へびのあしあと
この世界では人に影響を与えられる人と そうで無い人がいる 一生のうちで深く関われる人は 生まれた時にすでに決まっているんだ。 それ以外の人たちを 彼は「カザリ」と呼んだ。 (序章0〜終章14)
読んでもらった記事をくるっとまとめてみました。 朗読してくれる方いましたら いつでもお声がけください。
丑三つ時に繋がった、 ある幽霊のお喋りは、 いつしか事件の真実へと近づいて行く。 全五話。
家に帰ると玄関で出迎える嫁がいる。 「今日の夕飯、どうします?」
明日晴れたら宇宙へ行こう。
ドーナツの穴を袋詰めするバイトを始めた 客からは見えないドーナツ屋の端っこで 出来立てのドーナツから穴の部分だけを 取っては詰めて、取っては詰めて 三つ入れたら袋…
自炊を始めたのは良いものの めんどくさくなって三日でやめた フランス語でも勉強しようかと思い 本を買ったけどそれも四日ともたなかった ダイエットは三日で諦め、筋ト…
私はすぐに恋をする コンビニの店員にも部活の先輩にも 近所のお兄さんや塾の先生にだって 少し優しくされると、微笑みかけられると 心がキュッとなってキュンてなって …
特に良くも悪くも何も無かった いつもと同じ、平凡な日の帰り道 蒸し暑い夏前の夕暮れ時に じんわりと汗が滲んでネクタイを少し緩めた 陽が長くなったと感じながら 空を…
何か欲しい物があると 僕はそれを絵に描いた 素直に「これが欲しい」と言えない子だった 「いらないでしょ?」「だめだめ」 一度も言われた事も無いのに断られるのが怖…
丁寧に頭を下げて 「ごゆっくりどうぞ」と言った店員の その何でもない言葉に、いや声に 心臓が締め付けられたのは 忘れかけていた人の声によく似ていたから 顔はちゃん…
ハナウタを歌うように 君に告白をした ずっと言えなかった 心の底に重く沈んでいた言葉が 呟くようにサラリと口からこぼれ出た でも君の耳には届かなかった 急な突風がそ…
脳内にウィルスが侵入していた それに気づいていながらも 僕にはそれを振り払うだけの 抵抗力も免疫力も持ち合わせてはいない 食欲は湧かず何も手に着かず 熱の無い微熱…
二つ上のバイトの先輩に うちで飲まないかと誘われた 家が近くて大学が同じと言う共通点はあっても 特に仲が良いと言うわけでもないのだが シフトではたまに一緒になる事…
ヒーロースーツを洗濯した日に限って 街は事件で溢れかえった パトカーのサイレンが鳴り響き 女性の叫び声がこだまする 中には僕の名前を呼んで助けを求める人もいた ご…
あの子は私と同じ匂いがした だからずっと気になっていた - 知らない人だらけの高校生活の初日 既に友達を作り話に盛り上がる人もいて きっと何かきっかけがあれば すぐ…
自分の名前が嫌いだった そのせいで軽くいじめられた過去もあったから あまり口に出して言いたくなかった だからここでも伏せておこうと思う しいて言うなら有名人や漫画…
ただ黙々と、もぐもぐと ほうれん草を食べていた 溢れんばかりのお皿いっぱいの緑を前に 必至に口をに動かしていた 昔から筋の多い食べ物が苦手で なかなか嚙み切れなく…
一週間頑張った自分へのご褒美にと 巷で話題のレストランで ほっぺたのソテーを食べたら あまりの美味しさに 私のほっぺが落ちてしまった 落ちたほっぺは店に回収され 下…
朝になりました 「今日の被害者はいません 村人側が上手く防いだようです 残り数日頑張ってください」 突然始まった人狼ゲーム 本当の死が待っているリアルなやつ 随所に…
大名行列のように 春を振り撒きながら 北へ北へと闊歩して行く 桜たちを眺めながら 季節の移ろいを 始まりと終わりを感じていた 同じように沿道で見守っていた 沢山の人…
2024年7月22日 16:17
