マガジンのカバー画像

夕遊の漫画cafe

24
大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...
運営しているクリエイター

記事一覧

とうもろこしも神様。特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』

子どもの頃に見た、アニメ『アンデス少年ペペロの冒険』。「黄金のコンドルよ~♪」のオープニングソングと、ラストの黄金のとうもろこしエピソードは、なぜか強烈に印象に残っています。特別展『古代メキシコ』。ようやく行くことができました。 とはいえ、今のメキシコっぽいイメージは、大好きな岩本ナオさんの『マロニエ王国の七人の騎士』の動物の国。ここでジャガー王と対面できる期待に、わくわくして出かけました。 アメリカ大陸で、独自に発展した「もう一つの文明」メキシコ。ヨーロッパとはまったく

耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

以前から興味を持っていた分野なので、すごく読みたかった本ですが、発売前から重版がかかるほどとは。ドラマ『陳情令』の原作『魔道祖師』や『天官賜福』の作者・墨香銅臭さんのインタビューが掲載されていた『すばる』2003年6月号もすごかったですから、当然といえば当然なのかも。 さて、周密さんの『BLと中国』は、日本でいわゆる「BL」とされる物語が、中国では「耽美」(Danmei)と呼ばれている、その語源からたどります。日本が新しいもの=外来語を使って新しさや付加価値つけて表現し、そ

日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

オープニングのすさまじい二〇三高地のシーンから、主人公の杉元とアシㇼパが出会い、困難を乗り越えて相棒(バディ)を組むまで。この映画は、壮大な物語の「序章」です。内容は原作のテイストそのままですが、なんといっても生身の俳優さんたちがくりひろげるアクションシーンがすばらしい。そして、合間、合間に広がる試される大地、北海道の雄大な景色。映画ならではの表現で、原作の世界を存分に表現しています。 タイトル『ゴールデンカムイ』のロゴがラスト近くに大きく映し出され、今後の続編に出てくる、

台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど、アーティスティックな線描写がとてもステキです。時代は清朝。日本でいうと、江戸時代。日本の植民地になる前のお話。 台南の杜家の娘・潔娘(ゲリョン)はやさしい兄に可愛がられて育ちました。当時としてはめずらしく、読み書きができて、纏足をしない。これだけ聞くと客家っぽいですが、周りの親戚はそれをよく思っていないのが少し謎。どういう家族&親戚設定なのか、日本語版だとイマイチわかりません。原作だと

神様の記録。映画『ペレ 伝説の誕生』アメリカ、2015年

娘と映画を見に行くときは、なるべく楽しい映画を選びます。スポーツ映画は王道。深刻なドキュメンタリーも必要だけど、見た後に元気になって、「明日からまたがんばろう」って思える映画や思い出が人生には必要だから。 ペレといえば、サッカーの神様。ブラジルの英雄。サッカーにあまり詳しくない私でも知っています。でも、一番昔の記憶では、夜中まで起きてワールドカップの試合を見ていた頃のスター選手はマラドーナやベッケンバウアー、プラティニ。 ペレは、さすがにリアルタイムでは見れていません。私

果実酒と菊花茶と私

この春、ふと祖母を思い出して仕込んでみた梅酒。無事、おいしくしあがってくれました。疲れた体にうすーいお湯割りや、ロックでほんの少しだけいただく食前酒。ビタミンのように身体に効きます。 梅酒がうまくいったので、祖母を思い出して花梨酒を仕込んでみました。私の育った信州の家には、ブドウの木とカリンの木、それからイチジクの木がありました。祖母が大事にして、いろんな方法で保存していたのを覚えています。花梨酒、どんな風にできあがるか楽しみ! もう一つ。年末の疲れた身体をサポートしてく

アマチュアの歴史的大発見と実話ベースのファンタジー。映画『ロスト・キング』イギリス、2020年。

シェイクスピアの演劇で有名な、イギリスの王様リチャード3世。多分、日本ではそれほど有名じゃないと思います。私が知っているのも、『7人のシェイクスピア』という名作コミックのおかげ。本題から少し脱線しますが、この作品の中でもリチャード3世の演劇は魅力的です。続きが早く読みたくてたまりません。 さて、歴史上のリチャード3世は身体が不自由で、野心家で正当な王の権利を持たない簒奪者というイメージらしく、それをシェイクスピアがあまりにもおもしろい作品にしてしまった(?)ということで、よ

台湾グルメと鉄道の旅と百合。『台湾漫遊鉄道のふたり』楊双子(三浦裕子訳)

