ナカシャクリエイテブ 文化情報部

レプリカやデジタルアーカイブなどの制作に携わる専門集団のこだわりを、事例紹介を交えなが…

ナカシャクリエイテブ 文化情報部

レプリカやデジタルアーカイブなどの制作に携わる専門集団のこだわりを、事例紹介を交えながら発信します。

マガジン

  • 海外博物館事情

    近隣の中国や、海外の博物館のことを不定期的に発信していきたいと思います。

  • 森がいく!!

    怪談博士でもある森社員が参加した学会や研究会の記録です。 人文学やデジタルアーカイブ界隈の最新トレンドをチェックするならここから! 分野に関心のある方には学会の最新情報をご提供。馴染みのない方は珍しい研究界隈を少しだけのぞいてみませんか?

  • Purpose Project

    文化情報部でおこなったパーパス策定についての記事を紹介しています。

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最近の記事

【日本の伝統芸能を後世に残したい】茂山千五郎家所蔵資料デジタルアーカイブ事業①~業務の経緯~

はじめに  狂言は、中世から続く日本の伝統芸能で、「能」と「狂言」合わせて「能楽」と呼ばれています。能が謡や舞によって悲しみや怒り、恋慕などを表現するのに対し、狂言は「笑い」を通して人々を描く喜劇です。2001年には、ユネスコにより「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」と宣言されました。  そのような世界的に評価されている狂言を現代に受け継いでいるのが茂山千五郎家です。この度、茂山千五郎家が所蔵している貴重な狂言に関する資料や記録映像のデジタルアーカイブ化を、ナカシャクリ

    • 中国神話の世界がデジタル技術で蘇る―『山海経』デジタルアート展―

       紀元前4世紀から紀元前2世紀にかけて編纂された、中国古代の地理書『山海経(せんがいきょう)』 をご存知でしょうか。山や川、動植物、鉱物、神話的な生物や奇妙な出来事が詳細に記録されている書物です。  中国や隣接する地域の山岳、河川、海洋についての詳細な説明が含まれていますが、実際の地理とは異なり、神話的・空想的な記述も多くあります。生物の中には九尾の狐なども描かれており、後世の文学や芸術などにも大きな影響を与えました。古代中国の宗教観や文化・風俗の参考となる貴重な資料です。

      • ICTを駆使した広東省博物館のシステム

         少し前のことになりますが、南京市大報恩寺遺跡博物館の王興平館長のご紹介で、広東省博物館に見学に行きました。見学といっても、バックヤードの収蔵品管理や館内システムの調査が目的でした。収蔵部の責任者である黄静先生にご紹介いただいた広東省博物館の管理システムについてお話しします。毎年アップデートを重ねていると聞いているので、既に大きく変わっているかもしれませんが、日本と比べてかなり異なる部分がありました。  黄静先生には、日本での収蔵品管理のついてご紹介し、広東省博物館でのIC

        • 学習指導要領のコード化とデジタルアーカイブ(後編)

          はじめに 前回は学校教育がデジタル化によって大きく変わってきているという背景を確認しました。そのような状況の中で、学校の学習内容と教材やデジタルアーカイブ等のデータ情報を結び付けたいという目的から考案されたのが、学習指導要領のコード化でした。後編では、実際に学習指導要領のコード化とは何かを整理したいと思います。 1.学習指導要領のコード化  コード化では、学習指導要領の冒頭から順番に16ケタのコードが割り振られます。それぞれの数字には科目や学年、指導要領の項目などが当て

        【日本の伝統芸能を後世に残したい】茂山千五郎家所蔵資料デジタルアーカイブ事業①~業務の経緯~

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        • 海外博物館事情
          5本
        • 森がいく!!
          3本
        • Purpose Project
          3本

        記事

          学習指導要領のコード化とデジタルアーカイブ(前編)

          はじめに  日本各地の博物館や美術館などでデジタルアーカイブが公開・活用される事例が増えてきました。場所や時間に関係なく様々な人々が資料にアクセスしやすい環境が整ってきていますが、公開された資料をどのように活用していくかについては、十分な検討が必要と言われています。  その中でも、注目されているのが教育分野です。近年、国や文部科学省などによる教育分野でのデジタル化が推進されています。  そのため、教育にも活用できるデジタルアーカイブが求められるようになってきました。  当社

