胸キュンnovel1000本ノック845

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ステップ アンド クラップ

ステップ アンド クラップ

男はビルの屋上の柵の外にいた。 風が地上から吹き上げ、前髪を吹きちらした。柵を両手で握って真下を見下ろした。眼下には、自分に関係のない、多くの人達。自分が落ちた時、誰かを巻き込んでしまうかもしれないけど、まぁ諦めてもらおう。こっちだって余裕がないんだ。これで楽になれるんだ。さぁ。右足を空中に一歩出した。 足が動いてない。心の中で薄ら笑った。意気地なし。こんなだから、他のやつらにバカにされるのだ。改めて強い気持ちをもって足を動かそうとした。 動かない。違和感を覚えた。まる

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1分小説:おいしい珈琲

1分小説:おいしい珈琲

  少年はコーヒーが大嫌いです。あの黒々とした墨汁のような見た目と独特の匂い、強烈な苦味が大嫌いです。そんなコーヒーを飲んでいる大人たちを見て大人になると頭がおかしくなるとさえ思っています。     少年は大人になりました。今ではコーヒーを毎日飲みます。心安らぐ時間に独特の匂いと深みのある苦味や酸味を楽しみます。行きつけのカフェもできました。      ある日、元少年は行きつけのカフェでマスターに問われます。 「コーヒーをおいしくするために一番大事なことってなんだと思う

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ショートショート 「つまらない漫画」

ショートショート 「つまらない漫画」

「なんだよこの漫画、ちっとも面白く無いじゃないか」 友人から勧められた漫画の1巻を読み終え、僕は不満げに言った。 友人は、分かってないな、といった様子で僕の持っていた漫画を取り上げた。 「いいか。この漫画のすごいところは、ストーリーじゃないんだ」 「ストーリーじゃないって。別に絵が特別すごいようにも見えないけど」 「絵でもない。こんな絵なら俺にだって書ける」 「じゃあ、こんなのただの駄作じゃないか。なんでこんな漫画を勧めてきたんだよ」 「この漫画はな、どうやら俺

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戻ってこれない少年たち

戻ってこれない少年たち

優しい夜だった。 僕らにふさわしくない夜だった。 あんなにも優しくされたら僕らも優しくなれそうだった。 でもだめだった。 また狩りを始めるしかなかった。 了

勉強は嫌い、学びは好き。
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勉強は嫌い、学びは好き。

「勉強は嫌いだけど、学ぶことはすきなんだよね。」 こんなことを言ったら、彼に怪訝な顔をされた。 何言ってんの?って。 彼に言わせればどっちも一緒だと。 どちらも何かを学習すると言う点でなんら変わらないと。 こんなような議論をコイツとはよくする。 今まで意見が一致した試しはないけど。 まぁ意見が対立してこそ それが議論の醍醐味と言えるからいいんだけども。 彼とは小学校からの幼馴染である。 お互いの家が隣にあったことがきっかけで仲良くなった。 中学の時は部活も一緒で苦

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[極短小説]箱の中

[極短小説]箱の中

 閉     閉  閉     閉  閉     閉  閉     閉  閉     閉 ▷◁  ▷◁ エレベーターに乗ったら『閉』のボタンしかない あっ、と思った時にはドアが閉まり始め、咄嗟にボタンを押したが▷◁で、閉めただけ 閉じ込められてしまった 誰かが、どっかの階で呼ばないと開かないってことか 今、箱が前に動き出した

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教えなくてよかった

教えなくてよかった

昨日の夜電話くれた? 深夜に知らない番号からメッセージ入っていたからさ。 あまりに小さくぼそぼそ言ってたんで聞き取れなくて、もしかしたらそうかなと思ったけど。 えっ、前から掛け続けていたの? 五年も前からずっと? 手当たり次第にずっと? 080から090から続く番号をずっと? へぇ、君らしいね。 了

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