夢をみた
夢をみた。
猫になった夢をみた。
死んだ父母、若くして死んだ妹、そして女房がいる。
僕(猫)は窓外の桜の木を眺めている。満開だ。艶やかだ。
そのうち眠くなり、ソファに移動して丸くなった。
ウトウトしていると、騒々しい。
薄目で窺うと、女房が掃除機をかけている。そしてその音が近づいてくる。
やばいと、ソファから離れ、台所の水飲み場に行く。喉が渇いていた。
食べ物が欲しいと、掃除を終えた女房にせがむが、
「これ以上太ったらどうするの」という。
母が「これをお食べ」と、僕の好物のマグロフレークをくれた。
父は黙ってこちらを眺めている。
妹が優しく僕(猫)を撫でてくれた。
【了】