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風下

ハナウタを歌うように
君に告白をした

ずっと言えなかった
心の底に重く沈んでいた言葉が
呟くようにサラリと口からこぼれ出た

でも君の耳には届かなかった
急な突風がその言葉を反対側へと運んで行き

何ごともなかったように
「なんか言った?」と
いつもの調子で返される

同時に僕とは違う人が
反対側から君に思いを告げた

同じくらいの声の大きさで
いや僕よりも小さかったかもしれない

それに対して君は
「うん」とひとつ頷いた

まるで先に告白した方に
選ぶのを決めていたみたいだった

僕の方が早かったはずなのに
風向きが運命を決めただけのこと

いや、そう思いたかっただけかもしれない

急な突風がまた吹いて
なびいた君の長い髪が
少し曇った笑顔を隠していた

カフェで書いたりもするのでコーヒー代とかネタ探しのお散歩費用にさせていただきますね。