帰巣本能

深夜2時、やっと晩飯のカップ麺にありつけたかと思えば…急患だ。
帰宅途中、赤信号を渡って車に轢かれたサラリーマンらしい。
飲酒反応はないから、残業帰りか。
看護師は言う。
「いっそのこと、会社に泊まればよかったのに」
俺は答えた。
「家が恋しくて仕方なかったんだろう」

戦いが終わった日に

長く続いた大戦が、ようやく終わった。
ただ、人の残骸が築かれる、そんな無意味な戦いだった。

平和なんて束の間すらないだろうが、少しの睡眠くらい許してほしい。

外が少し騒がしい。
でも、おそらく大したことじゃない。
戦争はもう終わったはずなんだ。

・・・地球に、巨大隕石衝突まで、あと10分。

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どれだけ寛容に物事に、他人に接しようとしても無意識のうちに蔑み、軽蔑の念を抱いてしまう。どれだけ注意を払っても差別的感情を無しにあらゆるものに接することができない。私はとても醜く憐れでどうしようもない人間だと思っている。自覚があるだけいくらかましだと思っている所も含めて、である。

体の表面をなでるようにして吹き込む風が心地よくて、このまま寝ていたい。だが、きっと、いつまでもそんな時間は続かない。昼を過ぎれば太陽が高く昇り、私を大いに苦しめることは間違いない。今起きれば、私は規則正しい生活を享受できる可能性が高くなる。規則正しい生活には早起きがつきものだ。

A Beer Please

「ビールと、チューハイ、どちらがいい?」

 冷蔵庫を開けながら僕にそう聞いた君に背負われた赤ん坊は、今にも泣きそうな顔をしていた。

 「ベロベロバァー!」

 そう言った僕を、君を怪訝な顔をして見ていたが、赤ん坊は微笑んだ。

 そして静かに消えていった。

 あれから、7年も過ぎたんだな。

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ずっと一緒にいたい、線香花火を見つめながら彼女は呟いた。社会人になり遠距離が続く中で、久し振りに見る彼女はどこか違っていた。コロナ渦の影響もあってオンライン上でしか会話できていなかったからなのかな。共に決心をしないといけない時期なんだと思う。次のステージに向けた、大きな一歩を。

今日の運勢....吉
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理由を探して

「遊園地行こうか」
「待ち時間長いし」

「動物園は?」
「まだ暑いから」

「水族館とか」
「土日は混んでるでしょ」

有休なんて取れないくせに、と心の中で悪態をつく。
彼はいつも出来ない理由ばかり並べた。
秋でも冬でも、一年経っても。

「私達、別れよう」

彼が素直に頷く姿を、初めて見た。

スキありがとうございます、活力になります(´∀`*)
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父ならば

「こら!パパのお供えモノ食べちゃダメでしょ!」

翔子は仏壇から豆大福をとって食べた息子を叱った。
生前、夫の大好物だったものだ。
シュンとして、息子が呟く

「パパならきっと、分けてくれたモン…」

「……そっか、そうだね」

遺影に目を向けると、夫は笑っていた

平和は僕らの手に

♪自由をぼくらの手に~、愛だけが世界を変えていくのさ~

 「おい、お前。何をしているんだ、確保だ!」

 「うるせぇー、自由を叫ぶだけで、何で捕まらなきゃいけないんだ!不当な暴力だ、これは!!」

・・・今日、コンクリートの崖の上で3か月過ごしていた子ヤギが無事、保護されました。

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