夕食の後片付けをしていると、雨の音が聞こえた。食器を洗う水道の音と、窓の外の雨音と。水音に包まれて、私は今は亡き愛犬の名を呼んだ。ひとりごと、と人は思うだろうか。でも、私は話しかけていたのだ。はじめは、ごめんね、と言ってしまう。それから、今日はねえ、と。話はつづく。水音が優しい。

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