(ある時代の、ある身分の)女性の名前のこと
初対面の人とあえば、○○ですと互いに自分の名前から自己紹介をはじめる。そんなとき、僕は頭の中で、この人の名前をどう書くんだろうと自分のなかの音訓の知識を駆使してあてようと試みるが、これがなかなか難しい。
それは現代の人々の名前で用いられる漢字と、常用の漢字とでは訓が(ときには音も)かけ離れていることが往々にしてあるためである。
しかし、それはなにも今にはじまったことではなく、古来、日本において名前に用いられる漢字の読み方は尋常の読みとは異なっていたらしい。近世の考証随筆を見て