【連載】しぶとく生きていますか?㉕
その晩の午前二時頃だった。
家の外では、ゴーゴーという不気味な音がしていた。
「おい、皆起きろ! 津波の音かもしれない」と茂三が大きな声をだした。
隣の部屋で寝ていた松江夫婦にも茂三の声が聞こえたと見えて、起き出してきた。
「寝間着から着替えろ! 厚着しろ! 外は寒いぞ。貴重品と水を持ったか?」と茂三が己に確認するように話した。
「茂三さん、俺ちょっと外を見てくる」と松江が玄関をでて、真っ暗闇の中へ出て行った。そして戻ってきた松江が、
「みんな! 早く裏山に逃げるぞ。階