ドーナツの穴を袋詰めするバイトを始めた客からは見えないドーナツ屋の端っこで出来立てのドーナツから穴の部分だけを取っては詰めて、取っては詰めて三つ入れたら袋をとじる、そんな仕事12パックでワンケース、1パック90円そんな単純作業は嫌いじゃなくてそれをしている時の自分は何からも解き放されて無心になれた店内に漂う甘い匂いも気にならずお腹が空くのもどこへやら先の見えない未来から
2024年7月14日 11:30
自炊を始めたのは良いもののめんどくさくなって三日でやめたフランス語でも勉強しようかと思い本を買ったけどそれも四日ともたなかったダイエットは三日で諦め、筋トレもそこそこで日記も書く事が無くて続かなくて毎日映画を見ようとしてアニメに逃げた三日坊主がいくつも重なって三日経ってはまた違う事を始めるそんな三日坊主の三日坊主が何か月も続いていたこれはこれで誉めて欲しいと思うんだ三
2024年7月8日 12:45
私はすぐに恋をするコンビニの店員にも部活の先輩にも近所のお兄さんや塾の先生にだって少し優しくされると、微笑みかけられると心がキュッとなってキュンてなって良いなと思って恋をしてしまうんだ今日も昨日もその前も毎日沢山の恋をして満たされる私の心でも行動には移さないその想いを伝える事はないきっと恋に恋しているのが楽しいだけなんだ私は一方的に恋をして来た勝手に片想いをして他
2024年7月1日 12:52
特に良くも悪くも何も無かったいつもと同じ、平凡な日の帰り道蒸し暑い夏前の夕暮れ時にじんわりと汗が滲んでネクタイを少し緩めた陽が長くなったと感じながら空を見上げると見つけた一番星えいやと手を伸ばして捕まえると子供の頃に虫を捕まえた時のように両手で優しくフタをして家へと急いだ昔はよくやったっけ毎日星を捕まえて家に持って帰っては小瓶に入れて眺めていたっけそんな事を考えて
2024年6月25日 20:55
何か欲しい物があると僕はそれを絵に描いた素直に「これが欲しい」と言えない子だった「いらないでしょ?」「だめだめ」一度も言われた事も無いのに断られるのが怖かっただから絵だけ描いて部屋に放置して親がそれを見て察してくれるのを待ったもちろん上手くは描けないから何度も何度も書き直して細かく観察をして誰が見てもそれがそれであると見てわかるくらいの物が描けた時決まって親は話を切り
2024年6月17日 12:35
丁寧に頭を下げて「ごゆっくりどうぞ」と言った店員のその何でもない言葉に、いや声に心臓が締め付けられたのは忘れかけていた人の声によく似ていたから顔はちゃんと見ていなかったこんな所にいるはずはないから本人でないのは確実ではあるけれど声が似ている人は顔も似ていたりするのだろうか?振り返って見てみようか?いやなんだか不自然すぎるか周りを見渡すフリをしてその声の主を盗み見た
2024年6月11日 12:32
ハナウタを歌うように君に告白をしたずっと言えなかった心の底に重く沈んでいた言葉が呟くようにサラリと口からこぼれ出たでも君の耳には届かなかった急な突風がその言葉を反対側へと運んで行き何ごともなかったように「なんか言った?」といつもの調子で返される同時に僕とは違う人が反対側から君に思いを告げた同じくらいの声の大きさでいや僕よりも小さかったかもしれないそれに対して
2024年6月6日 11:39
脳内にウィルスが侵入していたそれに気づいていながらも僕にはそれを振り払うだけの抵抗力も免疫力も持ち合わせてはいない食欲は湧かず何も手に着かず熱の無い微熱が身体を火照らせてふわふわとした感覚が常につき纏ったもしこの症状に効く薬があったとしてもそれは一時的でまたすぐにぶり返すのだろう時が解決してくれるのを待つしかないんだもしこれがコンピューターウィルスの類ならこの特定のウ
2024年5月30日 12:46