          学習指導要領のコード化とデジタルアーカイブ(前編)

          淄博(シハク)市「淄博陶磁瑠璃博物館」展示企画(後編)

          淄博陶瓷瑠璃博物館 展示設計提案の舞台裏 前回の企画提案書をもとに、私たちはついに淄博陶瓷瑠璃博物館のプレゼンテーションの日を迎えました。その様子を中心にお伝えします。 済南市へ向かう道 プレゼン当日、私と日本人の上司は関空から直行便で山東省済南市へと飛び立ちました。関空から済南遥墻国際空港までは、直行便で2時間30分といがいに近いです。 現地到着後の翌朝から、丸一日かけてのプレゼンテーションが待っていました。 午前中は地上フロアの歴史や文化の展示室について説明し、午

          淄博(シハク)市「淄博陶磁瑠璃博物館」展示企画(後編)

          淄博(シハク)市「淄博陶磁瑠璃博物館」展示企画(前編)

           山東省にある淄博(シハク)市をご存知でしょうか?昨年、中国で爆発的な「淄博(シハク)バーベキュー」ブームが巻き起こり、淄博市は一躍有名な町となりました。日本のニュースでも取り上げられたことがあり、その名を知っている方もいるかもしれません。  淄博には、2019年の秋に完成した「淄博陶瓷琉璃博物館」という博物館があります。多くの観光客が尋ねる人気ぶりだと中国のニュースで耳にし、「あの博物館も注目されるようになってきたんだな…」と感慨を覚えました。  そう、実はこの淄博陶瓷琉璃

          淄博(シハク)市「淄博陶磁瑠璃博物館」展示企画(前編)

          古代中国の世界に入り込む「金陵図数字芸術展(金陵図デジタル芸術展)」

           中国の博物館や展示について、皆さんはどれくらいご存じでしょうか。どのような展示施設があって、日本の展示とどう違うのだろう、と気になっている方もいるかもしれません。  今回は2023年の年末に尋ねた中国南京市にある徳基芸術博物館の企画展「金陵図数字芸術展」をご紹介します。 はじめに  中国国内でも大都市の一つ南京市(名古屋とは姉妹都市です)にある大型商業施設「南京徳基(Deji Plaza)」内にあるのが徳基芸術博物館です。博物館は南京徳基の8階フロア全体に広がっています

          古代中国の世界に入り込む「金陵図数字芸術展(金陵図デジタル芸術展)」

          中国国家レベルのプロジェクト「全球漢籍合璧工程(世界漢籍統合プロジェクト)」に協力した時のこと

           ナカシャクリエイテブが取り組んでいる文化財関連の業務は、文化財のデジタルアーカイブやレプリカ作成、アプリ・WEBサイトの開発、博物館展示支援など様々ですが、資料の整理や学術調査のサポートもおこなっています。  お客様としては日本国内の博物館や図書館、自治体様が多いのですが、実は海外のお客様とお仕事をさせていただくこともあるんです(海外に出張することもしばしば…)。そこで今後、NOTEでは海外との業務や海外の博物館事情などもご紹介していきます。  それは2018年のこと。

          中国国家レベルのプロジェクト「全球漢籍合璧工程(世界漢籍統合プロジェクト)」に協力した時のこと

          【森がいく!!#3】水堀からお城を眺める新体験!~「名古屋城水堀における舟運事業社会実験」を実施しました~

           名古屋を代表する観光スポット名古屋城。では、名古屋城と言えば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。天守閣?本丸御殿?それとも金シャチ?  入口からは見えませんが、じつは名古屋城の西から北にかけては、ほぼ築城当時のままの広大な水堀が残されています。この貴重な水堀で今月、ある社会実験が行われました。  今回は、当社も企画運営に携わった「名古屋城水堀における舟運事業社会実験」の様子をご報告します! 1.名古屋城の水堀を活用したい この社会実験は、名古屋城の魅力向上を目指し名古屋

          【森がいく!!#3】水堀からお城を眺める新体験!~「名古屋城水堀における舟運事業社会実験」を実施しました~

          デジタル大阪ミュージアムズOPEN !