予告されたときから、すごく楽しみにしていた本。『台湾漫遊鉄道のふたり』というタイトルもそうですが、表紙のデザインがレトロかわいくてステキ。台北駅がモチーフになっていて、昭和のおしゃれな女性2人が楽しそう。広告のキャッチコピーも「グルメ、鉄道、百合」って情報量多すぎで、わくわくしかありません。 舞台は昭和13年5月、作家の青山千鶴子は台湾の講演旅行に招かれます。妖怪と言われるほど食いしん坊な千鶴子は、台湾の珍しい食べ物に興味津津で、片っ端からチャレンジしたがります。でも、当然

黒博物館シリーズ『ゴーストアンドレディ』藤田和日郎

黒博物館シリーズは、19世紀のイギリス伝奇アクション。ロンドン警視庁の犯罪資料館「黒博物館」にいわくつきのモノを見るため、いろんな人がやってきます。毎回お出迎えしてくれるのは、かわいい学芸員(キュレーター)さんです。 本作で訪ねてきたのは老人で、彼のお目当ては1856年に王立ドルリー・レーン劇場に残された「灰色の服の男のかち合い弾」。その男(グレイ)は、劇場に出る縁起の良い幽霊で、生きているときは決闘代理人。芝居が大好きで、幽霊になってからも100年近く演劇を見ていたグレイ

自然の恵みと山の村の暮らし。『リトル・フォレスト』五十嵐大介

以前から気になっていたけれど、きっかけがなかったマンガ。映画館で見た韓国リメイクの予告編があんまりきれいだったので、ようやく読みました。この『リトル・フォレスト』は田舎の農作業の日常が、地道に技術的に淡々と描かれていて、ファンが多いのも納得の内容。マンガの舞台は岩手がモデルとのこと。 私は信州の山のムラで育ったし、祖母の山菜採りや農作業、保存食作りにつきあわされた経験があるので、ムラのご近所とのやりとりも、町とムラの生活の差も、いろいろわかる部分があります。 山のことにつ

大好きな漫画家さんの作品が映画化。『金の国 水の国』2023年。

いやもう、公開すぐに家族で行ってしまいました。岩本ナオさんは、『町でうわさの天狗の子』から『雨無村役場産業課兼観光係』、そして初期の作品から今連載中の『マロニエ王国の七人の騎士』まで全部読んじゃうほど、家族でみんな大好きですから。 でも、今回の映画化では「最高純度のやさしさ」とか「号泣」みたいなキャッチコピーが踊っていて、「あれ?岩本さんの作品って独特な色があって、そういう万人受けの感じじゃないはずなのに?」とか思ってしまいました。 登場人物がみんなテンプレじゃなくて、ち

シルクロードや中央アジア好き、歴史好きにはたまらない作品『乙嫁語り』森薫

京都国際マンガミュージアムで開催中の「大乙嫁語り」展に行ってきました。森薫さんといえば、絵の旨さで同人活動中にスカウトされ、『エマ』がアニメ化され、海外でも熱狂的なファンの多い方。テーマについて、論文や専門書を読み込んで描く作家さんとしても有名。とあるラジオに出演したときには、「海外で村上春樹並に作品が売れている漫画家さん」と紹介されるほど海外でも人気。 そんな森薫さんが、10年前から大好きな中央アジアを舞台に描く歴史&恋愛物語は、1巻発売当時から全て初版で持っています。学

美しくて、少し悲しい人と小鳥の物語。『ことり』小川洋子

人の言葉は話せないけど、鳥のさえずりが理解できる兄。小鳥が大好きな兄。そして、兄の言葉をわかるのは父でも母でもなく、唯一弟だけ。両親がなくなると、弟は社会生活ができない兄を世話するため、大きな会社のゲストハウスで働くようになります。庭の手入れや接待の準備が彼の仕事。そして、兄弟は、日課のように近所の幼稚園の鳥小屋を見に行き、一年に一度くらい旅行します。 全くの余談ですが、大昔の少女漫画に『白夜のナイチンゲール』という印象深い作品があって、ふとそれを思い出しました。友人に裏切

北海道を旅したくなる名作でした。『ゴールデンカムイ』野田サトル

『ゴールデンカムイ』は、日露戦争後の北海道を舞台に、アイヌが隠した大量の金塊を探す物語。戦争帰りの元日本兵杉元佐一とアイヌの少女アシリパのバディものでもあります。明治日本の歴史文化紹介と北海道サバイバルに、アイヌ文化&グルメ紹介などなどを追加して、とにかく内容てんこ盛りの作品。読んでいると、ものすごく北海道に行きたくなります。 アイヌに関しては専門の中川裕教授が監修されているので、専門性もバッチリです。主人公の相棒アシリパちゃんは賢くて強い(というか、たくましい)。父親直伝