二つ上のバイトの先輩にうちで飲まないかと誘われた家が近くて大学が同じと言う共通点はあっても特に仲が良いと言うわけでもないのだがシフトではたまに一緒になる事はあるけれどまたこうしてお呼ばれされるのは半年ぶりくらいか?バイト内では無愛想で無口でよくわからない変わった人だと思われている先輩だけどプライベートに土足で踏み込んだり自分の価値感を押し付けたりするようなそんな人では無い
2024年5月24日 13:04
ヒーロースーツを洗濯した日に限って街は事件で溢れかえったパトカーのサイレンが鳴り響き女性の叫び声がこだまする中には僕の名前を呼んで助けを求める人もいたごめんよ、今日は何も出来ないんだ勇気と力を与えてくれるヒーロースーツは水を滴り落としながらベランダにぶら下がっている先日から乾燥機の調子が悪くてついに今朝動かなくなって不定期な仕事の安月給ではそう簡単に買い替えるのも難
2024年5月16日 11:34
あの子は私と同じ匂いがしただからずっと気になっていた-知らない人だらけの高校生活の初日既に友達を作り話に盛り上がる人もいてきっと何かきっかけがあればすぐにでも誰かと笑い合えるんだろうが自分から話しかける勇気もなかなか出ずにこのまま三年間ずっと一人だったらと不安になる右も左もわからずに、流されるままに始まったのは新しい環境になると決まってやらされる自己紹介それが私は
2024年5月8日 11:19
自分の名前が嫌いだったそのせいで軽くいじめられた過去もあったからあまり口に出して言いたくなかっただからここでも伏せておこうと思うしいて言うなら有名人や漫画のキャラと似ていてそれがあまり印象のよくない人だから安易にからかわれてしまう、とそんな感じでも生きていると名前を言わなきゃいけない状況は普通に生活しているだけでもいくらでもあってそんな時僕は、公式な場所でもない限りその場の
2024年5月2日 13:04
ただ黙々と、もぐもぐとほうれん草を食べていた溢れんばかりのお皿いっぱいの緑を前に必至に口をに動かしていた昔から筋の多い食べ物が苦手でなかなか嚙み切れなくて飲み込めなくて口の中に溜まっては意を決して飲み込んだ今年も実家から沢山のほうれん草が送られて来た美味しいから、体に良いからどうせ野菜なんて食べてないんでしょ?とそう言う問題じゃないのにポパイでも飽きるほどの量がま
2024年4月25日 12:33
一週間頑張った自分へのご褒美にと巷で話題のレストランでほっぺたのソテーを食べたらあまりの美味しさに私のほっぺが落ちてしまった落ちたほっぺは店に回収され下処理をされ調理され味付けをされて次に食べる人のほっぺたのソテーになる「このほっぺたはどんな方のほっぺただったのですか?」そうシェフに聞いてみた「当店では若くて張りのある女性のほっぺしか使っておりませんのでご安心を」
2024年4月21日 13:05
朝になりました「今日の被害者はいません村人側が上手く防いだようです残り数日頑張ってください」突然始まった人狼ゲーム本当の死が待っているリアルなやつ随所に設置されたカメラの先から眺める人たちは私たちを賭けの対象にしか見ていない予言者の人どうだった?何でその人を守ったんだろう?実は私は霊媒師なんだじゃあ人狼はお前だなそれも嘘かもしれないじゃん誰も真実を言っている保証は
2024年4月15日 12:42
大名行列のように春を振り撒きながら北へ北へと闊歩して行く桜たちを眺めながら季節の移ろいを始まりと終わりを感じていた同じように沿道で見守っていた沢山の人達からは暖かい拍手や歓声が上がる「また来年も頼むな!」ワンカップ片手にそう叫ぶ男の声に桜たちは枝の手を高く上げてそれに応えた桜たちが歩いた後には道に埋め尽くされた花びらの絨毯が祭りの後のような寂しさを残す湿っ