リュウ『母の記憶に』古沢嘉通他訳

有名すぎるくらい有名なケン・リュウの小説。これまで、なかなか時間とタイミングがなかったで…

夕遊
1か月前
41

歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

最近、台湾について読みやすくて専門的な本が入手しやすくなりました。読者としては単純にうれ…

夕遊
1か月前
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南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

台湾の呉明益さんの小説は、日本語訳がいくつかあります。現実とフィクション、現在と過去が行き来する独特の文体と世界観で、私が好きなのは『自転車泥棒』。台湾原住民の言い伝えと、日本植民地時代の銀輪部隊の歴史、現代台湾の自転車王国状況が入り混じった、不思議な小説です。 『雨の島』は事前情報がなくて、時間があれば……という程度で読み始めたら止まらなくなりました。なんせ、台湾の自然描写がすごい。木や植物、動物の野性的な生命力と、その源泉の太陽の強さとまぶしさ、圧倒的な水分の多い筆力が

なぜ紙の書籍が売れなくなったか――中国の書籍販売事情

行舟文化 張克溯  昨年、私事で中国上海に一時帰国した。用事をすべて済ませてから、学生時…

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「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

読む前から、間違いなく田原先生の本なら面白いだろうなと期待させられる本。そして、実際隅か…

夕遊
2か月前
37

耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

以前から興味を持っていた分野なので、すごく読みたかった本ですが、発売前から重版がかかるほ…

夕遊
2か月前
53

『東洋の至宝を世界に売った美術商ーハウス・オブ・ヤマナカ』朽木ゆり子

京都の泉屋博古館にいくと、とんでもなく古い青銅器がたくさんあって、しかもそのうちのいくつ…

夕遊
2か月前
31

ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

予備知識ゼロで手に取った、王安憶の長編『長恨歌』。白居易の『長恨歌』と同じ名前の現代小説…

夕遊
3か月前
34

知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュ…

先日、台湾の彩色タイルの本を買って、ちょっとづつ楽しみながらパラパラめくって読んでいたら…

夕遊
4か月前
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【香港島】天官賜福。筲箕湾の道教寺院(廟祠)めぐり。

2023年夏、仕事ででかけた香港島。せっかくの機会に、飛行機までの半日を観光しないわけにはいきません。早朝から、トラムに乗って香港島を横断して、終着点の筲箕湾の道教の廟めぐりをしてきました。目的はなく、単純にトラムにのって散策したかったので。 ちょっと想定外だったのは、地下鉄に比べて(当たり前だけど)2階建ての路面電車トラムはゆっくりだったこと。ほぼ西端からスタートしたので、反対側の終点まで1時間かかってしまいました。ゆっくり香港島を横断見物できたのはいいけど、帰国当日の観