          大阪市では、2025年大阪・関西万博に合わせて、大阪市立美術館・大阪市立自然史博物館・大阪市立東洋陶磁美術館・大阪市立科学館・大阪歴史博物館・大阪中之島美術館の6館で「大阪博」を開催します。 「大阪博」に関連し、200万点以上の収蔵品の中から選定した「大阪の宝」を公開するためのWEBサイトを制作し、2024年2月20日(火)オープンしました。 制作にかかわる事ができたので、「デジタル大阪ミュージアムズ」について少しご紹介します。 今回デジタル大阪ミュージアムズには2つのコン

          デジタル大阪ミュージアムズOPEN !

          文化情報部パーパス策定のためワークショップを終えて

          ナカシャの文化情報部では文化財の情報発信をおこなうため、様々な業務をおこなってきました。 しかし、一言で「どんなことをしているの?」と聞かれると大変難しいのが実情です。 そこで、私たちが何者なのか、なんのためにこの仕事をしているのか、全員で統一した目標を目指せるように、エスエムオー株式会社にコンサルティングを受けながら部門独自のパーパス(存在意義)の策定に着手しています。 パーパス策定にあたり、文化情報部ではワークショップを実施しました。 全3回のワークショップを終えて、こ

          文化情報部パーパス策定のためワークショップを終えて

          おだわらデジタルミュージアムがベストプラクティス賞を授賞しました!

          昨年度制作した神奈川県小田原市のおだわらデジタルミュージアムが、第17回JIIMAベストプラクティス賞優秀賞を授賞しました! ベストプラクティス賞とは? 日本文書情報マネジメント協会(略称:JIIMA)が、2007年(平成19年)より先進的な文書情報マネジメントシステムを導入し、顕著な成果を出された企業・団体に対して『ベストプラクティス賞』を設け表彰しております。 評価ポイント 国が掲げているデジタル田園都市構想の事例で、この様な分野で採用されるということは評価できる。ま

          おだわらデジタルミュージアムがベストプラクティス賞を授賞しました!

          文化情報部パーパス策定のためワークショップをおこないました!

          ナカシャの文化情報部では文化財の情報発信をおこなうため、様々な業務をおこなってきました。 しかし、一言で「どんなことをしているの?」と聞かれると大変難しいのが実情です。 そこで、私たちが何者なのか、なんのためにこの仕事をしているのか、全員で統一した目標を目指せるように、エスエムオー株式会社にコンサルティングを受けながら部門独自のパーパス(存在意義)の策定に着手しています。 パーパス策定にあたり、文化情報部ではワークショップを実施しました。 ただ、すべてのメンバーがワークショ

          文化情報部パーパス策定のためワークショップをおこないました!

          文化情報部パーパス策定はじめます!

          ナカシャの文化情報部では文化財の情報発信をおこなうため、様々な業務をおこなってきました。 しかし、一言で「どんなことをしているの?」と聞かれると大変難しいのが実情です。 そこで、私たちが何者なのか、なんのためにこの仕事をしているのか、全員で統一した目標を目指せるように、エスエムオー株式会社にコンサルティングを受けながら部門独自のパーパス(存在意義)の策定に着手しています。 パーパス(Purpose)とは? 一言でいうと企業の存在意義を指します。 「目的」「目標」「意図」など

          文化情報部パーパス策定はじめます!

          【森がいく!!#2】全国の博物館がつながり合う3日間

          はじめに 学会というのは主に春と秋に実施されます。そのため、この時期は学会ラッシュで1週間おきに学会に参加するということも珍しくありません(参加したい大会やイベントが重なることもしばしば…)。前回のNOTEではデジタルアーカイブ学会の参加報告をしましたが、今回は全国博物館大会での企業出展について報告したいと思います。 1.博物館業界の一大イベント 全国博物館大会は、公益財団法人日本博物館協会が主催する大会です。日本博物館協会とは、博物館関係者が入会している団体で、博物館に

          【森がいく!!#2】全国の博物館がつながり合う3日間